第2話 部活

「うぃっす」

「やっほー」


 今日もいた。


「はい、カバン」

「待て、その前にジャンケンだ」


 こいつが全てを見透かしていると言うなら僕には勝つ方法がある。そう、無だ。無我の境地に達すれば勝てる。


 じゃんけん、ほい。


「なぁ、無我の境地ってどうやって入るん?」

「漫画の読みすぎじゃない? はい、カバン」

「……あい」


「ねぇ、部活決めた?」

「決めた」

「テニス部か」

「分かるなら聞かないでくれます?」

「じゃあウチは何の部活に入るでしょうか?」

「ん、弓道部とかじゃね?」

「正解。ほら、分かるじゃん」

「確かに」

「じゃんけんも一緒」

「じゃんけんお前何出すか1ミリも分かんねーんだけど」

「じゃあ一生勝てないね」

「どうやったら勝てんの?」

「明日までに何故負けたか考えてきてください、ね。じゃ、また」

「うぃっすー」

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