第15話便所飯

ゴウミは3日目の学園へ登校した。

ナンジーにはもう一度休んだ方が良いのではと提案されたが


「なんだか昨日一日寝ていたお陰でだいぶ良くなりました、ありがとうございます、もう大丈夫ですので今日からまた学園に登校します、また何かあったらお願いします」


とそれなりの言い訳を使って学園への登校をした。

そして、ゴウミにはそれなりの目的がある。

そう、学園でゴウミなりの青春を謳歌しようと考えたのであった。

転生前の学校は陽キャと陰キャが存在している。

陽キャが過ごす青春時代は、彼女を作り、部活動に勤しみ、勉強をして、ひと夏の思い出を作り、学校行事を楽しみ、クリスマスに恋人と過ごし、バレンタインデーにチョコを貰い、ホワイトデーに返す、中には初体験を経験する者もいる。

そして、最終学年で修学旅行に行き、受験をして、卒業で涙を流す。

この一通りが陽キャの過ごす青春時代である。

一方陰キャが過ごす青春時代は、自己紹介に失敗、馴染む事が出来ないクラス、気まずくて便所で食べる飯、陽キャからのいじめ、文科系もしくは帰宅部を選択する、何もすることなく受験の為と称し勉学に勤しむ、誰とも遊ばずほぼ出かけず自宅で待機する長期休暇、バレンタインデーには羨ましそうに見るだけのチョコレート、返さなくていいホワイトデー、やり過ごすだけの学校行事、受験をして、他の皆が涙を流していて寧ろ引いてしまって涙の一つを流すことなく終わる卒業式。

この一通りがゴウミの考える陰キャが過ごす青春時代である。

そして、ゴウミは見事に自己紹介を失敗して、ある意味では皆とは馴染めていないクラスを作った、次に行うべき青春は便所飯であった。

クラス内で自分の席がなくなっていなかったのは誤算であったが、決して自分がこれからもいじめられないわけではない、もしかしたらあまりにも浮きすぎて皆から無視ぐらいはされる存在になりうるかもしれない、もちろん人から話し掛けられたら話す事はする。

何故なら自分の事実を話して避けられることや脅されて嘘を吐くのはともかく自分都合の嘘や相手に嫌な思いをさせて自分をいじめの対象にするのはゴウミのとって嬉しい事ではない。

ゴウミは理不尽ないじめを受けたいのであった。

ただその場にいるだけで皆から無視されたり嫌がらせを受けたりとそういういじめを望んでいた。

誘いがあれば断らずちゃんと受けるようにする。

その上でゴウミを見下しゴミの様に扱ってくれることをゴウミは望んでいた。

その為、ゴウミは初めての学校でほぼ確定的にご飯を一緒に食べようという誘いは来ないと確信していた。

誰だって初めての相手に何かを誘うのは勇気がいる。

その勇気を出される前にその場から立ち去り便所で惨めに昼食を取る。

そうすればクラスの皆は自分に気を遣うことなく昼食を楽しむ事が出来るのである。

居なければまた誘えばいいやという考えという言い訳を作ってあげることが出来る。

それこそがゴウミが今日学園で実行しようと考えている作戦で会った。

題して、『皆が食事を取りやすい様に自分は席を外す大作戦』である。

ゴウミは弁当を持った。

もちろん作ってもらったのではなく、朝早起きをして仕事をしてから自分の朝食の余りを捨てそうになっていた調理長のバンダルから許可を貰って弁当として詰めたのであった。

ヘルミーに使っていない弁当箱を確認したところかなり古いのが1つあるという事でそれを借りることが出来た。

そして、学園に向かう為にカバンの中に弁当箱を入れて登校した。

ゴウミは考えた。


(やはり便所で食べるなら場所も考えた方が良いな、もし食べている最中にトイレに行きたい人が来たら退かないといけないし……あまり使われていないトイレで少し臭いがある方が良い、その方が食欲を失せた状態で無理矢理食べないといけないという快感も味わえる、しかし臭いのキツイ便所だと弁当に臭いが付いてバレてしまうからそこだけは気を付けないと)


とゴウミは便所飯の場所を休憩時間にリサーチすることを決めた。

学園で門番から心配されたり色々と苦労したが何とか学園の教室に着いた。

すると


「ゴウミ君! もう大丈夫なの!」


エリーエが驚愕しながらゴウミを見る。

ゴウミは苦笑いしながら


「さすがに昨日一日眠ったから体調も良くなりましたよ」


と言って何とか誤魔化した。

ゴウミ自身、本当に体調は全く問題ない為、そんなことで再び休みを取らされる方が心労が強かった。

エリーエは困ったように


「もう、何かあったら私に言ってね、私保険委員だから」


と言って席に座った。

ゴウミは自分の席を見るとやっぱりなくなっていなかった。

しかし、ゴウミは動揺することなく自分の席に座ることが出来た。

席がなくなるのはいずれまたと考えるようにしたのであった。

そして、担任のサクラが教室に入ってきた。

サクラはゴウミを見るなり


「ゴウミ君! もう大丈夫なんですか! 無理しちゃダメですよ!」


とエリーエと同じような反応をするのでゴウミは


「あっはい、大丈夫ですよ、さすがに昨日一日眠ったらすっかり! 今日から頑張ります!」


と言って前向きな感じを出して問題がない事をアピールした。

サクラは心配そうにしながら


「分かりました、でも無理はしないでくださいね」


と言って笑顔を向ける。

するとサクラはふと思い出したのか


「そうです! ゴウミ君、今日は少し話さなければいけません」


と真剣な表情になる。

ゴウミはキョトンとしながらサクラに


「何でしょうか? 先生?」


と確認を取るとサクラはクラスの皆にも目を向けて


「ええっと……ゴウミ君の攻撃魔法の授業何ですけど……明らかに威力が凄いんですが自分に直撃するという事ですので……ゴウミ君は今日から攻撃魔法の授業はレチア先生の助手として授業参加してもらう事になります」


という言葉にゴウミは唖然とした。

しかし、クラスメイト達は


「確かに……あの威力はまずいな」

「昨日もあんな様子だったし無理をさせる訳にはいかないなあ」

「死んじゃったりしたらことだもんね」


と言って皆納得している様子であった。

ゴウミは慌てて


「だっ大丈夫ですよ! 体の強さには自信が……」

「例えゴウミ君がタフな体だったとしても危険がある以上攻撃魔法を使わせるわけにはいかないのですよ……これは昨日の会議でも決定したことですので申し訳ないのですが諦めて貰うしかないですね……」


と申し訳なさそうに答える。

ゴウミはショックを受けながら


「そんな……」


と席で項垂れながら


(これじゃあ、もう自分の攻撃魔法を直撃して快感を味わう事が出来ないじゃないか……)


と攻撃魔法を使うよりも受けたいという方面でショックを受けていた。

しかし、クラスの皆は


(これは……才能がないと言われるよりショックかもな……)

(出来ることをするなと言われると俺も堪える)

(でも本人にもしもの事を考えると……さすがに)


と様々な事を考えていた。

ゴウミを心配するラクナとアレクアとエリーエも落胆するゴウミを見て可哀そうに思えた。

しかし、ゴウミは


(待てよ、僕だけ皆から除け者と考えれば……ここで皆が受けるべき授業を省かれていると強制的に考えれば少しは納得できるんじゃないのか?)


と無理矢理に自分を納得させる理由を作って少し残念そうにしながらも


「分かりました……それでしたら仕方ありませんね」


と言って学校側の意向を受け入れることにした。

サクラはそれを聞いて


「申し訳ないです……でもきっとゴウミ君にも特質した何か才能があると思います! きっとそこで貴方の力が発揮されます! 先生は信じていますので!」


と言ってゴウミを励ましていた。

他の生徒も


「そうだぜ! ゴウミ! お前ならきっと出来る!」

「そうよ! 貴方は奴隷であった日々を乗り越えたの! 諦めなければ明るい未来が待ってるわ!」

「悪いことだらけじゃねえ! 良い事だってきっとある!」


その言葉を聞いてラクナもアレクアもエリーエも

「そうだよ! 君には君の良いところがあるよ!」

「お前は奴隷の日々を耐えて今の幸せを掴んだんだ! きっとそんなハンデ跳ねのけて幸せを掴める!」

「そうよ! その為にここに来たんだから! 諦めないで!」


と皆はゴウミにエールを送った。

サクラはそんなクラスの皆を見て涙を流しながら


「皆……ゴウミ君、良かったですね、こんなにも素敵な友達に囲まれて!」


とゴウミに微笑みながら伝えた。

そんな言葉を聞いてゴウミはただただ


(励まさないで欲しかったなあ~……あのままの方が興奮出来たのに……萎えるわあ~)


とクラスの皆の言葉を心の中で踏み躙った。


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そして、ゴウミは皆から励まされて一時限目を終えた。

そして、休憩時間に入る。

ゴウミは素早く廊下に出た。

走らず早歩きをせずに廊下をスタスタと歩き出す。

それを見たラクナは


(トイレかな?)


とだけ思った。

その予想はある意味正しかった。

ゴウミは便所飯に最適なトイレの場所を把握する為学校を見回っていた。

ゴウミの教室から出て1分で向かえるトイレは論外だ。

生徒がトイレ利用する可能性はかなり高い。

その為、そのトイレ以外の場所を見て回ることにした。

だが、ゴウミはそこでミスに気付く。


(僕、まだこの学校の施設とか知らない)


ゴウミにとって完全なる誤算であった。

すると


「あら? どうかしたの? えっと……確か編入生の……」


と明らかに昨日見たことのある人が話し掛けてきた。

ゴウミは取り敢えず


「昨日会いましたゴウミと申します、確かシフォリアさんでしたっけ?」

「ええ、私の名前はシフォリア・ファミーナです、この学校の生徒会長よ」


と微笑みながら挨拶をする。

ゴウミは生徒会長と聞いて


(うお!! 凄い幸運だ! この生徒会長様なら学校の施設の案内をしてくれるかもしれない! まずは遜ってお願いしよう!)


と考えてゴウミは頭を下げて


「そうでしたか! そうとは知らず無礼な態度を取ってしまい申し訳ございません、今お靴をお舐めします」


と言ってしゃがみ込んだ。

シフォリアは困ったような顔をして


「そんなに畏ま……ちょっと待ってください、今靴を舐めるって言いました?」


と驚きながらゴウミを止めた。

ゴウミはキョトンとして


「どうしましたか?」


とシフォリアに確認をすると


「あの……靴は舐めないで貰えますか?」


と戸惑いながらゴウミを制止する。

ゴウミは不思議に思い


「え? でも」

「でもではありません、舐めないでください」


と本気で拒絶した。

ゴウミは


(ああ……汚い舌で舐められるのは嫌なんだ……良い……アへエエ)


と快感を感じながら顔を赤くして


「もっ申し訳ございません! つい癖で!!」


と言って頭を下げる。

シフォリアは考えた。


(彼は確かデンター組織の元奴隷と聞きましたが……まさかここまで酷い扱いを受けていたとは……)


とゴウミに同情的な目を向けた。

ゴウミは快感汗を掻きながら


(なんてことだ、転生前なら当たり前だったことがここでは通じないのか……)


と転生前の世界と異世界とのギャップの違いを思い知らされた。

そして、シフォリアはゴウミに


「そういえばゴウミ君はここで何をしているのですか?」


と不思議そうに質問した。

ゴウミは


「ああ……休憩時間だけでもいいので学校の把握をしようと考えていまして」


とシフォリアに話すと


「そうだったのですか、しかしたった10分で全てを見るのは難しいと思いますよ?」


とゴウミに助言をした。

するとゴウミは苦笑いしながら


「まあ、そうですね、なのでトイレの場所だけでも把握しておこうかとしたんですけど……」


と明らかに無理矢理にトイレの話題を捻じ込んだ。

シフォリアは


「え……何故トイレを……」


と戸惑った様子を見せる。

ゴウミはシフォリアに真剣な表情で


「移動教室とかはクラスの皆の後ろを付いて行けば何とかなりますがトイレとなると突然の腹痛などで戸惑ったりして場所が分からないままだと大惨事になるのでそれを防ぐためです……でもさすがに誰かに教えて貰った方が良いかと思っていたところで……せめて1年が通る場所のトイレだけでも……」


とトイレの場所を知る必要がある理由を説明した。

それを聞いてシフォリアは


「そっそうですね……確かにそうです、トイレは大事です……盲点でした」


とゴウミの説明に感心していた。

そして、シフォリアはゴウミに


「分かりました、お困りでしたら私が次の時間に1年が通る道から近いトイレの場所を案内しましょう」


と優しい表情で言った。

それを聞いてゴウミは


「え! 良いんですか? ありがとうございます」


と頭を下げてお礼をした。

ゴウミは嬉しそうに


(よし! これで僕の便所飯の為の準備が出来るぞ!! ありがとう! 生徒会長! それにトイレの場所は便所飯のみならずこれからギリギリまでトイレを我慢するという快感を味わう為にも必要だ! 本気で我慢出来なくなったときに入るぞ! 生徒会長の優しさは毒だが必要毒という事で今回は我慢できる!)


とチャンスをものにした。

現にゴウミは今もトイレを我慢していた。

朝から我慢して今は一時間目を終えた為、結構快感を覚えている。

そして、ゴウミは次の時間にトイレの場所聞く為、一旦解散した。

そして、2時間目は魔法の雑学を学んだ。

その間も、トイレに行きたいと思っていたが、昔からトイレを我慢する事に関しては誰よりも秀でていた。

朝からトイレに行きたいと思っても学校やブラック会社では深夜まで我慢する事は出来たのであった。

いきなりの腹痛である場合はギリギリ我慢しているがどうしてもトイレに行って怒られていたがそれでも我慢する事に快感を覚えている。

そして、2時間目も終わりゴウミは再び廊下に出た。

するとラクナは


「ゴウミ君、どこ行くの?」


と聞かれたのでゴウミは


「生徒会長にトイレの場所を教えて貰うんです」

「何でトイレ!」


と呆気に取られて驚いていた。

しかし、ゴウミは全く気にせず


「ごめん、休憩時間内だから行きますね!」

「ええ! ちょ!!」


と呼び止めたがゴウミは止まる事なくシフォリアと待ち合わせた場所に向かった。

そして、シフォリアはすでに待ち合わせ場所に来ていた。

シフォリアは


「あ、ゴウミ君では行きましょうか!」


と言ってゴウミの手を引っ張った。

ゴウミは笑顔を張り付けて


「はい」


と言ってトイレに向かった。

そんな2人を見て女生徒は


「え! え! どうして編入生が!」

「シフォリア様! これは一体!」

「何者なの! あの編入生! シフォリア様に対して臆さず話せるなんて!」


と驚いていた。

ゴウミはその状況を見て


(うむ、羨ましがられるという事はこの後の展開はおそらく嫉妬からによるいじめ! うむ! 素晴らしい! これは良い布石だ!! 僕の楽園が完成するのも近いかも!)


とドキドキしていた。

しかし、女生徒が驚きつつも思っていたことは


(もしかして! 編入生が困っているのを助けて上げている!! 何て素敵なのでしょう!)


とシフォリアの好感度だけが上がっていて別にゴウミの好感度は下がりもせず上らないといった内容だった。

そして、シフォリアは取り敢えずトイレの場所を教えてくれた。


「まあ広い学校だけど貴方の教室や一年の移動する教室を考えるとこの1階のトイレが使いやすいわね」

「よく使われるんですか?」

「うーん、確かに……そう考えると緊急性の場合はあまり使えないわね……」


とゴウミの質問に対して丁寧に答える。

シフォリアはゴウミに


「もしかして、あまり使われていないトイレの方が良かったりしますか?」


と望みのトイレを確認した。

それを聞いてゴウミはパアッと明るくなり


「はい! そこでお願いします!」


と笑顔でお願いした。

それを聞いてシフォリアは微笑みながら


「はい、任せてください」


と言ってそのまま道を案内した。

そして、あまり使われていないトイレの場所を


「ここはあまり使われていないのですが……少し臭いが気になりますね……でもその匂いさえ我慢出来れば問題はないですよ! 貴方の教室から少し遠いですがまあ休憩時間内でいけますし移動教室からもそこまで遠くはないですよ?……あ! 後ここよりキツイ臭いがするトイレもあるのですけど……そこはえっと……臭いが服に染みつくほどの匂いで掃除は行っているのですが……あまりお勧めは出来なくて……」


と言うとゴウミは興味津々で


「一度中に入っても?」

「問題はないですよ? 時間もまだありますし」


休憩時間は後5分、教室に戻るのに3分という少し長めの時間だ。

そして、臭いがアレという事でやはり使い勝手は悪いそうだ。

他の教室の生徒達もこのトイレは使わないらしい


「取り敢えず中に入って確かめてみます」


と言ってゴウミはトイレの中の様子と臭いを確認した。

そして、臭いはキツかったが、そこまで酷い物でもなく便所内も少し黄ばんだ色をしていたが気になる程でもなく、寧ろ便所飯をするのに適しており。


「ではここにします」

「ここにしますとは?」


というシフォリアの言葉にゴウミは


「いえ! ここの方が人で混む事もあまりないと思ったのでここを優先的に使うようにしたいと……」


と言うとシフォリアは


「そうですか! また他の場所のトイレの案内は昼休みにでも」

「大丈夫です! あまり使われていないトイレだけで! 後は自分で調べていきます

ので! ご迷惑を掛けて申し訳ございません!」

「え! 良いのですか? 本当に? このトイレだけで?」


と不思議そうにゴウミを見つめると


「はい! 大丈夫です」


と元気よく答える為、シフォリアは納得して無さそうだが目を瞑って、


「いえいえ、またお困りでしたら頼ってくださいね」


と優しい表情でゴウミに言ってそのまま


「では私はここで」


と言ってそのまま立ち去った。

ゴウミは


「ぐふっ、人の優しさに甘えるのは少しドMの精神を抉る! しかしこのことだけはやはり早く行った方が良いんだ……納得しろ! 僕!」


とゴウミ自身は自分のドMとしての誇りを汚してでも便所飯を断行する予定であった。


そして、昼休憩時間へと移ると


(よし! 昼飯は持った! あのトイレに向か……)


「ゴウミ君! 一緒にお昼ご飯どう?」


とラクナが声を掛けてきた。

ゴウミは戸惑いながら


「え! でもさすがにいきなり皆さんの会話に入るのは……」


と明らかに遠慮をして便所飯を断行しようとするが


「大丈夫よ、そんなに気にすることないわ、一緒に食べよう!」


とエリーエは微笑みながらゴウミに提案する。

アレクアは


「そうだぜ! 俺達はもう友達なんだから!」


とゴウミが知らないところでいつの間にかラクナ達に友達認定されていた。

ゴウミは少しショックを受けつつも、笑顔を貼り付けて


「そっそうですかあ……でっでは、はい! 一緒に……」


と気まずそうにしながらも一緒にご飯を食べることになってしまった。

ゴウミは


(糞……せっかくリサーチしたのに……僕のせっかくの便所飯が……しかも友達って……2日も学校を休んだ人間にすることかよ! こんなのってあるのかよおおおお!)


とショックを受けつつも昼ご飯を口へ運ぶ。


便所飯の出来なかった食事はとても美味しかった。

その後、トイレに行かなかった事が幸いし尿道への苦痛による快感を味わい、便所飯が出来なかったショックを相殺することが出来た。


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ゴウミは仕事を終えて、部屋に戻った際に


(くううそおおおお!! どうして僕の楽園環境計画がこんなにも破綻するんだよ! 

何で2日碌に授業参加出来なかった人間を友達にするんだよ! 普通は自己紹介失敗の時点でハブるのが定石じゃなかったのかよ! いくら異世界だからっておかしすぎだろ! 人間の心は馴染めないものを拒絶するんじゃないのかあ!! ああ……僕の理想とする楽園が崩壊する……こんなことってあるかよおお)


と絶望していた。

しかし、ゴウミは窓を開けて空を見ると


『屑ゴミ豚が……こっちを見るな……汚らわしい……それに、友達が出来ただ……そんなの温情を貰ってるに決まってるだろ? 気持ち悪い』


と何故か空に楽君が映りゴウミを罵ってくれた。

ゴウミは再び希望を宿し


(そうだ、まだ学園生活は終わっていない! まだ僕の楽園を作れる可能性はある! 諦めるな僕! こんな下賤な僕を見下してくれる人間はまだいるに決まっている! あの女生徒達はシフォリア様と話す僕を見て嫉妬し、まだいじめて来ないけどまだ時期じゃないだけだ! きっといじめをしてくれるに決まってる!)


といじめへの可能性を信じていた。

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~楽園崩壊~ 異世界転生した僕は闇組織に奴隷として過ごしていたがドMだった為、楽園の様な環境だったのに……どこかの国がその場所を潰して勝手に僕を保護してしまった。 糖来 入吐 @pura32

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