第4話嵌められる

リブアイはベイリーを見つけて、ゴウミの行動について説教をした。


「というわけで執事見習いのゴウミがもう掃除した場所を掃除していたぞ、ちゃんと説明したのか? ベイリー?」

「はい、教えたにもかかわらず奴が勝手に掃除していました、全く何を考えているのか!」


ベイリーは怒りを露わにしながらゴウミを睨み着ける。


「とにかく、説明だけではなくてちゃんとついてあげた方が良いのではないのか? この城は広い、もしかしたら違う場所だと思って掃除していたかもしれないし」


と言ってそれとなくリブアイはベイリーに注意をした。

そしてベイリーはギリギリと歯ぎしりをしながら


「糞! あのアマは!」


とリブアイが立ち去った後に睨みながら愚痴をこぼした。


「ベイリー様、申し訳ありません、このようなことはもう二度と……」


バコオ!!


「アヘえええ!!」


ゴウミは笑顔で吹っ飛んだ。

ベイリーはゴウミを睨みながら


「てめえのせいで俺が怒られただろうがあああああああああああああ!!」


とベイリーは怒鳴った。

ゴウミはご褒美を貰って


(なんて素晴らしい御人だ!! ここまでしてくれるなんて! 至れり尽くせりではないか!!)


と思って心の中で大喜びした。


「とにかくこの俺に恥をかかせるな! 分かったな!!」

と怒鳴りながら言った。


「ひゃい、分かりました、べいりーしゃま」


と言って興奮があまり収まっていなかった。


「次だ! 次のところを掃除するぞ!」

「ひゃい」


そう言ってベイリーは次の場所を案内した。

その時ベイリーはゴウミに聞こえないように


「待てよ、こいつはまだ色々と分かっていないぞ……そこを上手く利用すればこの屑下民をこの城から追い出せるぞ……それどころかこのゴミをゴミとして見ても不自然で無くなる……それを俺が密告すれば姫からの信頼も上がって俺の地位も……」


と言って悪い企みをした。

だが、ゴウミは今まで罵倒を聞き逃したり、お仕置きを逃したり、道具のように自分を使ったりする人間の話を聞き逃したりすることは一度もなかった。


(な! なんて素晴らしい! 確かにそれをすればベイリー様の株が上がって俺もこれ以上ないご褒美が貰えるぞ!! 奴隷としてこの城で……ヤッフウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!)


と思ってその案に乗った。


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「次はここの掃除だ! 今日の午後までにやれよ! 俺は別の場所を掃除するからな!!」

「はい!! ベイリー様!」


そう言ってベイリーはその場を立ち去った。

ベイリーは小声で


「クク……ここの掃除をさせればこいつを陥れる事が出来る、」


と言って立ち去った。

そこはグシャグシャの紙や埃で汚れていた。

机にある書類は無造作に置かれていた。


「任せてください! ベイリーさん! ここを掃除したら貴方の手柄になるなら僕は逆らわないですよ!!!」


そう言ってゴウミは掃除を始めた。

本当に張り切って掃除をした。


そして、1時間後


「ふうう、結構綺麗になったな」


その部屋はまだ汚れは残っているがほとんど綺麗になっていた。

床に散らかっていたぐちゃぐちゃの書類は全て燃やしていた。

殆どが走り書きで何が記載されているのか分からず必要ないと判断した。

一応は机の上にある書類は同じく何が記載されているか分からなかったが、必要な書類だと判断して残していた。


「これなら、ベイリー様の手柄間違いなしだな!」


そう思っていて嬉しそうに掃除を続けているとベイリーが戻ってきた。

ベイリーはニヤニヤしながら


「おや~? お前は何をしてるんだ? 何故ここで掃除してるんだあ~?」


という声が聞こえてきた。

ベイリーは小声で


「ククク、馬鹿め……」


と厭らしく笑いながらゴウミを見ている。

ゴウミは笑顔で


「ベイリーさんに言われていた場所の掃除をして……」

「俺はそんなことを命じたか?」


と明らかな嘘を言った。

それを聞いてゴウミは少し快感に思い、顔を青ざめながら


「アへエ……でも確かに……」

「そんな証拠がどこにある? お前はそれをどうやって証明する……俺が命令しただと? よくもぬけぬけと嘘が吐けたものだな……これだから下民はやり方が汚らしくて困る……よくもオイエア様の部屋を掃除をするなんて、さてはお前デンター組織のスパイか?」


とゴウミ好みの下賤な者を見る目でゴウミを見る。

ゴウミは


「あッ……アへエエ」


と興奮と共にへたり込みながらベイリーを見上げる。

そして、ベイリーは


バン!!


とゴウミの腹を蹴った。


「アベエ!!」


と少し悲鳴を上げてアへ顔で少し飛んだ。

するとその悲鳴に気付いたのか


「どうした? 何かあったのか?」


と再びリブアイが現れた。

するとベイリーはゴウミにのみ見えるようにニヤアアッと下卑た表情を見せて、すぐ困ったような顔を作りリブアイに


「聞いてください! リブアイ様! 説明をしている最中だったのにいきなり消えてどこに行ったかと思ったら、ゴウミの奴がオイエア様の部屋を私の許可もなく勝手に掃除をしていたのです! こんなことが許されると思いますでしょうか! しかもここのあるデンター組織の重要書類を勝手に処分しているのです! 見てください! あの暖炉にある書類の束を!!」


と言って暖炉の方へと指を差した。

確かに、ゴウミは掃除をするように言われて床に散らかっていた書類の束を燃やしていたのであった。

必要のない物だと思い込み掃除をしていたのであった。


(クックック! どうせ奴の事だから文字も読めねえと思っていたがまさかここまで馬鹿だとは! 予定通りオイエアの部屋の書類を処分したようだな!)


そんな事を考えながらベイリーはほくそ笑む。

リブアイは険しい表情になりゴウミに


「本当か?」


とただただ一言確認をした。

ゴウミは顔を赤くして


「……はい」


と俯きながらアへ顔を隠して返事をした。

ベイリーはゴウミを指差して


「こいつはデンター組織の奴隷を偽ってここにある情報を全て処分する為に城に忍び込ん出来たのですよ! 奴隷という立場を理由にすれば同情されてカンタンに忍び込めると思ったに違いない!」


と確信を持ったようにリブアイに訴えかける。

それを聞いてリブアイはゴウミの方を見てその後、再びベイリーの方に顔を向けて


「まずはハル姫に報告をしないといけない……ゴウミの処分もそこで決めることになる」


と冷静に伝える。

するとベイリーは慌てるように


「そんなことをする必要はありません! もうこの場で処罰を行い! その後この城から追い出すのです! いやこの場で即処刑するべきです! いやあ~拷問をして情報を吐かせるのもいいかもしれない、その役目を私に任せて貰えるならば素晴らしい成果を……」


とゴウミをゴミのように見ながらリブアイに伝える。

ゴウミは俯き興奮しながら


(ああ……僕はどうなるんだろう……アへエエ……拷問って何だろう……やっぱり異世界だから魔法的な拷問かなあ? それとも普通に拷問道具を使用するのかなあ……楽しみだなあ……)


と考えながら嬉しそうにアへ顔になっていた。

しかし、リブアイはベイリーに


「ダメだ! 姫に何の報告もせずに勝手な行動は許さない! 尋問するにしても姫に報告してオイエア様と共に判断することを省こうとするな! それともすぐに拷問しないといけない理由でもあるのか?」


ときつく怒鳴りながら、ジロリとベイリーを睨む。

それを聞いてベイリーは睨むよな表情になっていたが、我慢をするように


「わっ分かりました……」


と悔しそうにしながら納得する。

そして、リブアイはゴウミを見て


「すまないが、このような事が起きてしまっては姫に報告しないわけにはいかない……覚悟は良いか?」


と言ってゴウミに確認をするとゴウミは俯きながら


「……はい……お願いします」


と息を荒くしながら頷いた。


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そして、オイエアと呼ばれる者の部屋にあった私物を勝手に処分してしまったことに対してハル姫へ報告をした。

王座に座るハル姫は険しい表情になりながらベイリーに


「それは本当の事ですか……ベイリー、ゴウミは仕事の説明を聞かずに勝手にどこかへ行ってオイエアの部屋の資料を処分してしまったのは?」


と確認するようにベイリーに話を聞くと

ベイリーは自信満々に


「はい! その通りです! そしてここまで正確にオイエア様の部屋の資料を処分するという事は奴こそがデンター組織の奴隷という嘘を吐いているだけのスパイだと思われます!」


とゴウミを睨みつけながら報告する。

それを聞いてハル姫はゴウミの方を少し悲しそうな表情になりながらも厳しい顔つきになり


「それは本当ですか……ゴウミ……貴方が行動を取ったという事は……貴方は奴隷ではなくデンター組織のスパイであるというのは……」


と質問をする。

ゴウミは息を荒げて顔を赤くしていた。

隣ではベイリーは威圧を与えるように睨み着けていた。

ゴウミは迷った


(こっここは! 僕はそんなつもりはないですというべきか! そうすれば嘘だと言って反論して責め苦を受けるべきか……アへエエ! どっちだだあ)


と興奮をしながらゴウミは悩んでいた。

するとベイリーはゴウミを睨み着けていた。

ゴウミはその視線を快感に感じながら


「アヘエエ……すみません……そうです」


とつい言ってしまった。

だがゴウミは


(これはこれで良い!)


と無理矢理言わされたことそのものに喜びを感じた。

それを見ていたハル姫は


「なるほど……分かりました……」


と悲しそうにしていた。

ベイリーは醜く笑いながら


「聞きましたか! この汚らわしい人間のやり方を! 正々堂々な精神も持っておらず自分の意思もなくやることを終わればもうどうでも良いような生きる気力のないゴミの様な人間を! いや! この者はもはや人間と呼ぶに相応しくない汚らしい害虫と言っても過言ではありません! そんな存在に慈悲を与えること自体間違ってしまったのです! どうかこの害虫に相応しい罰を!」


とハル姫に向かって訴え掛けた。

それを聞いていたゴウミは俯きながら嬉し涙を流し


(ううう……ベイリーさん、そんなに僕の事を見下してくれるなんて……なんてドS極まりない人だ……心から……心から感謝いたします……)


と口を押えながら喜びに打ち震えていた。

ハル姫が何故かゴウミの方に目を向けていたのとリブアイは悔しそうにしているのは気になっていたが今のゴウミにはもう何も関係なかった。

そして、ハル姫は悔しそうにしたまま


「残念でなりません」


と覚悟を決めたように2人を見た。

それを見てゴウミは


(アヘエエ!! ああ! 僕はどうなるんだろう! この後どうなるんだろう!! このまま拷問部屋に連れていかれて情報を吐かないとこの拷問は続くぞと言われ続けて爪を剥がれて指を千切られて骨を折られて肋骨を折られて肺を突き刺して血を吐かせて目を潰されたり鼓膜を潰されたりと!! 色々と知ってるぞ! 魔法ならば電撃か! それとも焼印か! 楽しみだあああ!!)


ドクンドクンドクン


と鼓動が高まり、


ドッドッドッドッド


と心拍が早まった。

ベイリーはニヤニヤと笑いながら


(フハハハハハ! これであの汚い害虫を城から追い出せるぞ! あんな汚らしい害虫が城に居ることそのものが罪なんだ!! あんな害虫は害虫らしく汚い場所で汚く飢えて汚らしい死体になれば良かったのだ! ハハハハハハ!! これでハル姫は俺を信頼して俺の地位をもっと良いものにいいい!!)


と心の中で喜んでいた。

2人は心の中に同時に


((フハハハハハハハハハ!! やったぞ!! やったぞお!! ハハハハハハハハ!!))


と喜んでいるとハル姫は


「貴方には失望しました、ベイリー」


と冷たく言い放った。


「「……え」」


と2人は思いっきりキョトンとした。


リブアイも呆れたように


「まさか……姫の慈悲に気付かないなんて……私も残念でならない」


とベイリーを見ていた。

ベイリーは予想外の事が起こったように驚愕しながら


「な……何を言ってるのですか? 失望するべき相手はゴウミでしょう? そこの害虫でしょう? 一体何を……」


と焦ったようにハル姫に訴えかける。


「そうです! 明らかに僕が悪いでしょう!」


とゴウミもハル姫に訴え掛ける。

ハル姫はゴウミに優しい表情で


「大丈夫ですよ、貴方は嵌められている事と脅されていた事は見ていて分かります」

「何が!」


とハル姫の予想外の言葉に驚愕して乱暴な言葉を使ってしまうが


「ゴウミよ辛い思いをさせたな、しかしもう大丈夫だ……」

「ええ!?」


と一体2人が何を言っているのかを理解出来なかった。

ベイリーは


「一体どういうことですか! この者が行ったことを嵌められたとは!」


と思いっきり冷汗を掻きながらゴウミを指差して言った。

ゴウミはそれに同調するように


「そうです……僕が悪いんです……」


と物凄く申し訳なさそうにするが


「ゴウミ君は少し分からないでしょうがベイリー、貴方には話があります」


とキッと睨み着けた。

リブアイも睨みながら


「オイエア様、ここへ……」


と廊下の方を見てみると、そこから先生は白髪の眼鏡を掛けた少しクマのあるスーツを着た女性が現れた。


「初めまして、オイエアと申します、ゴウミ君」


と言って突然自己紹介をしてきた。

ゴウミはキョトンとしながらオイエアを見つめる。

そして、オイエアは優しい表情でゴウミを見つめた後


「ベイリー、貴方の策略は崩れています……気付かないのですか?」


と悲しそうな表情で聞いた。

ベイリーは汗を掻きながら


「バッバかな……いったい何の……」


と恐怖で震えている様子であった。

ゴウミはそんなベイリーを見て気付いた


(まっまさかあ!! まさかアアアアア! 嘘だろ! 違うよな! 僕らの策略に! ベイリーさんが僕を嵌めてくれているって!! 気付いているというのか!! だがいつだ! いつ気付いたんだ!! そんな暇はなかったはずなのに!! はずなのに!)


とそんな恐怖心が現れ始める。

そして、ハル姫は


「ベイリー、貴方とゴウミのやり取りは全てリブアイが見ていたのです」

「「!! 何!!」」


と2人は衝撃を受けた。

リブアイは睨みながら


「当然だ、ベイリー、お前がゴウミに対して明らかな軽蔑心を見せていた、そんなお前の指導を見張られないとでも思ったのか?」


とベイリーに言い放った。

2人ともまさか自分達のやり取りをずっと見られていたとは気付いてもいなかったのだ。

ベイリーはゴウミをどうやって城から追い出すかを考えすぎて

ゴウミはどうすれば自分の性癖に合った環境を作れるかを考えすぎて

両者ともリブアイがそこにいるとは気付いていなかったのであった。

そして、オイエアは


「貴方がゴウミに対して私の部屋を掃除するように命令を下して掃除をさせたのは知っています」


と説明を始める。


「ゴウミに最初の部屋を掃除させて注意をされた後、考えたのでしょう……リブアイに叱られた時点で改めてくれるならば嬉しかったのですが……それでも貴方はゴウミを嵌めようと考えていた……違いますか?」

「違う!」

「私の部屋の書類の文字をゴウミが読む事が出来ないと考えもしなかったという事ですか!」

「そんな事知るわけがない! 分かるわけがない!」

「何故ですか! 彼は奴隷としてずっと生活していました! もし幼少の頃から奴隷だったとすれば文字を読めないと思わなかったのですか! 貴方は本当に気付かなかったのですか!」


とベイリーを問い質す。

ベイリーは頭を弄りながら


「そんな事気付いていません!」


と言い切った。

それを聞いてゴウミは


(よし! まだチャンスはあるぞ! ベイリーさんは僕が文字を読めないとは気付いていなかったみたいだ! 実際掃除をした際何が記載されているのか分からなかった! 取り敢えずは机の上の書類は捨てていなかったが僕が上手くフォローをすれば!)


と考えてゴウミはハル姫たちの方を見て


「僕が悪いんです! 読めないとはいえ質問もせずに勝手に捨てたのが! なのでベイリーさんは……」

「ゴウミ君、貴方は優しいのですね、貴方自身を嵌めて貶めようとしたベイリーを今尚庇うとは……ベイリーさん貴方はそんな彼を見て何とも思わないのですか!」

「違う違う! そいつは我々を騙そうとしている! 私は何も間違っていない! それにその害虫がオイエア様の大切な資料を捨てたのは間違いないんだ! もう取り返しのつかないものを!」

「これの事ですか」

「そうそうれ! ……何でそれを……」


とベイリーはオイエアの持つ資料を見て唖然とした。

オイエアは


「ベイリーさん貴方こそ何を言ってるのですか? この資料に何かあってはダメなんですから予備は作っていますよ、残念でしたね」


と呆れていた。

ベイリーはそれでも


「しかし! こいつが資料を捨てていたのは事実! 例え予備があったからと言ってゴミの罪は変わらない! この私が命令した証拠があるからって! いくら何でも私の責任だけというのは横暴ではないですか!」

「認めましたね……命令を下したことを……それに貴方は嘘を吐いている、貴方は彼が文字を読めない事について気付いていたのではないですか?」

「何を証拠に!」

「貴方……嘘を吐くとき頭を弄る癖がありますよ……その質問をした時貴方は頭を弄っていましたよ? 皆知っていますよ? 貴方のその癖……」


と冷めた目でベイリーを見る。

ベイリーは


「そんな! そんな事が証拠にはならない! こいつが捨てたのは事実だ! そいつはデンター組織のスパイなんだ……だから……私を信じてください! ここでずっと仕えてきた私を……どうして信じてくれないんですあ……」


と涙が溢れ出した。

ゴウミは


「そっそうですよ~さすがに僕が悪いんですし~」


と打ち震えながらも援護射撃するが


「ではどうしてゴウミ君は机の書類を捨てなかったのですか? 普通デンター組織のスパイであるならばそれすらも捨てませんか? どうして床に落ちている資料だけを捨てるのですか? それに行動を起こすのも早すぎますし、貴方を庇わずに見捨てるはずです……貴方を今も尚庇い続けている事こそ彼がスパイでないという紛れもない証拠になるのではないですか?」

(しまった!! 庇い過ぎたというのか!!)


とゴウミは俯き悔しそうにする。


(こいつ! まさか私を庇ったのはこの為か!!)


ベイリーはゴウミを見て悔しそうにした。

ハル姫は


「もう宜しいでしょうか? 今の時点で出てきた証拠は貴方がゴウミを嵌めた事だけで、ゴウミ君がデンター組織のスパイである証拠は未だ出てきていません、話を聞く限りただ知らずに資料を捨ててしまったそれだけです」


とベイリーとゴウミに話し掛ける。

2人は冷汗を掻きながら


((どうしてこうなった!!))


とだけ考えていた。

そして、ハル姫はベイリーに


「ベイリー、貴方は国外追放にします、今まで仕えてくれて本当にありがとう、残念でなりません」

「!! 一体何を! 何故私を!! そんな! 馬鹿な!」

「馬鹿はお前だ……ハル姫はお前が正直に話すことを信じてずっと待っていたのに、貴様は醜くゴウミに全ての罪を擦り付ける事しか考えていなかった……お前はハル姫の信頼を裏切ったんだよ……それがどういう事か分からないお前ではあるまい……」


とガッカリしながらリブアイはベイリーの肩に手を置く。

するとベイリーは握り拳を作りながら


「……まれ」

「? 何だ?」

「だまれええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」


とリブアイの手を振り払いゴウミに掴みかかった。

そして、ゴウミを睨み付けながら


「この害虫のせいで!! こいつのせいでええええええええええええええええええええええ!!」

「アへエエ!」


バゴオン!!


そのままゴウミは殴りつけられた。

そして、


「ふざけるな!! 害虫害虫害虫うううううう!!!」


バゴオオ!! バゴオオ! バゴオオ!


とゴウミの腹を蹴りつける。

リブアイは素早く


「止めろ!! 何をする!!」

「止めなさい!!」


ハル姫は立ち上がりベイリーに言い放つがベイリーは


「糞が!! 糞がああああああああああ!!」


とマウントを取ってゴウミを殴りつけるが、リブアイに羽交い絞めにされて


「この糞野郎が!!」


とベイリーの頬を


バゴオオ!!


「ゴボ!!」


と殴り、そのままベイリーは気を失った。

そして、ゴウミの様子を見て


「大丈夫か! ゴウミ!! しっかりしろ! ゴウミ!!」

「アヘエエエエ」


とそのまま快楽の海へと沈んでいった。

ハル姫は慌てて


「すぐに医務室に運んでください!!」

とリブアイに命を下した。

そして、リブアイはゴウミをそのままナンジーの医務室へと運んで行った。


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医務室にて


「歯が数本折れているわ、酷い腫れだし、でもなんで嬉しそうなのかしら? まあいいわ、とにかく治療いたします」


とナンジーはゴウミの表情に疑問を持ったがすぐに自分の仕事に移った。


「ありがとうございます」


リブアイはナイジーに礼を言って部屋を出た。

するとベリダが来て、


「どうでしたか? ゴウミ君治りそうですか?」

「大丈夫だろう、怪我は酷いがあの過酷な環境を生き残った少年だ、だがベイリーの行った行為は許されない、ゴウミが目覚め次第体調に問題がなさそうならすぐに姫と話し合おうと思っている」


「ゴウミ君の精神的にも辛いかもしれないでしょうね、なんせベイリーの罪を被らないとと思ってしまうほど追いつめられていたのですから」

「そうだな、我々は彼をここへ連れてきて不幸なことばかり味あわせている、本当に申し訳ないことをした」


リブアイは落ち込んみながら言った。

その頃ゴウミは寝たふりをしていた。


(アヘエエ! とても良い、この痛みが永遠と続けばいいのに! きもひいいいいい!! きもひいいいいい!!)

と興奮気味であった。

それが原因かゴウミの頬は赤くなり、


「心拍が早いわね、どうしてかしら?」


とナイジーは頭を抱えていた。

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