第27話 グランドロス
そして三日後、数多の国の連合が大規模の会議を開いていた。
「此度の結果は何事か!」
それぞれの国の指揮官が問う。
「元帥殿!説明していただきますかな」
説明責任を問われ、丸眼鏡をした元帥が謝罪をする。
「此度召喚された勇者は飛び道具に強い魔法を持っていた。
そのため遠距離から攻撃を行う魔術王に強いと思ったのだが……これは私の失態だ。故に返す言葉もない」
「魔術王の力は未だに未知のものです。
おそらく本気すらだしておらぬでしょう。そのため攻める時は連合全戦力を持って叩かねばなりません」
「誠にすまない」
元帥が大きく頭を下げる。
「この戦いでかなりの兵を持っていかれた。また立て直すにも時間がかかるであろう」
「弓の悪魔に戦力を削がれなければこんなことには……」
「そうだな、5帝王の市民共は弓の大英雄と言われもてはやされているが、我らからすれば悪魔よ。」
「しかも我らの国までそのようなことを言う輩がいると聞くではないか」
そのようなことを話していると、突如知らせが舞い込んだ。
「申し上げます!
連合を脱退したあのゼラード王の国を落としたジノラバが、多数の国を攻め滅ぼしているとのことです!!」
「なに!!」
ゼラード王を倒し、勢いを増したレヴェルトの治めるジノラバが周りの国を次々と攻め落としていた。
兵力は少ないが多彩な魔法により、次々と落とされ降伏する国が多数出たのだ。
「おのれ!なぜこうも恵まれた力を持ったものが生まれるのだ!」
こうして大幅な戦力のダウンにより、連合は力を失ってしまったのであった。
ウルドニア、王城──
気になっていたジノラバが破竹の勢いと知るや興味を抑えられない大地の王がいた。
「また落としたか!ここの王はまたしても余の興味をそそる!!」
グランドロスは宰相のような長髪の男と楽しそうに話す。
まるで我が事のように話すグランドロスに宰相の男は笑みを隠せていなかった。
「やはりそのジノラバなる国が気になるのですかな?」
「うむ、ジェバード!余はこの国を治める王とやらが見てみたい!
一度戦って奪い取ろうと考えたが、気が変ったわ!!
余はこの国と友好的な関係でいたい!」
「また魔術王とは違う考えですね」
「そうさな、あの王とはいずれ決着をつけるライバルであり、朋友である!
だが、攻め滅ぼすだけでなく何かと協力してみるのもまた一興と思うてな!」
光さす城内。
また新たな歴史が動き出そうとしていた。
「そこでこの国に目を付けたと?」
「会ってみたいではないか!!
これほど行動力のある王がどのような王道を掲げているのか!!
どれほど人を惹きつけ、どれほど羨望されるのか!
この大地を駆け巡る王が見ずしてなんとする!!」
グランドロスは大笑いしながら記事を見ている。
その様子をジェバードは微笑みながら見る。
「そうですね。今なら連合の力も弱まっています。
邪魔する者は誰もいないでしょう」
「そうか!!
では行くか!最果ての地へ!!此度は遠征ではなく!外交として!」
この王との出会いが、これからのレヴェルトの人生に大きな宝をもたらすとは誰も思っていなかった。
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