第3幕+エピローグ

▼コリンダの原

 女神と魔神とアルド達がいる。メリナは倒れたまま。

モケ「三日目の太陽が沈むのだわ...。」

ヴァルヲ「太陽どこだよって言うのも、これで三度目か...。」

ノア「きっと、プライは戻ってくるわ...。」

モケ「本気で言っているのだわ...?」

ノア「...きゅーん。」

モケ「ノアのモノマネはやめるのだわ...。」

 何かに感づいた女神と魔神。

女神「...いえ、来たようですよ。」

ヴァルヲ「あれは...!」

 プライが大勢連れてきたのを壮大に演出。

ノア「プライ!」

モケ「なのだわ!」

プライ「魔神よ!与えられた試練を乗り越え、戻って参りましたぞ!」

魔神「ほぉ、これは100…、いや300人はいるな。友人の紹介、大いに結構。ここにたどり着いたということは、その信頼は本物だ。プライよ、これほどまでとは思わなかったぞ。」

プライ「さあ、最後の試練を与えられよ!そして、三人を元に戻すのだ!」

魔神「いいだろう。最後はお前のトラウマを呼び起こす姿で戦ってやろう...!」

 黒い靄が大きくなり、メルロ区付近に現れた魔物の姿になる。

モケ「あれは、あのときの魔物!」

ノア「姿形に惑わされるとは思わないけど...、嫌な記憶が蘇るわね。」

魔神「さぁ、我を倒してみせよ!...ただし、後ろにいる仲間を守りながらだがな!!」

 魔神が光のブレスを放つ。咄嗟にプライも法力を放つ。ふたつの力の押し合いが始まる。(この様子は片方ずつを映す。両者を一つのカメラに収めなくて良い。)

女性「きゃあああーーー!!!」

プライ「くっ!」

魔神「やるな!しかし、その元々の法力でどこまで耐えられるかな?」

 魔神が更に押してくる。

プライ「ぐぅぅ...!この身に変えても皆をお守りしなければ!...いや、倒さなければアルド殿達は救えない!なんとしても勝たねば!」

 じりじりと押されて後退していく。

魔神「くくく。ここまでか?」

バンドメンバー「プライ!」

女性「プライさん!」

信者「プライ殿!」

 仲間達から光が溢れる。

女神「これは...!?」

 光がプライに集まる。その光が収まるとイケメンの姿になっている。

ヴァルヲ「あれは呪いの姿!?」

魔神「いや、呪いを使いこなすようになったようだ...!」

プライ「皆の想いの力が溢れてくる...。これならば!」

 じりじりと前へ。

プライ「うおおおおおお!!!」

 プライの法力が勝り、魔神に直撃する。

魔神「ぐおぉぉ...!?」

モケ「決まったのだわ!」

ノア「所詮は見かけだけ...。法力は通用するようね。」

ヴァルヲ「ん...?なんだか俺たちにも変化が...。」

 アルド達の姿が光に包まれる。そして収束。

ヴァルヲ「にゃーん?」

メリナ「これは...。」

チルリル「元に戻ったのだわ!」

 魔神、起き上がる。

魔神「くっ、今の一撃で我の力が緩んでしまったのか...。」

メリナ「...これって私たちも加勢していいのかしら?」

魔神「ふむ...、いいだろう。お前たちを戻したのも奴の力。そして、容姿に恵まれた者はそうでない者を助ける義務があるのだ。」

アルド「そうか、それは良かったよ。」

メリナ「この腹痛のお礼は数百倍にして返してあげるわ。」

チルリル「今日は腕で剣を振りたい気分なのだわ。この意味を、その身をもって知るがいいのだわ...!」

 バトル。勝利後。

魔神「ぐぉぉ...!?馬鹿な、この私が...消え...!」

 魔神消える。

プライ「やった...、のか。」

 膝をつく。姿が元に戻る。歓声が上がる。

群衆「うおおおーーー!!!プ・ラ・イ!プ・ラ・イ!」

 女神、プライの下に来る。

女神「良い仲間に恵まれましたね。」

プライ「はい。容姿など関係なく、相手に寄り添えば分かり合えるのだと気付かされました。」

女神「そうですね。今のあなたは立派なイケメンですよ。」

 女神が宙に浮く。

チルリル「あっ、女神様が消えていくのだわ...!」

女神「私は困っている人をイケメンに変える女神。私は役目を終えました。それでは、皆さんに良いイケメンライフがあらんことを...。」

 女神消える。

アルド「消えた...。」

メリナ「なんだったのかしら...、本当に。」

プライ「ありがとうございました...。困っている人をイケメンに変える女神様...。」

 一拍置いて。

チルリル「なにはともあれ、みんな元の姿に戻れて良かったのだわ。」

プライ「本当ですな。」

メリナ「...さて。あなたが元の姿に戻ったところで、改めて私達から言いたいことがあるの。」

プライ「なんでしょうか?」

 一拍置いて。

チルリル「(微笑んで)はじめから、」

メリナ「(微笑んで)あなたが変な呪いにかからなければ、」

メリナ&チルリル「こんなことにはならなかったのよ!のだわ!」

プライ「ごもっともッッッ!!!」

 二人に吹き飛ばされるプライ。チルリルは魔法で剣を浮かせて手加減している。

アルド「プ、プライーーーー!!!......ん?」

 吹き飛ばされたプライは女性たちの中にいる。

女性「プライ様、大丈夫ですか!?」

女性「あの二人、なんて野蛮なのかしら。」

女性「あんな人達放っておいて、私達と楽しいことしましょ。」

 カメラをアルド達に戻す。画面外からプライの声。

プライ「ぬ、ぬわーー!」

 一拍置いて。

チルリル「...なんなのだわ。妙に腹が立ってきたのだわ。」

 チルリル、画面外の女性たちに駆け込んで去る。

チルリル「こらーー、プライにベタベタ触るのはやめるのだわ!これから話しかけるときはマネージャーである、このチルリルを通すのだわ!」

アルド「はは...は...。」

メリナ「やれやれ...。とんだ災難だったわね...。」


▼メルロ区

 子供達と話しているプライ。

子供「最近は支援物資が多いね!」

プライ「大陸で出会った人々が、我らの助けになるものはないかと色々送ってくれるようになったのだ。」

子供「大陸すげー!」

プライ「感謝して分け与えるのですぞ。」

子供「はーい。」

 メリナ来る。

メリナ「あら、来ていたのね。」

プライ「メリナ殿。」

メリナ「...神の所在は掴めないけど。こうして助け合いの輪が広がっていけば、私たちはこの大地でも生きていけるのかもしれないわね。」

プライ「そうですな。私たちがこの地に閉じこもっていたら、いずれ破滅していたに違いありませぬ。」

 一拍置いて。

プライ「...今回は呪いで散々な目に遭いました。ですが、それでも感謝しているのです。実際、西の大陸への支援も広がりました。以前の私のままでは、こうはいかなかったでしょう。」

メリナ「きっかけはどうであれ、あなたが前に進めたようで良かったわ。...それで?サラマンダーのように熱い男にはもう会えないのかしら?」

プライ「(小さく笑いながら)...残念ながら、このプライ。サラマンダーの如き熱さはまだ捨てることができそうにありませぬ。」

メリナ「(小さく笑いながら)...でしょうね。本物のサラマンダーは自分の熱で身を滅ぼしたりしないでしょうから、そのあたりも上手くやってみせなさい。もし火事になりそうな時は、私が鉄槌で叩き消すから覚悟しておくように。」

プライ「はい。肝に銘じておきます。」

 一拍置いて、小さく笑いあう。

メリナ「燃え続けなさい。あなたの熱さはこの痩せ細った大地に必要だわ。」

 カメラを引いて幕引き。

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プライとイケメンになる呪い @tetsuya00

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