第7話
吸血鬼の彼女との同棲を始めて数日が経った。彼もこの生活にも少しづつ慣れてきていた。
吸血鬼の彼女との生活は毎朝起こされるところから始まる。
「ちょとあなた!いつまで寝てるつもりなの?おなかすいているんだけれど。早く起きてもらえないかしら?」
「むにゃむにゃ…」
「いい加減起きないと刺しちゃうわよ!」
「むにゃむにゃ…」
グサッ!
腹にものすごい痛みを感じて彼は跳ね起きた。
「い、いきなり刺さないでくれ!痛いじゃないか!」
ちなみに吸血するときと違って刺したときに吸血鬼の彼女の媚薬作用のある唾液を入れられていないので痛みは彼にそのまま伝わってくる。
「あなたが起きないから悪いんでしょ?刺されたくなかったら早く起きたらどう?」
「吸血したかったら俺が寝ている間に優しく吸血してくれたらよかっただろう。君は血を俺からもらっている立場だよなぁ?」
「そんなことを言うならあなたは私に養ってもらっている立場でしょ?それとも元のブラック企業勤めの社畜に戻りたいかしら?」
そういわれてしまったら彼は何も言い返すことができない。
「す、すいませんでした…」ー
「わかればいいわ。」
吸血鬼の彼女は満足そうに微笑んで言った。
「それで早く朝ごはんを食べてもらえるかしら?」
なぜ起きてすぐに彼の血を吸わないかというと、吸血鬼の彼女いわく、朝の血はあまりおいしくないかららしい。栄養も少ないうえに薄いらしいから俺が食事をとった後にいつも血を吸っているのだ。
彼は眠い体を動かして朝ごはんを食べた。今日の彼のの朝ごはんは前日にコンビニで買ってきたおにぎりだ。
つい最近まで彼は朝ごはんはパンとコーヒー派だったが、吸血鬼の彼女に血が劣化するからという理由でカフェインが入っている飲み物は禁止されたのでその時にごはん食に乗り換えた。
「朝ごはん食べ終わったぞー!」
吸血される準備が整ったことを伝える。
「やっと食べ終わったのね。私、すごくおなかがすいたわ。」
瞳を紅くして彼に吸血しようと近づいてきた。そして俺をぎゅっと抱きしめると首筋にかぷっと牙を刺した。吸血される瞬間は何度吸血されても慣れずにドキドキする。
彼は足の力が抜けて倒れないように吸血鬼の彼女に強く抱きしめ返す。以前はなんか照れ臭かったので方に手を添えるだけにして耐えていたが、もう最近はあまり気にせず抱きしめるようにした。
「今日もおいしかったわ。ごちそうさまね。」
彼はへなへなと椅子に座り込んで深呼吸をした。
この生活になってから以前には考えられないほどの自由時間がを獲得することができていた。吸血鬼の彼女にゲーム機を貸してもらったり、スマホやパソコンでネットサーフィンなんかをして毎日時間を持て余している。
今日も何か面白いことがないかとスマホを開いた瞬間、インターホンが鳴った。基本的にこの家には来客がない。なぜなら家の主人が吸血鬼であるからだ。
彼は珍しいことだと思いながら玄関を開けると吸血鬼の彼女よりも一回り幼い見た目の少女がいた。
「き、君はだれ?」
俺が声を掛けると少女はそれを無視して家の中に入り込んだ。
「あ、お姉ちゃん!やっと見つけた!ずっと探してたんだよ!ママもお姉ちゃんがいなくなってからずっと探していたし。」
家に入り込んだの来た少女は中学生くらいの見た目で三日月と同じ紅い目をしていた。
「お、お姉ちゃん!?」
彼は少女の口から出た意外な言葉を反芻していた。
「さ、さーか?」
吸血鬼の彼女はとても驚いた顔をした。
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