030 夜番の日記Ⅰー突然の出逢いー

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 昨夜、夜番のためにアスキン牢獄へ到着した私は、驚きのあまりこの目を疑いました。ちょうど私がいつも夜番で座る椅子の前の独房内に、見たこともないような明るく優しいベージュ色の髪に、煌めく琥珀色の目をした美女を見つけたからです。彼女を見た瞬間、動揺を隠しきれませんでした。


 「君、この前私が夜番の時はいなかったよね」


 と話しかけると、彼女は「今日連れてこられた」と困惑した表情で言いました。


 「勘違いか何かされてるんじゃないかな。たぶん疑いが晴れたらすぐ帰れると思うんだけど……」


 そう言いながら、彼女はこの世のものとは思えないほど美しい笑顔を私に向けました。私は知っています。この牢獄内で、拷問室と直結しているこの独房区間に拘束されている人たちは魔女の嫌疑をかけられていることを。彼女はまるで自分のかけられている嫌疑を知らない様子で、ただただ善良な民の1人にしか見えません。


 「なんで拘束されたの? 悪いことでもしたの?」

 「それが、わからないの。今日、家に急に男の人たちが来て、連れてこられて……。母さんが心配してると思う。母さんは産気づいた妊婦さんのところに行っちゃったから。あ、母さんは産婆さんなの。うちに帰って私がいなかったら心配してるだろうな」

 「手紙、書きたい? お母様に」

 「書きたいけど……紙も万年筆もないから」

 「次、私が夜番の時に持ってきてあげる」


 私がそう言うと彼女は目を輝かせました。その彼女の瞳はまさに夜空に瞬く星のようで、私は彼女を少しでも喜ばせることができたことに大きな満足感を覚えました。


 「その代わり、約束して。この牢獄には決まりがあるんだ。手紙は出すときに絶対に所長の検閲を受ける。手紙に書いてる内容によっては届けてもらえないこともあるんだ」

 「え……。な、何なら書いてよくて、何を書いたらダメなの?」

 「私は検閲せず、内密に君の手紙をお母様に届けてあげる。だから、手紙を書く時は私が夜番の時に書くんだ」


 彼女はその琥珀色の瞳にうっすら涙を浮かべながら私に何度も何度も感謝の言葉を言いました。ため息が出るほど美しく透明な声で。


 魔女狩りで拘束される場合、何者かによる告発者がいることがほとんどです。誰が告発したのでしょうか。なんとなく嫌な予感が私の心の中に渦巻いています。父上なら、何か事情を知っているのでしょうか。

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