第205話~S級ロリコン探索者、帯刀傑~
「空君、さぁ共に街に出てロリを愛でようではないか!」
「あ、犯罪のお誘いはNGでお願いします」
「犯罪ではない! ……これは、目の保養だ」
「とりあえず吉田さんに連絡しますね」
ヤバい道に引きずり込もうとしてくる
「それだけは勘弁してくれたまえ。私だって捕まりたくないんだ。……ロリを愛でられないからね」
「…………」
「なんだねその目は? 君も幼女の匂いをプンプン漂わせているじゃないか!」
「そんな匂いしてました俺!?」
とっさに服を嗅いでみるが、特に自分の匂いしかしなかった……。すると帯刀さんが慈しむような目で俺の肩に手を置く。
「ロリの匂いは鼻で分かるものじゃないんだ。感じるんだよ、心で……」
「だったら匂いじゃなくないですかっ!?」
「ダメだよ、匂いって言った方が……こう、ヤバい背徳感が出るだろ?」
「…………誰か助けてー」
最高に気持ち悪い人から目を逸らすように、俺は天を仰いでそんな言葉が口から漏らした。
「おっはようございます空君! 所でこちらの方は誰ですか?」
「女神だ!」
運良く現れたのか、俺の祈りが通じたのかは分からない。だが目の前にいた琴香さんに、俺は過去最高の運命を感じた。
「むっ? ……なんと、素晴らしい! 完璧な合法ロリ巨乳ではないか。たぁんと拝ませてもらおう!」
「うぇっ? そ、空君この人誰ですっ? な、なんかヤバそうな雰囲気がプンプンするんですけどっ!?」
「S級ロリコン探索者の帯刀傑です、覚えておいてくれると助かります、お嬢さん」
「ロリコンっ!? そ、空君に近づかないでください! 空君は既に片足がロリコンの沼に浸かってるんです。これ以上浸かると私の勝率が下がるので許容できませんっ!」
「浸かってないからっ!?」
ダメだ、琴香さんも琴香さんでいつもよりおかしくなってる。混ぜるな危険の2人っぽい!
「それにしてもこの匂い……てっきり空君の匂いに付いているのはお嬢さんの匂いかと思いましたが……あと2人、でしょうか? 別のロリの匂いがありますね」
「気持ち悪いですぅぅぅっっっ!?!?!?」
帯刀さんの言葉と共に浮かべられた笑みを見た琴香さんが思わず大声で叫ぶ。
「帯刀さん……その、捕まるようなことはしてませんよね?」
「何を言うに事欠いてそんなことを尋ねるとは……当然していないに決まっているだろう! 捕まってはロリを愛でることが出来ないではないかっ! YESロリータNOタッチ! 紳士とはそういう物なのだよ、空君」
「……空君、S級の男性ってみんな烈火さんや帯刀さんのような変態さんなんですかっ? 空君はこうなりませんよねっ? ねっ? 私、信じてますから……!」
もちろんです……その言葉を、俺は日本のS級筆頭の平塚本部長がアニメで発狂していた姿を思い出し、口に出す事が出来なかった……。
そうだ、思い出した……一香さんが亡くなる前に東京に呼び出され、疲れた顔で帰ってきて時に話していたじゃないか。ロリコン野郎とシスコン野郎と百合女とオタク野郎……二次コン野郎との顔合わせが疲れた、と……。
あぁ、今更になって気づくのか俺は。一香さんが言っていた集まりとはS級探索者だけが集まる会議の事だったのか……うん、そりゃ確かに疲れるわ。
「空君返事をして下さいっ!? 嫌です、空君がロリコンになったら私は胸を削ぎ落とさなくちゃならないですかっ!」
「あ、すみません。ちょっと現実から目を背けてました。削ぎ落とさなくても大丈夫です」
「お嬢さん、たとえ削ぎ落としたとしても、お嬢さんではちっぱいにしかなりません。ロリとちっぱいは別のものです。それがたとえ合法ロリであっても」
修羅場と言うのだろうか? 傍から見ると絶対に近づきたくない会話の応酬が始まり、帯刀さんがロリとちっぱいの違いについて語りだす。
「良いですかな? ロリというのはこれから先の成長に伴って乳房が発達する可能性がある存在であって、ちっぱいや貧乳というのは発達しきってなお乳房が小さく、確定した結果の事を言います。なのでたとえ合法ロリ巨乳が胸を削ぎ落とした所で、ちっぱいにしか入らず、ロリとは似て非なるものになるのです。……お分かり頂けましたかな?」
俺と琴香さんは帯刀さんをもはや別次元の存在として認識していたのだろう。そう表現するに相応しい目を向けていたはずだ。
「あら、傑君、わたくしの大事な子に何してるのかしら~」
「芽衣っ!? 百合好きがなぜ男の部屋に訪れて……!? いや待て、大事な子だとっ!?」
「えぇそうよ。その子は一香の息子~……なら、一香を妹のように可愛がっていた、わたくしの息子でもあるわけなのよ」
俺がいつの間にか本能で出していたらしいヘルプに駆けつけてくれた吉田さんがそんな宣言をする。
「ぐっ! 例えそうだとしても、同士である空君を貴様のような輩に近づけさせる訳には──」
「──今はこれ以上近づくな。……去勢しますよ~?」
「ヒィィィッ!?!?!?」
ガチで潰すかのような眼で帯刀さんを睨みつけた吉田さんの眼光に、帯刀さんはすぐどこかへと行ってしまった。あの睨みには俺の股間もヒエヒエだよ。
「さぁ、おじゃま虫はこれで消えたわ~。空君、早速頼ってくれるなんて嬉しかったわよ。また困った事があったら呼んでね~」
「あ、ありがとうございました! 助かりましたっ!」
俺は吉田さんに対して、一香さんやサリオンさんと同じ敬意を抱いた。……実にしょうもない事が理由だが。
「所で空君、今日は最後の休日でしたよね?」
「えぇ、そうなってますね」
琴香さんの問いかけは正しい。今日一日は休日に当てられる。そして明日、S級迷宮が開いたこと、俺がS級探索者となったことなどが公表されることになった。
だが何故それを琴香さんが知っているかについてだが、その理由は簡単で、琴香さんもS級迷宮の攻略に参加することになったからだ。
A級の中でも限りなくS級に近い琴香さんに、S級迷宮攻略の要請が掛かるのは当然だった。俺は反対したが、琴香さんは俺が行くと知ると着いていくと言って聞かなかった結果、琴香さんも参戦することとなったのだ。
「じゃあ……今日の予定が無ければ一日付き合って欲しいんですが」
「いや~、そうしたいのは山々なんですが……翔馬やエフィー、ヘレス達エルフの事とか考えると外に出るのはちょっと……」
「むぅぅ、空君のケチっ! ……冗談ですよ、空君はトレーニングするんですよね?」
……バレていたか。確かに琴香さんの言う通り、俺は残りの時間を訓練に当てようと考えていた。S級になれる身体能力がどれぐらいかを知りたかったからだ。
今日1日をどれだけ遊んだって気分が晴れるとは思えないしな。それなら鍛錬でもして生き残る確率を上げたかった。
……だから帯刀さんが俺を誘ってくれたのは純粋に嬉しかったよ。気分転換に誘ってくれたんだし……ただ内容は駄目だったけど。俺は決してロリコンじゃない!
「という訳で……私も混ぜてください、その訓練に」
「了解です」
という訳で琴香さんとの訓練が始まった。
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