最終章 彼らの選択
第152話
私たちは魔物の襲撃を撃退したあと、アリスの薦めで自宅に戻ってきた。目立ってしまうと秘密にするのは困難になるからだそうだ。まあ当然か。
アリスとショウは戦後の事後処理のためシシーオ領に残った。もしかしたら色々な質問責めに合ってるかもしれない。少し申し訳ない気分になるけど、あの
時刻は遅かったが、晩ご飯は自分たちで作ることにした。私とサトコが二人でキッチンに立つ。ルーは昼間散々ケータと一緒にいたので、ここらで美味しいご飯作って挽回しとかないといけない。
考えてみたら、ルー抜きで料理するのは初めてで少し不安もあったけど、良いのが出来たと思う。ケータの「美味い美味い」言いながらの食べっぷりに、私とサトコはホッと一安心した。
それから私たちは、それぞれの情報を共有することにした。
先ずはケータが西門であったことを話し始める。
キングリザードマンや炎の勇者の撃破。カミラがスンゴイ強かったこととユイナのこと…
「ユイナは無事なの?」
ユイナがなかなか目を覚まさなかったと聞いて、思わず心配で声を張り上げた。
「大丈夫、ボクらが帰る頃には目を覚ましたよ」
目覚めたユイナは自分を恥じてたらしいけど、カミラはとても褒めてたんだって。何だか勝手に仲の良い姉妹のような姿を想像してしまった。
それから次は私たちのこと。
カリューを従えたアリスの勇姿。アインザームとハイラインのこと。隠密勇者の自殺に精霊魔法。それからシシーオ当主がシルフの魔法で無事に回復したこと。
「精霊魔法…ですか」
ルーが口元に手を当てながら、難しい顔をした。
「私は勇者のことには詳しくはないですが、話を聞いてる限り、その隠密勇者が精霊サマと契約してるとは到底思えません」
「そういえば、何かプレートみたいなのを持ってた!」
その時のことをふと思い出して、一応付け加えた。
「プレート…」
ルーは目を閉じて何かを考えていたが、パッと目を開いた。
「分かりません!一度アリスさんにも相談してみましょう」
ルーは「この話はお終い」と言わんばかりにニコッと笑った。いくら考えても分からないモノは分からないんだから、私もルーの意見に賛成。
「ところで、
急にケータがアインザームのことを聞いてきた。反射的にアイツの顔が浮かんできて、ちょっとイヤな気分になる。
「残念ながら元気だったわよ」
私の反応に違和感を感じたのか、ケータが「何かあったのか?」とサトコに顔を向けた。
「ハルカったら、アインザームがホントに強かったのが面白くなかったみたい」
サトコが「子どもよ子ども!」と私を笑った。子ども扱い大いに結構!合わないモノは合わないんだからしょーがない!
「そっか、アイツ強かったか」
ケータが優しい顔で笑った。え?コレってどういう感情?ケータも仲が悪いと思ってたのに…
ケータは自分よりアインザームの方が強いと認めてる感じがする。何だか急にムシャクシャしてきて、私は食卓をバンと叩いた。
「絶対ゼッタイ、ケータの方が強いわよ!」
~~~
翌朝、ちょうど朝ご飯を食べ終わった頃に家の呼び鈴が鳴った。こんな朝から一体誰だろ?またファナの呼び出しとかだったりして…
ルーが「はーい」と玄関に出る。
「思ったよりイイトコだな」
いきなりショウが入って来たと思ったら、私たちの部屋を見回しながら笑った。何コイツ、もしかして褒めてるつもりなの?
「いきなり失礼ですよ、ショウ!」
アリスが慌てたようにショウに続いて入ってきた。
「ごめんなさい。おじゃまします」
アリスが申し訳なさそうにペコペコ頭を下げてる。何でお姫さまより
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