#15・・・魔法少女vs炎の魔法少女①
コアトリクエ――炎の魔法少女。
最も強く、最も可憐で――そして、最も苛烈。炎を自在に操り、戦場を明るく照らした彼女の姿は、まさに全ての魔法少女の道しるべとなるべき存在でもあった。
彼女は生きていた。彼女を慕う者たちが今も生きていたら、喜ぶだろうか。いや、そんなはずはない。
なぜなら彼女は――愛する男に身を捧げて死んだと、そう信じられてきたから。
今まさに――そうなっていた方が何億倍も良かったのだと、目の前で示されているからだ。
「そう。そのコアトリクエだが」
魔法衣の上から、痛々しい拘束具。そのまま立ちすくみ、獣のように唸っている。
後方から聞こえ、歩み寄ってきた入れ墨男の声は、まるで調教師のようだった。
「戦いの果てに心が折れ、俺たちに身を捧げた。そいつは知ってるよな? こいつは、逃げたんだ」
そう、知っている。
コアトリクエの、投降。
魔法少女たちが一斉に絶望し、敗北を喫し始めた転機。何よりも覚えている。
男――ケネスは、猛獣の頬を撫でる、愛玩動物のように。だがその口調は明確に見下していた。コアトリクエという存在を――魔法少女という存在を。
「実験台として、あらゆる疑似魔法兵器のベースとして。そうして牙をもがれた。自らの意志でなッ!」
突然、男はコアトリクエを殴りつけた。
彼女はその場に倒れ込んで、よだれを垂らしながら呻く。
その上にのしかかり、何度も殴打する――血が飛び散る。
何度も、何度も。
コアトリクエは抵抗せず、苦痛の中で、それを受け入れていた。
「やめろ……!」
そう叫んでも、すぐに行動に移れないのは、彼女のあまりの悲惨さに呆然としてしまうからか。
「こいつは高い理想と夢を抱いていた。それゆえ現実から逃げようとしたんだな。そうしてとうとう、頭の中に幻想の箱庭を作り出した。だからどんな痛みを与えられても、平気になっちまったらしい。まあ、俺にこいつがなにを見いだしてるのかは知らないが。従順なもんだ」
男の声に反応するように、彼女は身を震わせた。その口は小さく何かを呟いている。
明確だ。ここではないどこかを見ている。見せられている。見せられ続けている。
「やめろ、彼女を弄ぶな……ッ」
「知らねぇよ」
ケネスは彼女を立たせて、目元の拘束を取り払う。
ああ――ヴァルプルギスは、更に呆然とする。
瞳の色は、まるで変わらない臙脂色。それなのに、まるで違う色。
その目は自分を見ていない。全てを一つの背景として見ている。明白だ。
双眸が、二階から周囲を見回す。
未知の場所に連れてこられた子供のように。
「ほら、見ろコアトリクエ。周りを。ひどいもんだ。死体だらけだ」
そう言いながら、口元の拘束具も取り去る。
途端に、喉の奥から枯れた声が聞こえ始める。
それは絶望の呻き。彼女は顔を悲壮に染めながら、その光景を目にする。
無数の人間の死体。血。倒れている。人々が。
魔法少女が、助けるべき人々が。
彼女は、夢を見ていた。それは悪夢だった。今もなお見続けていた。
「あ、あ……?」
彼女は『信じられない』という顔をして、ケネスを見る。
「誰がやったと思う? なぁ……コアトリクエ」
――知りたがっている顔をした。だから、教えた。
「あいつだ。あそこにいる黒い服の女だ」
すぐそばに寄り添って、指さした。
死体の只中に佇んでいる、黒い装束の女。
目が、あった。
唖然としている。
「あいつが、死を、人々の死を……」
「そうだ。あいつだ。あいつが……壊そうとしてるんだ。お前の、王国を」
染まっていく――コアトリクエのまっさらな脳内が、無垢な激情に、衝動に。
肩で息をして、激しい吐息が漏れ始める。
その先にヴァルプルギスが居る。なにごとかをこちらに叫んでいる。説得のつもりか。
しかし、もう遅かった。
「さぁ、殺れ――コアトリクエっ!!」
「ヴォアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
獣の咆哮とともに、コアトリクエはその場ではぜた。
周囲の手すりをまとめて吹き飛ばし、ヴァルプルギスに飛びかかった。まさに、獲物の喉元に食いかかるかのように。その先にヴァルプルギスが居た。彼女は一瞬遅れて反応した。突風が周囲に起きて、瓦礫や死体をまとめて円状に吹き飛ばした。
ヴァルプルギスはランチャーを構えた。敵は目の前だったから、すぐに撃てるはずだった。しかしその前に、こちらに飛びかかってくる存在は両手に魔法陣を展開。遅かった。
鎖が、床をかち割りながら大蛇のように出現した。獰猛にランチャーに絡みつき、弾き飛ばす。重い音を立てて床に転がっていく。しまった――一瞬気を取られる。
次の瞬間。
彼女の手のひらが、自分の顔に伸びていた。見えなくなる。一瞬、何もかもスローに。
――防ぎきれなかった。
掌底が顔面にぶち当たるのと、背中の床面が丸く陥没したのは、ほぼ同時だった。
その瞬間――周囲に亀裂がほとばしり、激しい振動とともに、ヴァルプルギスは、地面に叩きつけられる。
咆哮――土煙の狭間から見える彼女の瞳。白濁し、正気を失っている。
一瞬、その姿に心を痛めるが――すぐに、拘束から逃れようとしてもがく……。
瞬間。鼻腔をよぎるにおい。瞳を横切る紫色。何かが漏れている。どこかを覆いながら、広がり、視界を――。
「ッ!」
ヴァルプルギスは即座に気づく。毒だ。押さえつけられている自分に降り掛かっているのは。逃げなければ――何事かを叫びながら、がむしゃらにもがく。一瞬彼女の腕が離れる。解放された上体を捻って、強引に彼女の二の腕を蹴り上げる。ふわりとコアトリクエがのけぞる。その瞬間を逃さない。すぐさま宙返り、後方へ着地。毒霧は自分をも巻き添えにするつもりだったのか。
前方にコアトリクエ。ゆっくりと立ち上がる。
呼応するようにヴァルプルギスも立ち上がる。
ランチャーとライフルを構える。
だがすぐに無駄になった。砲身がしゅうしゅうと煙を立てて、溶け落ちていくのが見えた。すぐに手放して、更に後方へ。2つの火器は地面に落ちた瞬間にどろどろの鉄になって消えていった。目の前を向く――ぐらり。歪む。視界。喉の奥からこみ上げる吐き気、痛み。生ぬるい何かが口の中を通って吐き出される。足がたたらを踏む。なんとかこらえる、立ち続ける、向かいを見る――やはり視界がブレる。毒――猛毒だ。ありえない。
ありえない、というのは。その威力についてだけではない。目の前の彼女がコアトリクエであるならばこの魔法はありえない、そういう意味だ。これだけ脈絡がない、多様な魔法を使うことはいかなる魔法少女に置いてもありえない。何においても彼女は、炎の――。
その時、ヴァルプルギスは見た。だらりと下げた腕。わずかに見える首筋。歩み寄るたび垣間見える脚。そこかしこに刻まれている異物。
聖句だ。魔法少女が、詠唱に使用するための。
「ウウウウウ~~~~~~~……ウウウウウウウウウウ…………」
自惚れではないが、詠唱の省略があまりにも当たり前になりすぎている自分のような存在にとって、それは懐かしくすらあった。
……刻まれているのだ。皮膚を切り裂いて、荒々しい字体で、呪詛のごとく。それは彼女がこちらに向かって歩くたびに、血の色に光る。心臓の鼓動のごとく。
胸が痛む。いかなる実験を、拷問を、責め苦を受けてきたのか。
だが、それを問おうにも。目の前の彼女は答えてくれないだろう。
あれだけ美しかった赤い髪を無残にも散らしながら、虚ろな目で迫ってくる猛獣。理性を剥ぎ取られた怪物。
「何……?」
そして、それだけではなかった。コアトリクエが、動きを止めた。
その顔が祈るように上を向き、その口がパクパクと何かを唱え始めていた。小さな魔法陣が顔の上に浮かび上がり、そこから何かが彼女の中に流れ込んでいくのを感じた。すぐに、その動作が何かを理解する。
「自己暗示か……!」
予想は的中した。コアトリクエの呟きが終了し、我に返る。顔がこちらに向いた。新たな光が宿っていた。その腕に、脚に力がこもる。
バキバキ、バキバキ、ゴキッ。
痛々しい、重金属の悲鳴が彼女の体を包み、歪な変化を加える。
しなやかだったその四肢が膨れ上がり、青紫の血管を浮き立たせ……苛烈な筋肉の隆起を生み出す。コアトリクエの姿が、暴力に身をうずめた肉人形へと変貌していく。
「コアト、リクエっ……」
ヴァルプルギスの知っている彼女は、戦いのさなかであっても美しくあろうとし続けていた。その矜持すら打ち捨てて、彼女はもはや、自分の声が及ばぬところまで行ってしまった。
その思いが停滞を生み、ヴァルプルギスは、コアトリクエの次の行動を、止めることが出来なかった。彼女には足りなかった――かつての仲間を手に掛ける『覚悟』が。
「おい、ヴァルプルギスとやら。そいつが使えるように施した魔法が、それだけだと思うなよ」
僅かに残った二階部分から声。顔をあげると、入れ墨の男が居た。
「どういう、ことだ……」
「なぁ、見せてやれよ、お前の夢の果てを!」
その時、カレルレンはピアノの鍵盤から指を離した――。
「もはや伴奏は必要ない――第二幕の開演だ」
コアトリクエは地面に腕を這わせた。そこから鎖が伸びて、植物のように枝分かれしていく。その先には――兵士の死体。ヴァルプルギスが生み出した死骸。そして、腕の聖句が再び脈動。鎖は死骸に到達し、巻き付いて……黒い光を放ち始める。何かが放射されているのだ。
「だめだ、」
ヴァルプルギスは気付く。何が起きようとしているのか。兵士たちの亡骸が震え始める。コアトリクエが呪詛のように言葉を呟いている。知っている――その先で起きる現象を。
心臓が鼓動し、見たくないものに蓋をする如く悲鳴をあげる――。
「だめだ――それだけはだめだ、コアトリクエっ!」
鎖に何かを注ぎ込まれた兵士の遺体達が、ゆっくりと持ち上がる。糸で吊り下げられるかのように。それから全身を震わせ、完全に起き上がっていく……揺らめく陽炎の如く。ヴァルプルギスを取り囲むように、死者たちが、死者のままで蘇る、兵站として。
「これが――私の、夢……私の、世界……!」
虚ろな瞳のまま呟くコアトリクエは、心なしか、笑っているように見えた。
◇
「なぁ、思うんだ。もしもやり直せるのなら、私は何度でも過去に戻って、これまで犠牲になってきた全てを取り戻したいと」
斃した兵士の亡骸を見下ろしながら、コアトリクエは――どこか諦観の混じった笑みを浮かべながら、ハイドに言った。
「でもそれじゃ、意味がない。私達のやっていることと現実の、折り合いをつけないと」
「わかってるさ。でも、ヴァルプルギス。私だって、女のコなんだぞ。夢を見ても、いいじゃないか。ひとときの、夢を……」
◇
コアトリクエが再び叫びを上げながら特攻してきた時、ヴァルプルギスは迎え撃つ姿勢をとった。しかしその背後には既に兵士たちが銃を構えていて、火を放っていた。そちらに気を取られた瞬間に、コアトリクエが迫っていた。防ぎようがなかった――二人はぶつかり合う。
炎のゆらめきと、吹き込んでくる風と雨。その中で、コアトリクエはヴァルプルギスを猛然と打ちのめす。抵抗者はすべての攻撃を防ごうとするが無駄なことだった。死者たちの波状攻撃は、生きていた頃よりもずっと的確にヴァルプルギスのスキを突き、攻撃を打ち込んでいく。
そうしてがら空きになった彼女の身体に、コアトリクエの攻撃が突き刺さるのだった。もはやそれは魔法ですらなく、自己暗示魔法により生み出された純粋な暴力だった。
作り出せ、生み出せ、この状況を打破する生物を。無機物を。お前はヴァルプルギス、その力があるはずだ。狼の牙で喉元を食いちぎれ、足元から無数の虫を這い進ませろ、蝙蝠で相手を覆え、相手の表面を凍結させろ、幾らでも出来るはずだ、幾らでも。
だが、出来ない。彼女には出来ない。激しい痛みの中で、後悔と罪悪が通り過ぎていく。
もはや、繰り返される砲火の光しか見えていなかった。銃撃、砲撃、魔法、銃撃、砲撃、魔法、炎、毒、鎖。全ての応酬。なすすべもなく、屠られていく。黒い魔法衣がずたずたにささくれていく。
――これが、コアトリクエの絶望の成果というのなら。
――自分は、なんと中途半端な覚悟でここにきたのだろう。
絶望が彼女の足元に血溜まりを作り、心が徐々に諦観へと傾くのを感じる。
――私は、勝てない。境界線を超えることも出来ないまま、半端なまま……。
ヴァルプルギスは、とうとうその場で倒れ込んだ。真っ赤な血の池の中に横たわる。何度も立ち上がろうとするが、阻まれる。コアトリクエが、とどめを刺そうと近づいてくる。死体となった兵士たちも、うつろな眼窩とぽっかり空いた口を携えてよろよろと距離を縮める。
「これほどか……自分のために戦うのは、これほど……痛いのか……私は、負けるのか――」
彼女は吐き捨てた。その声は誰にも聞こえない。
「そうだ。それでいい、ヴァルプルギス。アンチ=バベルの反応は良好だ。総ては依然として、私のために動いている――何も変わらないっ!」
――本当に?
――本当に?
「とどめだ、ヴァルプルギス――」
諦めが、彼女を完全に覆い尽くしてしまう、まさにその瞬間。『それ』は、起きた。
◇
巨大な音。ヴァルプルギスは見た。
カーキグリーンで覆われた巨大な装甲車が、エントランスに残った窓とガラスを粉砕しながら、唸り声を上げながらフロントに飛び込んできたのだ。風と雨、それに衝撃がまとめて飛来する。その勢いで、コアトリクエが視界から外れたのを感じる。スキを逃さず彼女から離れる。
装甲車はそのままゴムの匂いを床に焼き付かせながら半円を描き停車。間髪入れず、その側面のドアが開き、いくつもの黒い影が飛び出してくる。
――警官たちだ。特殊部隊らしい。装甲と重火器で武装しながら、隊列を築きながら全身。そのまま、隊長らしき者の怒号に従いながら、奥へ奥へと進撃していく。
彼らは――ヴァルプルギスを通り過ぎた。
無視しているのではなかった。その動きは、まるで彼女を守っているようだった。
彼らはホールいっぱいに広がった。そのまま、ゾンビのごとく揺らめく傭兵達に対して火器を構え、スキのない隊列を組んだ――そして、放った。
……警官たちが、次々と傭兵たちを撃っていく、撃っていく。
「各部隊存分にやれ、今まで騙されていたしっぺ返しだ! ヴァルプルギスには当てるなよッ」
――何が起こっているんだろう。それを考える前に。
また、車両が建物の中に入ってきた。相当無理をしてきたらしい、既にバンパーがへしゃげている。パトロールカー。装甲車の後ろ側につく。そこから二人の人間。
ひとりは……ルシィだった。既に展開中の者たちと同様、武装していた。助手席からは、頭を抑えながら何度もため息を付いている太った男。フロックコートの前をかき合わせながら、なるべく銃声から遠ざかるようにして後ろに下がる。
……警官達は、次々とゾンビ兵達を撃っていく。数は100にも達しない。だがコアトリクエによって復活した者たちよりもずっと多く、何より統率が取れていた。亡霊たちに鬱憤を晴らすかのように制圧射撃を続けている。
その中で、コアトリクエさえも後方に引き下がっている。予想外のことで、暴走が緩まったのだろうか。階段の上、二階入り口では、及び腰になりながら扉の奥に逃げていく刺青の男が見えた。
「……どういうことだ」
カレルレンの感情は、怒りには達していなかった。だが、凪のように平穏だった心にさざなみが忍び込んだことは、認めざるを得なかった。演奏を途中で放り出して自室を離れ、吹き抜けの最下部にあるコントロールルームへ移動。そのまま部下を押しのけて、状況を見た。
……ピアノの鍵盤が一つ、押されたまま沈み込んでいることに、彼は気付いていなかった。
――突如として変化した状況。その中で、ルシィはヴァルプルギスに駆け寄る。
肩を貸して、装甲車の影に移動する。
「ハイド、遅くなってごめんなさい!」
「あなた……」
ヴァルプルギス――ハイドは、呆気にとられていた。
それに、目の前に居る人間がルシィであると最初認識出来なかった。彼女は一回り大きくなっているように見えた。
「凄い血……こんなになるまで、戦ってたんだね。もっと早く来ていれば」
「サイト、これはどういうこと……説明して」
すると彼女は、至極あっさりと言った。
「何って。警察に辞表出してきたのよ。この状況は、その土産」
そして、パトカー近くに控えている上司を指さした。
彼は車両の影に座り込んで、ふてくされるようにして煙草を吸っている。彼女をちらりと見たその目は語っていた――『お前がなんとかしろ』。
「それだけのために……」
「そう。私にも出来ることはないかって、考えた。そしたら、これしか思いつかなかった」
ハイドは、ルシィを見た。
その目には、驚きと、呆れと……そして、全く別の新たな感情が宿った。
もはやそれは、無関係の人間を見ていたかつての双眸ではなかった。
その一瞬で……彼女は、ルシィと、何かしらの感情で繋がった。
「ルシィ……私は、分からない」
顔を俯けて、戦闘を遠雷のごとく聞く。吐き出す。ルシィは、聞いている。
「私の目的のために、かつての仲間を倒せるのかどうか。自信が消え失せてしまった」
悔しさと、自罰的な感情のにじむ声。
ルシィは、しばらく黙っていたが……やがて、言った。
「仲間だもんね。そりゃそうだよ」
否定も肯定もしなかった。彼女は薄く笑って、続けた。
「でも、忘れないでほしい」
ルシィは、ハイドの手を取った。そこに載せる。傷だらけのスマートフォン。小さな蝶のストラップ。
「ここよりもずっと、あなたの後ろには、多くの人達が居る」
間もなく、着信音。手の内側で歌い出す。チープな電子音アレンジの賛美歌。
……その番号を、ハイドは知っていた。
何故今、そのナンバーが表示されるのか、分からなかった。動揺する。
「これは……」
「アジトに忘れてった、あなたのスマホ。ずっと鳴り続けてたの。あなたを探して」
そして、促されるまま、ハイドは電話を受け取った。手が、震える。
『もしもし、ああ……やっと通じた。ハイドさん、そこにいらっしゃるんですか?』
声の主は――ルッカの保育士だった。
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