第9話
占いの仕事が終わり、現実の自室でゴロゴロしていた。
最近カケル君こないなー。
あれからお店にしばらく来てない。
そろそろ1ヶ月以上経つよなー。
内心めちゃくちゃ気になっていた。
−仮想空間「星空」−
次の日。
「キエエエエエエエエエ!!!」
奇声とともにカケル君がやってきた。
「ど、どうしました!?」
「この前の買い物のときにですね!」
いきなり本題か!
「なんとなく流れで告ったのですがフラれました!」
「また告白したんですか!?」
しかもフラれてる!
「はい!なんか彼氏の愚痴を聞いたんでいけるかなと思っちゃいました」
すごい神経だな。
「けど彼氏さんの愚痴を聞けたと言うことは、ある程度の信頼関係は築けてる証拠じゃないですか?」
「ですよね!よし、また明日告白してみます!」
「いやいやいや!それはまだ早いですよ!」
「ガチですか?!」
「ガチです!」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「もう少し友達として信頼関係を築いてからのほうが良いかと思います」
「そうなんっすね」
「なので一旦2、3ヶ月程度は様子見でいいんじゃないですかね?」
「そんなにですか!?」
「はい。その間は引き続きダイエットをしたり自分磨きを行いながら、また遊ぶ機会を設けたりして親睦を深めてはいかがでしょうか?」
「なるほど!さすがです!」
尊敬してもらってるところ悪いんだが、ちゃんと彼女できたことないからてきとうなアドバイスだ。これで失敗しても許してくれ。
「そういえばなのですが、なぜその子のことを好きになったんですか?」
これはずっと気になっていたことだ。
「うーん。陰口を言わないところと笑顔が可愛いところですかねー」
へー。素敵やん。
「ここの学校に通って半年経つんですが、誰かの陰口を言ったところは見たことも聞いたこともなくて、むしろ誰かが陰口を言ってたら辞めさせてましたね」
「芯の通った女の子なんですね」
「はい!それに見た目はギャルっぽいうえに切長なつり目なんで、少し怖い印象があったんですが、笑うと鼻にシワが寄るところがめっちゃ可愛いんですよ!!」
ギャップ萌えですな。
「それは本当に素敵ですね」
「はい!そうなんですよ!」
カケル君はキラキラした笑顔になっていた。
あー。なんとかカケル君の役に立ってあげたいな。
「あ!そろそろ夕飯の時間なんで今日は帰りますね!」
「あ、夜遅くまでありがとうございました。またお待ちしてますね」
「次会う時は良い報告を持ってきますね!とういか良い報告ができるまで諦めません!」
おう!諦めるなよ!
「はい!応援してます!」
1月も中盤にさしかかり、「星空」でも雪が降ってきた。
何で仮想世界の中でも寒いんだよ!
今日はお客さんが1人もこなくて暇だったので、少し散歩してたが寒さも感覚として共有されており、10分も経たないうちにお店に戻った。
けど、あと3ヶ月で「星空」ともお別れか。その前にカケル君と会えるかなー。
カランコロン。
おっ。カケル君か!?
「おじゃましまーす」
期待とは裏腹にいつかの女の子が訪れてくれた。
「あ!」
カケル君の好きな子じゃん!
「へ?」
つい大きな声を出してしまった。
「し、失礼致しました。本日は何か占いたいことはございますか?」
「占いというか相談というか」
「私でよければ何でもお聞き致しますよ」
「ありがとうございます!実はですね!」
ドンと持ってたカバンを机に置き、僕の対面に前傾姿勢のまま座った。
やっぱ、勢いすげえな・・・。
「彼氏についてなんです!」
ん!?
「彼氏が本当に真っ直ぐで大好きなんですよ!」
ほ、ほう。
「けどそんなに素敵な人の彼女が私でいいのかなって」
これはどっちなんだ。
前に相談したときの彼氏なのか。それとも別の彼氏なのか。
もし別れたとしたら彼氏は誰なんだ。
「なるほど。ちなみに彼氏さんのお名前は何と言うんですか?」
「それは別に関係ないですよね?」
おっしゃるとおりです!
間違えた!気になるばかりに直球な質問すぎた!
「あ、いや、失礼致しました。お名前がわかれば相性がわかったもので」
「なるほどですね。けど、私そういうのは信じないので」
じゃあ、何で占い師のところにきた!?
「そうだったのですね」
「まあいいです。それで彼氏は今まで会った人の中で一番尊敬できて、自分もそれに見合う彼女になりたいんです!」
やっぱりこの子も本当に良い人なんだな。
「そうですね。お客様も十分素敵な人だと私は思います。なので、彼氏さんに合わせるのではなく、彼氏さんが好きだと言ってくれた自分自身の輝いている部分を貫き通すことが大切ですよ」
「そうなんですかね?」
「そうなんですよ」
「そうかもですね!ありがとうございます!」
「いえいえ」
「そろそろ彼氏がくると思うので行きますね!」
「へ?」
「なんか今日付き合って初めてのデートなんですけど、ここを待ち合わせ場所にされたんですよね」
「ん?」
「だからせっかくなんで、また相談を聞いてもらおうと思ったんですよね」
彼女はえへへと笑いながらここにきた経緯を説明してくれてた。
カランコロン。
1人の男の子が入ってきた。
「お!ここにいたのかユナ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます