第6話

あれから3日後。

この前の男子高生が告白の結果を報告するために訪れてくれた。

「どうでしたか?」

「彼氏がいるとのことで、ダメでした」

だろうな。

「他にも良い人がきっといますよ。落ち込まずに次にいきましょう」

「いや、まだ諦めません!」

お?

「そうだ!諦めないぞー!」

無理じゃね?

「けど、その方には彼氏さんがいらっしゃるのですよね?」

「そんなの関係ありません!」

いや、あるだろう!というか、キャラ変わってね?

「そうなると、彼氏さんと別れるのを待つということですか?」

「いえ!彼氏よりも良い男だということを証明するんです!」

すごいメンタルだ。

「具体的な作戦はあるんですか?」

「まずは数学のテストで学年1位をとろうと思います!」

どういうこと?!

「それはなぜですか?」

「はい。多分あの子の彼氏なんでそこまで頭良くないと思うんですよ」

さらっと好きな人のことディスってるぞ。

「だから1ヶ月後のテストで何かの教科で1位をとって、俺が秀才であることをアピールしようと思うんです」

「なるほど、そうなるとお客様は数学が得意ということですか?」

「そうです!得意科目を伸ばすことが手っ取り早いかなと」

一応理に適ってはいるか。

「ちなみにお兄さんは数学得意だったりします?」

「申し訳ございません。私は学生時代文系だったので、数学は苦手でして」

「そうなんですね」

「ちなみにお兄さんは何歳です?」

「26歳ですね」

「へー、若いですね!ちなみに」

“ちなみに”が多すぎだろ!

「彼女はいるんですか?」

いねえよ!!

「今はいませんね」

今はな!いつかできるはず!

「へー、頑張ってくださいね!」

お前もな!!

「お客様も頑張ってください」

「あ、俺のことはカケルって呼んでください!」

「では、カケルさんも頑張ってくださいね」

「はい!今日もありがとうございました!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る