第24話 刹那の幸福
マリリンとヒヨリンは想像以上の速さから掴む事に必死で、声を出せないでいた。
無意識に力強くシンに抱き着くマリリン……。
その豊満な胸は馬上の揺れで、俺の背中に擦りつけられる。
ブライアン……。
グッジョブ!!
想像通り……いやそれ以上だ!
すまん、不謹慎なのはわかる!
しかし最高だ!
帰りはヒヨリンとマリリンを逆にしてもらおうかな……。
ゲヘヘ……。
むくむくむく……。
これは違う。
違うから!
朝モッコだから!
俺の背中を幸福感が包み込む。
押し付けられるマリリンの見事なパイオツに、目的を忘れてしまいそうになりそうだ。
だがしかし、幸福な時間は長く続かなかった……。
「静かなる風の精霊よ。我を守りたまえ、ウィンドプロテクション!!」
突然後ろからマリリンの声が聞こえた。
するとブライアンの爆走に伴う風圧がスッと消えていき、背中から幸福が離れていく……。
「え? 今のマリリンがしたの?」
残念さを隠しきれないまま、マリリンに尋ねた。
「ええ、そうよ。さすがにここまで速いとは思わなかったわ。でも安心して、私は風の精霊の巫女よ、この程度の事ならできるわ。」
ブライアンの背の上の風圧が消えたことで、速度は変わらないものの、会話ができるくらい揺れも風圧も無くなった。
そして、俺に必死にしがみついていたマリリンはそっと離れて、腰に手を回すだけになる。
「そっか……す、すごいね。そうか……残念だ。」
最後のセリフだけは聞こえないようにつぶやく。
マリリンは俺が残念そうな声を出していたので、自分の力がこんなものだと知って落胆させてしまったと勘違いをした。
「ごめんなさいね、シン。私の能力はあなた程凄くないわ。でも、私達もできる限りの事はするわ、あなた達に任せっぱなしではいられないもの。」
その言葉は俺には届かない。
幸せの絶頂から、どん底に戻されてしまい、ショックを受けていたのだった。
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