第41話 メイドさん遊び②

 メイド喫茶を実際に利用すると、料金は高いイメージだ。


 それはぼった……いや、あれだけ可愛くて素敵なメイドさんと楽しい時間を過ごせるのだから、適正な料金だろう。


 そして、今の俺は最高級のメイドを侍らしている。


 お店なら、破格の料金を請求されている所だろう。


 けれども、その心配はない。


 なぜなら、この人は俺の彼女だから。


「可奈子さん、耳かきしてぇ~」


「もう~、主従関係はどこに行ったのよ。冬馬くんに呼び捨てにされるの、ゾクゾクキュンキュンしていたのに」


「だって、やっぱり可奈子さんは、可奈子さんだし」


 俺はいつになく彼女に甘えてしまっている。


 けど、何ていうか、ほら。


 メイドさんって、すごい包容力があるし。


 それが年上の巨乳で美人のお姉さんとくれば、なおさらだ。


「はぁ~、可奈子さんの耳かき、すごく上手だよ~」


「こら、ジッとしていて♡」


 その後、耳かきを終えると、ちょうどお昼時だった。


「可奈子さん、お腹空いた」


「はいはい、待っていてね。何が良い?」


「オムライス」


「ま、まさか、また……」


「えっ?」


「ううん、何でもないわ……はい、かしこまりました。ご主人様♡」


 笑顔で言った可奈子さんは、キッチンへと軽やかに向かう。


 いつも通り、なめらかな動きで料理を進めて行く。


 その光景を見ているだけで、もう眼福だ。


 年上巨乳美女+メイド服。


 これはもう、神だ。


 俺は明日、死んでしまうかもしれない。


 それくらいの幸運が、目の前にあるから。


「あっ、そうだ」


 俺はソファーから立ち上がる。


「可奈子さん」


「え、どうしたの? まだ出来ないわよ」


「うん、分かっているよ」


 俺は可奈子さんのそばに寄ると、耳元で囁く。


「可奈子さん、すごく可愛いよ」


「ひゃッ……な、何よ、いきなり」


「ごめん、やっぱり、俺のS心がくすぐられて」


「このエロ紳士ぃ~!」


「可奈子さん、暴れないで。うっかり、おっぱいに手が当たっちゃうかも」


「へ、変態……」


 俺は可奈子さんに触れるか触れないかの絶妙な距離を保ちつつ、ずっとそばに居る。


「可奈子さんの料理姿、ずっと見ていられるね」


「とか言って、本当はどこ見ているの?」


「……お尻」


「……変態。大人しく向こうで待っていなさい」


「それがご主人様に対する口の利き方ですか?」


「さっきまで甘えん坊だったくせに……ご主人様、どうかあまり、私をいじめないで下さい」


「やだ」


「えっ、ちょっ……あんっ」


 俺が戯れたせいで、可奈子さんの料理が遅れた。


「はぁ、はぁ……オムライス、お待たせしました」


「ありがとう、可奈子さん」


 俺はテーブルに置かれたそれを見て言う。


「何か描いてよ」


「えっと、じゃあ……」


 可奈子さんはケチャップを持った。


「アイラブトーマ……俺もだよ」


 ちゅっ、とキスをする。


「何それ」


「美味しそうなオムライスを作ってくれた、ご褒美です」


「冬馬くん、ちょっと調子に乗り過ぎじゃない? ナルシストみたいだよ」


「ガーン……やっぱり、そうだよね。ごめん」


「う、嘘だから。落ち込まないで」


「じゃあ、可奈子さんが食べさせて?」


「そ、それが狙いだったの?」


 とか言いつつ、可奈子さんは……


「はい、あーん♡」


「あ、ちょっと待って」


「えっ?」


「大事な呪文を忘れています」


「も、萌え萌えキュ~ン♡……これで良い?」


「いただきます」


 パクッとな。


「どう、美味しい?」


「まあぶっちゃけ、今のセリフが無くても美味しいよね」


「はい、没収しま~す」


「う、嘘だから。もうイジワルなことは言いません」


「別にやめなくても良いけど……」


「えっ、可奈子さんって……やっぱりドM?」


「ドはつけないで! ソ、ソフトなんだから……」


「確かに、可奈子さんは全体的に柔らかいよね」


「太っているってこと?」


「いや、太っているのは胸とお尻だけでしょ」


「……オヤジ冬馬」


「ごめんなさい」


「罰として、ちゃんと完食すること。はい、あーん♡」


「最高なんですけど、このお姉さんカノジョ」


 俺は心底そう思った。







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