第19話 宴の後は……まったりお家デート

 爽やかな朝を迎えた。


「「じゃあ、お邪魔しました」」


 道三郎と涼香さんが玄関先で声をそろえて言う。


「楽しかったから、またやりましょ?」


 涼香さんがウィンクをして言う。


「ええ、本当に」


「冬馬、サンキューな。お前のおかげで、こんな素敵なお姉さん彼女が出来たぜ」


「それは良かった。けど、お前自身が魅力的だったから、涼香さんも彼女になってれくたんだよ」


「冬馬……抱き締めても良いか?」


「いや、気持ち悪いから良いや」


「ツンデレかよ!」


「じゃあ、代わりにあたしを抱き締めて~?」


 涼香さんは道三郎に抱き付く。


「りょ、涼香さん……お、おっぱいが……」


「うふふ、当ててんの~」


 もうすっかり仲良しなカップルを、俺と可奈子さんは微笑ましく見守る。


「よし、ミッチー。これからデートに行くよ」


「りょ、了解っす! 俺がエスコートします!」


「おっ、出来るのかな~?」


「ラ、ラーメンなんて、どうっすか?」


「ぷっ、こんな朝から~?」


「あっ……ご、ごめんなさい」


「良いよ。一緒にニンニク臭くなろ♡」


 涼香さんは飛び切りの笑顔で言う。


「じゃあ、お邪魔しました~!」


 そして、二人は手を繋いで、スキップしながら去って行った。


「……ラブラブだな~」


 俺は半ば呆れたように言う。


 けど、見ていて微笑ましかった。


「ねえ、冬馬くん」


 可奈子さんが、俺の袖をちょいちょい、と引っ張る。


「えっ?」


「私たちはどうする?」


 可奈子さんが上目遣いに俺を見た。


「えっと……俺たちは、お家デートしますか?」


「はい、あなた♡」


「あ、あなたって……ちょっと、気が早いよ」


「じゃあ、ダーリン♡」


 可奈子さんが俺に抱き付く。


 涼香さんも十分に巨乳だったけど、それ以上に大きなおっぱいが押し当てられて、朝から何だか変な気持ちになってしまいそうだ。


「可奈子さん、おもてなしで疲れているでしょ? マッサージでもしてあげようか?」


「おっぱいの?」


「いや、肩とか脚とか……」


「じゃあ、おっぱいは最後だね」


「揉まないよ、またエッチしたら疲れちゃうじゃん」


「冬馬くん、若いんだからそんなこと言わないで? 道三郎くんは、あんなに元気いっぱいなのに」


「えっ、何それ。可奈子さん、道三郎みたいな奴が好きなの?」


「そ、そういう意味じゃ……」


「あ、いや、ごめん……軽く嫉妬しちゃった」


「ううん、私も悪いの。私が好きなのは、冬馬くんだけだよ?」


「でも、確かに。俺もまだ若いんだから、道三郎を見習わないと行けないかもな」


「冬馬くん……」


「予定変更。あいつらが、朝からパワフルにラーメンを食べるなら……俺たちはパワフルにエッチしよっか」


「そ、そんな、パワフルだなんて……」


「可奈子さん、俺に火を点けたんだから。ちゃんと、受け止めてよね?」


「は、はい……」




      ◇




 ちゃぷ、と音がした。


「「はぁ~……気持ち良い~……」」


 俺と可奈子さんは一緒に湯船に浸かっていた。


 俺が可奈子さんを抱える形で。


「やっぱり、2人だとちょっと狭いね」


 可奈子さんが苦笑して言う。


「うん。でも、それが良いんじゃない?」


「確かに」


「でも、そうだね。もっと広いお風呂で、可奈子さんと2人きりでゆっくりしたいかも」


「私も。露天風呂付きの個室があるお宿に泊まってみたいな……なんて」


「じゃあ、俺……バイトしようかな」


「えっ? そんな、無理しないで」


「ずっとはしないよ。短期で何かないか探してみる。夏休みまでにお金を貯めて、可奈子さんといっぱい遊びたいんだ」


「うふふ。ちゃんと、宿題もやらないとダメだよ?」


「分かっているよ」


「ねえ、背中を流してあげようか?」


「良いの?」


「もちろん」


 俺たちは湯船から出た。


「はい、座って」


「よいしょ」


「手とスポンジ、どっちが良い?」


「じゃあ、まずはスポンジで。ゴシゴシして下さい」


「かしこまりました♡」


 可奈子さんは嬉しそうに言う。


「よいしょ……ゴシゴシ♡」


「あ~、気持ち良いよ。ちょうど良い力加減だ」


「冬馬くんの背中、ちゃんと男の子だ。何か、ドキドキしちゃうね」


「そ、そんなこと言われたら、俺の方こそドキドキしちゃうよ」


「良いよ。もっと私でドキドキして?」


「女神かよ」


「いえ、あなただけの家政婦です」


「いや、それもう嫁だから」


「ふふ、そうでした♡」


 可奈子さんはスポンジを止めた。


「じゃあ、次は手でしてあげるね」


「お願いします」


「はい、ヨシヨシ、と♡」


「あっ……可奈子さんの手、スベスベで気持ち良いよ」


「本当に? 物足りなくない?」


「仕上げはこれくらい、優しい方が良いよ」


「ふふ。シャワーで流すよ」


 可奈子さんはゆっくり丁寧に、俺の背中についた泡を流してくれる。


「あ、しまった」


「どうしたの、可奈子さん?」


「胸で洗ってあげるのを忘れていた。今からでもしてあげようか?」


「いや、良いから。何かいかがわしいお店みたいになるし」


「おやおや~? 何か知った口ぶりですな~?」


「な、何となくのイメージだよ」


「へぇ~? じゃあ、大人になる前に、私で経験しておく?」


「いや、大人になっても行かないから。可奈子さんがいるし……」


「そ、そっか……えへへ、何か照れちゃうね」


 それからしばらく、お互いに無言のままシャワーの音だけがしていた。







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