第11話 初めて二人で……ベッドイン

 夕食後、俺は風呂に浸かっていた。


「冬馬くん、お先にどうぞ」


「え、良いの? 夕飯まで作ってもらったのに」


「良いの。だって、冬馬くんは私の未来の旦那さまだから」


「……ありがとうございます」


 俺は今、至福を噛み締めながら温かいお風呂をいただいている。


 本当に、可奈子さんみたいに素敵な女性が俺の彼女、というかもはや嫁みたいになってくれるなんて……幸せすぎるだろ。


「はぁ~……」


 それにしても……可奈子さんの胸すごかったな。


 試着する時により強調されて……本当に大きかった。


 96cmのIカップとか……グラドル級じゃん。


 たまらないな……そんな人が俺のそばに居てくれるとか。


 きっと、家政婦の仕事でファンとリピーターがたくさんいたんだろうな。


 だって、1万円で3時間も一緒に居てくれるなんて。


 最初は高いなと思ったけど、むしろ割安すぎる。


 ていうか、何か申し訳ないな。


 可奈子さんのファンだった人たちに。


 もうすぐ、家政婦の仕事も終わるみたいだし。


 そうしたら、可奈子さんは……



『……あなただけの物よ。だから……好きにして?』



 って、俺は何を考えているんだ。


 可奈子さんは清楚で可憐な女性だ。


 優しく扱わないと。


 けど、時たまちょっとエロい空気を醸し出すから……


「冬馬くん」


「ひゃいッ!?」


 とっさのことで俺は声が裏返った。


「あ、ごめんね。ゆっくりお風呂に浸かっていた所」


「う、ううん、大丈夫。どうしたの?」


「あのね、ちょっとお願いがあって。お風呂上がりに言おうと思ったんだけど、ちょっと待てなくて……」


「良いよ、全然。どうしたの?」


「その、ね……私たち、今まで別々の部屋で寝ていたでしょ?」


「うん、そうだね。あ、ベッド使いづらい?」


「ううん、それは大丈夫だけど……寂しくて」


「えっ?」


「私、今夜から……冬馬くんと一緒に寝たいの」


 一瞬、俺は魂が抜けかけた。


「やっぱり、嫌かな?」


「ハッ……そ、そんなことないよ。俺はむしろ、嬉しいというか、興奮するというか……って、違くて!」


「ベッド、1人用で狭くなっちゃうけど……一緒に寝ても良い?」


「う、うん……可奈子さんが良ければ」


「私、太っているから。狭かったらごめんね」


「太っているというか……とある部分の膨らみが……」


「冬馬くん?」


「ご、ごめんなさい」


「うふふ……お風呂、ゆっくり浸かって」


 優しくそう言い残して、可奈子さんは脱衣所から出て行った。


 しばし、放心状態だった俺は、とりあえず温かいお湯で顔を洗った。




      ◇




 ベッドにて。


 俺はドキドキしながら布団をかぶっていた。


 すると、キィとドアが開く。


「……お邪魔します」


 可奈子さんがそっと入って来た。


「ど、どうぞ」


 俺は固くなったまま言う。


 風呂上がりの可奈子さんは、しっとりして色気が軽く5割増しくらいだ。


 つまり何が言いたいかと言うと、半端なくヤバい。


「このベッドで、いつも冬馬くんが寝ているんだよね」


「う、うん。臭かったら、ごめん」


「大丈夫だよ」


 一度、ベッドに腰かけると、可奈子さんはそっと布団にもぐって来た。


「あっ……冬馬くんの匂いがする」


「お、俺、やっぱり出ようかな?」


「どうして?」


「いや、その……ドキドキが止まらなくて」


「私だってドキドキしているよ?」


 気付けば、お互いにベッドの上に寝転んで、見つめ合っていた。


 可奈子さんのパジャマの胸元が少しはだけて、かすかに谷間が見えている。


 やっぱり、大きいな……


「……気になる?」


「へっ? あ、いや……」


「これ、もう冬馬くんだけの物だから。好きなだけ触って良いよ?」


「ほ、本当に?」


「うん。その代わり……まずはキスして?」


 ドクン、と心臓が跳ね上がった。


 いくら年下とはいえ、俺の方が男。


 だから、ちゃんとリードしてあげたい。


「か、可奈子さん……」


 俺は彼女の肩に触れる。


「あっ……」


「ご、ごめん。痛かった?」


「ううん……すごくドキドキしちゃう」


 それはこっちのセリフです。


 ていうか、可奈子さんの唇、マジで柔らかそう。


 俺、今から本当に、こんな美人で巨乳のお姉さんとキス……しちゃうのか。


「ん?」


 ダ、ダメだ……あまりにも可愛すぎる。


「……可奈子さん、一つ相談があります」


「どうしたの?」


「その、俺はこういった経験が本当に乏しいので……少し時間を下さい」


「どれくらい?」


「……い、1週間くらい」


「じゃあ、その間は……キスおあずけ?」


「ヘタレでごめんなさい」


「ううん、良いよ。私も経験が無くてちょっと怖くもあったから」


「本当に?」


「うん。じゃあ、今はこれで……」


 と言って、可奈子さんはスっと目を閉じた。


 唇をわずかに突き出すと、ちゅっと鳴らす。


「……私のキス顔、こんな感じ。どうかな?」


「……死ぬほど可愛すぎます。ていうか、いっぺん死んで来て良いですか?」


「ふふ、どうしてそんなこと言うの?」


「いや、可奈子さんがあまりにも可愛すぎるから。一度死んで悟りを開いて来ないと、理性が保てないなって」


「理性、保たなくても良いよ?」


「か、可奈子さん……」


「ふふ、ごめんね。お姉さんを焦らす冬馬くんに、ちょっと意地悪なこと言っちゃった」


「勘弁してよ。超美人で巨乳な可奈子さんに対して、俺なんて平凡な男子高校生なんだから」


「そんなことないよ。冬馬くんはとても素敵な……私のダンナ様♡」


 可奈子さんは俺に抱き付いて来た。


 むにゅっ、と豊満なバストに触れてドキリとする。


「おっぱいくらい揉んでおく?」


「そ、それもまた今度で……」


「意気地なし♡」


「うぅ……」


「冗談だよ」


「あまりいじめないでよ」


「でも、冬馬くんこそすごく可愛いから……私、止まれないの」


「変態だね、可奈子さん」


「嫌い?」


「いや……好きすぎて困る」


「ふふふ」


 それからしばらく、俺と可奈子さんはお互いの肌の温かさを確かめ合っていた。







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