第26話 えっ、遠征!?
あの悪魔的な2週間から約半年が経った。その間はあまりこれといった出来事は起きなかった。平穏最高!
まぁ、あったと言えばあったんだけどテストくらいかな?テストではちゃんと平均点の+7.8点くらいを取った。
そのときにまたレーネが俺に勝負を挑んできたが俺がギリギリ1点差で勝った。俺は勝者の要求として1ヶ月間読書中に喋りかけないことを約束させた。
最初は何かしら1人で遊んでたんだけど、後半になるにつれてどんどんと退屈そうな顔をしていった。まぁ、俺もあんな罰ゲームを受けたんだから、そっちもそれくらいとはいかなくてもやられてくれないと気が済まない。
あと実戦テストもあった。レーネは戦うたびに強くなっていっている気がする。エールとの戦闘時間がどんどんと伸びていっている。だけど、あと一つ二つ足りなくて負けることが多い。という感じだった。
そして俺も最初の実戦では勝てたものの、何回かやっているがなかなか勝てない。実戦テストは毎月の真ん中と最後にあるため、レーネは14回、俺は反魔法の練習込みで20回対戦したのだが、レーネは全敗で俺は3勝17敗という結果だった。
いや、、本当に勝てない。エールのスキルがセコすぎる。全く魔力が尽きる気配がない。まぁ、そんな感じでボコボコにやられてる。
実戦を積んでレーネはかなりレベルが上がったし短文詠唱は全てマスターしていた。俺も1だけ上がった。
だけど、ステータスの公表は学校に入学する時にしよう。後でのお楽しみってやつだ。
まあ、そんな感じの何にもない半年だった。
そんなことを思い返していると家に来客がきた。誰かと思ってグランツェが向かった玄関の方を見るとルナ姉だった。
「あらルナ、どうしたの?」
そうグランツェが聞くとルナ姉は笑みをこぼしてこう言ってきた。
「狩りに行こうぜ!」
「「……」」
その一言で自然音が耳を澄まさずとも入ってくるくらい静まりかえった。
「、、、え?狩に行くの?」
「そう言ってるだろ。今からは無理か?」
ルナ姉がそう聞くとグランツェは少し困った表情をした。
「少しダメそうかも。流石に狩りをしてる横でガーベラの面倒を見るのもこの子が可哀想だし、、、」
そう聞いたルナ姉は納得がいったような表情を見せた。
「そうか、わかった。じゃあ坊主行こうか。」
「、、、、え?」
まさかの俺は強制で連れていかれるらしい。それに授業もあるのに。
「僕、今日は授業があるんだけど?」
そう言うとルナ姉は俺に悪魔の囁きを告げてきた。
「坊主が完璧にしているところの授業と身体を動かしたり頭を使ったりして狩りをするのどっちが楽しいと思うんだ、、?」
そう訊かれると間違いなく後者だ。俺はそのように伝えると、ルナ姉は「と言うことで坊主を連れて行くわ。」と言って俺を担いで逃げるように去っていった。
ルナ姉が俺を担いで去っていった後、グランツェはため息を吐きながらドアを閉めようとすると玄関の床に一枚の手紙があった。グランツェはそれを開けてみた。すると、
〜〜お宅のローランを2ヶ月借りることになりました。おめでとうございます。とりあえず、坊主に怪我を負わせることはあんまりないと思うので安心して待っていて下さい。〜〜
と書いてあった。
「本当に全く、、、まぁルナなら大丈夫よね。」
そう呟きながらグランツェはガーベラの世話をした。
そうして俺が無理矢理連れて来させられた先には馬車が20台止まっていた。俺は流石に気になったのでルナ姉に話を聞いた。
「ルナ姉、狩りってこんなに必要なものなの?」
「あぁ、もちろんだ。あたしらからしたら全然少ない方なんだけどな。」
「ルナ姉ってそんなに人脈あったんだね。」
そう聞くとルナ姉は俺の質問に笑った。
「そういえば坊主には言ってなかったけど、アクセサリー店は趣味でやってるもんだ。そんでこっちが本業。」
「つまり狩りをするのが本業ってこと?」
「まぁ、狩りも含まれるけど、狩った動物やモンスターの素材を加工して売ってるんだ。」
なるほど。つまりは防具屋。てかアクセサリー店が本業じゃなかったのか、、、
「それで素材集めのために無賃金労働者としてうってつけの僕に白羽の矢がたったということね。」
「まぁ、そういうことだ。終わったら活躍に応じて欲しいもん譲ってやるよ。」
そう言ってもらったので俺は全力で活躍することにしよう。
そうしてルナ姉とやりとりをしていると男が2人こちらに向かってきた。
「おはようございますルナ様!」
「おはようございます社長!」
え!ルナ様?社長!?
俺がルナ姉の方を向くと「そういうことだ。」と言ってきた。
圧倒的に今更って感じだけど、俺の周りって普通の人いないんじゃね?もしかして普通の人って俺だけ?
そんなことを考えていると話しかけてきた男が疑問を問いかけた。
「ルナ様。その子どもがルナ様が言っていたミリル家の自慢の息子なのですか?」
「ああ、そうだ。ステータスを見てみろ。」
ルナ姉がそう言うと男2人は俺に鑑定を使ってきた。鑑定使えるんだ。
そうして男が俺のステータスを見ようとしている間に俺はルナ姉に俺の疑問を聞いた。
「ミリル家の自慢の息子って言ってたけど俺ってそんなに有名人なの?」
「まぁ、一部でな。平民はほとんど知らないと思うが、あたしらみたいな防具屋やってるところと、貴族達は基本知っている。」
「うわっ、何それ、最悪じゃん。」
「まぁ、気にすんなって。」
理由はアレクスが原因なんだとか。そうは言っても嫌なものは嫌だ。目立ちたくない俺にとっては少し面倒な案件だった。
そうして俺とルナ姉が話していると男2人は鑑定が終わった。
「ルナ様、この子スキルは多少強いですがステータスは全く駄目です。こんな子を連れて行くと死んでしまいます。」
「そうです社長。僕も連れて行くのに反対です。」
男2人はそう言ってきた。それに対してルナ姉は言い返した。
「お前たち、今鑑定のランクは?」
「Aです」
「私もAです。」
それを聞くとルナ姉は俺に「いつも虚偽と隠蔽を使っているのか?」と聞かれたので俺は「うん。」とだけ答えた。
「お前達が見たものはわかった。坊主、スキルを解いて見せてやれ。」
そう言われましても目立つのは面倒なのですが、、、
そう思っているとルナ姉は俺に配慮してくれた。
「今から坊主の本当の力を見せるがこの事は基本的に他言無用だ。それができるならもう一度見てもいいぞ。」
そうルナ姉が言ったので俺はスキルを解除した。すると男2人は声を上げて動揺した。
「おいっ!バカども。声がでけぇよ!」
「すっ、すいませんルナ様。ですが、能力には変わりはほとんどありませんが知能とスキルが異常です。」
「そうです。すいませんが坊ちゃん、今は何歳なんだい。」
「今は9歳で来年に10歳を迎えます。」
そう答えるととてもビックリした表情で俺を見返した。やっぱり知能とスキルがあり過ぎるのは変なんだな、、、注意しよう。
「わかったかお前たち。これがあたしが坊主を連れて行く理由だ。あと、さっき言ったこと忘れるなよ。」
「はっ、はい!」
「了解です!」
そう言って2人は残りの仕事の手伝いに向かった。
それから少しして準備が終わると全員がルナ姉のところに集合した。
「みんなご苦労だった。これから2ヶ月間苦労を強いることになるかもしれんがよろしく頼む。」
ルナ姉がそういう全員が理解したような表情を見せていた。
「それともう一つ、さっきから気づいたやつもいるかもしれんが、、」
そう言って手招きされたので俺はルナ姉の隣まで寄った。
「この坊主はミリル家から借りてきたミリル・ローランだ。少しばかり経験を積ませたいと思って勝手に連れてきたがみんな仲良くしてやってくれ。」
そう言うと各々納得した表情を見せた。だけど幾人か納得していない者もいた。その中で綺麗な面立ちをした女性が手を挙げた。
「ルナ様、質問いいですか?」
「なんだ?」
「その子は本当に使い物になるんですか?今、断りなく勝手に鑑定したんですけど、見るからに弱いんですが?」
その女性がそう言うとルナ姉は少し考えた後一つ案を出した。
「まぁ、たしかにそうかもな。わかった。あたしから一つ案を出そう。今日と明日は移動日だからその休憩中に坊主に対戦を申し込むことを許す。」
えーーー!!ちょっ、何言ってんですか!目立ちたくないって、、
そう思っているとルナ姉が「悪い、今のが一番手っ取り早い。」とても言ってきたので諦めて対戦することにした。
「それじゃあ、出発するか!」
そうして俺たちは出発した。というかどこに?何日?俺なんも聞いてないんだけど?
流石に道中で俺はルナ姉に聞くことにした。
「それでルナ姉どこまで行くつもりしてるの?」
「未開拓領域。」
「は?それ本当に言ってるの?」
「あぁ、マジだ。」
「それから何日間?」
「2ヶ月だ。」
「2ヶ月!それもう"日"じゃなくて"月"じゃん!」
「じゃあ、60日。」
「そういう問題じゃない!」
馬車の中でそんなやりとりをしていた。ちなみに、未開拓領域というとは一度説明したけど、場所は前世の世界地図でいうロシアのカラ海とラプテフ海の間くらいまで。もう少し簡単に言うとモンゴルのめっちゃ上。そんなところまで行くらしい。
なんで未開拓領域なのかと聞くと、未開拓領域には数多くのダンジョンや秘境があるそうだ。そこに行くまでや行ってからも多くの動物やモンスターが現れるそうで、それを狩って素材にするということらしい。
そこで俺はなんでそんな遠くまで行くのか?と聞くと「手前の方はある程度把握しているから」と言ってきた。
その後に「その手前の部分の地図を国に渡さなくても大丈夫なの?」と聞くと言わない方が良いこともあると言ってきた。
おそらくだが、自分たちの収入を減らしたくないのであろう。他の人の話とかを聞いている限りルナ姉の店はほかの店よりも品質も素材も別格らしい。言わない理由は納得だ。
それと、馬車に乗る前にそんなに遠くまで行くのに2日で足りるの?と聞いたところ「馬と馬車に魔法をかけてある。」と答えてくれた。乗った瞬間にわかった。前世で言う少なくともワゴン車くらいの馬力とスピードがあった。これは速いわ。
そうしてゆっくりしていると一回目の休憩を迎えた。つまるところ俺は戦わないといけないということ。全然休憩じゃないし!
そんなことを考えていると先程手を挙げた女性が俺のところにきた。
「手合わせいいですか?」
「そういうルールみたいなので。」
そう言って俺とその女性は少し離れたところに向かった。道中でルナ姉から「バトルは手を抜くな」と言われていたので仕方なく本気で戦うとしよう。
「私はレバンド・サラと言います。」
「僕はルナ姉が説明した通りミリル家の長男のミリル・ローランです。」
今、少し対話した限り、おそらくこの人はとても真面目な人だな。姿勢や言動がとてもしっかりしている。こちらも同じように対応しよう。
「サラさん、少しだけ僕からいいですか?」
「なんですか?」
「ステータスを見たいのですが、、、」
「私はあなたのステータスを勝手に覗いてしまったので許可などいりませんよ。」
そう言ってくれたのでステータスを見ることにした。
ステータス lv.52 サラ
体力 298+C
持久力 816+S
敏捷 461+B
耐久 201+D
魔力 97+なし
状態耐性 327+C
知能 357+C
スキル「闘争A」「上級魔法」「中級回復魔法」「魔力変換」「鑑定B」「不屈D」「回避能力上昇A」「俊足E」「魔力操作E」「毒無効」
「魔力変換」…魔力を体力か持久力に変換できる。
「回避能力上昇」…回避能力の上昇、E1.1倍、D1.2倍、、、、S1.75倍
「俊足」…魔力消費量は多いが発動させている間スピードが1.5倍、魔力消費量E-5%、D-10%、、、S-40%
まさかの武人!それに超がつくほどのスタミナバカでスピードも平均より大きく上回っている。
しかも同じ「闘争」持ち。こっちの方がスキルは優秀でもそれを発揮できるステータスを持っていない。この戦い厳しすぎんだろ!
そう考えていたところ、ルナ姉も流石にガチで勝負すると勝ち目はないとわかっているのでハンデをくれた。
「サラは「闘争」と「魔力変換」禁止。それと最高出力は8割まで。」
「それでいいんですかルナ様。」
「ああ、いい戦いになると思うけどな。」
「わかりました。」
それは流石に過大評価し過ぎだと思うんだけど。それに、多分8割も出されたら秒で負ける気はするけど、、、
そんなことを考えていると準備に入るように合図があった。俺は亜空間魔法から刀を取り出すと周りのオーディエンス達が「え?刀?」「剣の方が良くないか?」なんて声をちらほらこぼしていた。
それに追い討ちをかけるようにサラもそのように言ってきた。
「刀ですか、、剣の方が良くないですか?」
「場合によりけりですよ。それにもし刀がなければ僕は槍を持ってますよ。」
「それは相手が私だからですか?それとも性分ですか?」
「後者です。」
そう会話してると準備に入るように言っていた男が静止するように指示を出してきた。
「それではよーいスタート。」
男がそう合図をしたと同時にサラは俺の方にいきなり「俊足」を使ってものすごいスピードで詰めてきた。
「ヤッベ、これはまずいな、、、」
そう口に出しながら俺はサラが発動していた「俊足」を逆算して反魔法で打ち消した。
どうやら「俊足」は常に足に魔法陣がリングのように映し出されるみたいだった。
正直言ってその特性がなければ、一瞬で終わってた。
俺はサラの魔法を消したことに一瞬驚いてはいたが気にせずに距離を詰めてきた。
「肉弾戦は多分不利だけど!」
俺は無詠唱で風の上級魔法の弾丸を作り、風の中級魔法で竜巻を作り、風の下級魔法を自身に薄く張り巡らせた。
そうして俺は自分に有利なエリアを作り出した。
それに臆することもなくサラは突っ込んできて、右の拳を俺にぶつけようとしてきた。
俺はすかさず回避するとその頃にはサラは既に次の技をくり出そうとしていた。
たまらず俺は事前に作っていた上級の風魔法を俺とサラの間に放ち、緊急回避に成功。
サラもそれを食らってまで追撃できるほど耐久がなかったので助かった。
それにしても肉弾戦は流石に無理があったか、、、いや、無理でもやらないと。
「サラさんの肉弾戦ってすごいですね。全く歯が立つ気配がありませんでしたよ。」
「それはありがとうございます。ですがすごいのはあなたも同じ事です。9歳にしてよく私の初撃を躱しましたね。ハンデとはいえ、怖いくらいの戦闘能力です。」
そうお褒めの言葉を預かった。強い人からの褒め言葉ってめっちゃうれしい、、
そんなことを考えつつも俺は次の手を打とうとしていた。
「それではこちらから行かせてもらいます。」
そう言ってサラはさっきよりもさらに速いスピードでこちらに向かってきた。俺は水魔法で足場に水を染み込ませて緩くさせた。
俺の予想ではこんなものじゃ止まらない。それをわかっていた上での発動だった。
事実サラはほんの少しスピードは落ちたものの、すばやくこちらに向かってきた。
これだけだと思ってもらっては困る、、
俺はサラが来るであろうルートをある程度予測して次の手に備えた。
「こんなものなのですか?」
そう言いながらサラが詰めてきた途端にサラの下から急に土の壁が現れた。サラはそれを難なく回避した。
「前言撤回します。相手が水を含んだ地面に意識を持っていった瞬間に壁を作り出した相手を自ら衝突させる、、、良い手です」
これも回避するのか、、、流石はエゲツないステータス。
そう考えていると、その隙も与えないとするサラの怒涛の攻めがやってきた。それを俺は刀で弾いたり、ギリギリのところで躱してなんとかサラの攻撃を防いでいた。
ギリギリで防ぎながらも俺は上級の火魔法と水魔法を交互に打ちながら攻めようとしたが難なく全て回避された。
そうしてギリギリの攻防を繰り返していると俺の方が先に均衡を破られてしまった。お腹に1発良いのをもらった。
俺は後方に10メートルくらい吹き飛んでいった。
「もうそろそろ終わりですかね。」
サラがそう言うと俺もそれに同意した。
「確かにそろそろ終わりですね。」
そうしてサラが俺に近いた瞬間に俺は風の上級魔法を上空に向けて連発で放った。その行動に驚いたサラが上を見ると上には乱気流があった。
「嘘っ!いつからあったの?」
「最初からありましたよ。僕の頭の中ではね。」
そうして俺はサラの上空にできた乱気流にできた雷を魔力操作と風魔法を使ってそれを地面に叩きつけた。
それを側で見ていたルナ姉が俺とサラに防御魔法をかけた。
「おいおい坊主、手を抜くなとは言ったけど本気でやりすぎだ。もう少し手の込まない魔法を覚えろよ。」
「僕が普通に使う魔法は弱いから仕方ないじゃん。」
そうしてルナ姉が横から割り込んで来ると「勝負はサラの勝ちだ」と言ってきた。
「えー!今の僕の勝ちでしょ。」
「ギリギリとはいえ、自分を巻き込む魔法を使ってどうするんだ!今のは坊主の負けだろ。」
確かに俺の負けかもしれない。勝負事で熱くなるのはいいけど熱くなりすぎるのは良くない。かえって思考を邪魔するだけだ。そう言う面で見ると完全敗北だな、、、
そうして俺とサラの戦いはサラの勝利で終わった、、、、はずだった。
「おいおいおい!今のスゲーな!」
「まだ9歳なんだろ!期待の星じゃねーか!」
「ステータスが弱いよか言ったやつ誰だよ。めちゃくちゃやりよるじゃん。」
一時的だったけど、そんな声で溢れ返った。
俺は周りのみんなの反応にオドオドしてるとサラが寄ってきた。
「あなた、本当に凄かったですよ。魔法の技能、状況把握能力、魔法師なのに格闘家との近接戦闘。本当に何者ですか?」
「ただのミリル・ローランです。それと僕からもいいですか?」
「はい、なんですか?」
「あの、、無理にとは言いませんのでよろしければ僕に敬語を使うのを遠慮していただきたいのですが、、、」
そう言うとサラはすこし驚いた表情を見せてから「はい、では私も敬語じゃなくていいよ。」と言ってきてくれた。
流石に気が引けるから遠慮しようと思ったが「勝者の命令です。」と、誰かさんに似た言い方で言っていた。
「はい、ではそう、、、いや、、、わかった。お互い敬語なしで気軽に話しましょう。」
そう言ってサラと俺は打ち解けた。
その後、何回か休憩を挟みながらも結構な距離を進んだ。休憩中には他にも俺とやりたいと言う人が多かったので俺は休憩毎に戦闘を繰り広げた。最初はコイツ弱過ぎみたいな感じだったがサラとの戦闘を終えたあとからみんなの俺に対する味方がおそらく変わった。
それだけサラがなかなかの凄腕だったということでもあるんだと思う。まぁ、そのおかげで俺の同行に反対していた者達はいなくなった。
それから時間が経ち、夜になり、近くに水辺のあるところでキャンプすることになった。
そこでも俺は色んな人と交流を持ち仲良くなった。とても有意義で面白い一日になったと思う。
そうしているとルナ姉から声がかかったのでルナ姉のところに向かった。
「坊主、楽しいか?」
「めちゃくちゃ楽しいよ。このメンバーでずっと居たいくらい面白い人や優しい人がいるね。」
「そうか、それはよかった。坊主を無理矢理連れてきた甲斐があったぜ。」
そういえば俺、無理矢理連れてこられたんだった。全然忘れてたけどそんなこともあったな、、、今日のことか。
そんなことを思いながらも一つふと疑問に思ったことが浮かび上がった。
「どうやって自分の店と本業の方を掛け持ちしてるの?」
「坊主は魔法電話って知ってるか?」
え?そんなものあるの?全然知らなかった。
「いや、今初めて聞いた。」
「これでいつもやりとりしてる。」
「なるほどね。それで本店ってどこにあるの?」
「中立都市ドライアードだ。」
え?ガチなやつじゃん。一番デカいところに本店あるとかやば過ぎるんだけど、、、
「それは、、、、すごいね。」
「坊主、語彙力なくなってんぞ。」
そりゃなくなるよ。だって一番デカいとこだよ!
そんな話をした後に俺はルナ姉に感謝を告げた。
「今日はありがとう。とても楽しかったよ。」
「いいってことよ。これから坊主にはビシバシと働いてもらうからな!」
そう言って俺たちは一緒のテントに入っていき夜を一緒に過ごした。
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