第12話 努力家と天才
キャンプをしてから1ヶ月が経った。いつも通り訓練をした後に俺は今度はレーネの家に遊びに行くと約束をしていた。
そう、その日が今日である。行くついでに俺はあることをしようと思っている。
それは、、、「鑑定」である。
何故かというと、まぁ、いつも通りレベルアップが目的なのだが、他の人のステータスを見てどれくらいの差があるのかを見てみたいと思っている。
それに今後必要そうなスキル探し、発現条件の筋道を立ててそのスキルを得るために「鑑定」しようと思っている。
そして、ようやくいつもの日課であるな訓練が終わった。俺は終わると同時にすぐさまレーネは家へ向かった。早く行きたいというのもあるが、さっきも言ったけど1番の目的はスキルのレベル上げ。
そのために俺はいろんな寄り道をしながら進むことにした。
「こうしていろいろ見回っているといろんな人やものがあったんだな。全然気づかなかった。というか、この町に獣人も住んでいたなんて、、気づかなかった。もしや、精霊やエルフとかも、、(まぁ精霊はこっちからは見ても区別とかわかんないけど)」
引きこもりの俺にとっては意外と未知な所が多かった。この町全然知らなかったんだなぁ。
そして俺は行き交う人のレベルや周りの建築物を見て回っていた。
15レベ、29レベ、測定不能、8レベ、測定不能、測定不能、コンクリート、木、石、測定不能、27レベ、、、、、、
こうして見回った結果「鑑定E」のいろいろなことがわかった。
まず、人のレベルは「鑑定E」では30レベル以上のステータスが見れないみたいだ。
それに建築物の素材や周りの草木は大雑把にはわかっても細かくはわからないということ。
レベルアップまでどれくらいの量が必要になるかわからないが、「鑑定」のレベルアップを早めに行った方がいいみたいだ。
備え有れば憂いなしってね。まぁ、単に相手のレベルがわかんないと万が一に強敵に出会った時にどうしようもないしね。
そのあたり、強者はオーラだの雰囲気だの言ってるけどね。まだまだ雑魚だから分からん。
そうして、ようやくレーネの家に着いた。
家に着いているベルを鳴らそうとした時に内側から扉が開いた。レーネだった。
「6分29秒遅刻。ローラン遅い。」
コイツちょっとくらい待てないのか?
「あぁ、それは悪かったよ。」
「悪いと思ってるんなら次から5分前行動して。それと私に甘いもの買ってきて。」
コ、コイツ、、プライベートに5分前行動なんて言葉を使うなよ。リラックスできないじゃん。
「甘いものはともかく、5分前行動はちょっと、、、」
「じゃあせめて時間通りに来て。遊ぶ時間がなくなっちゃう。」
遊ぶことにどれだけ本気なんだよ。この子、、、
「はいはい、善処します、、、」
「ぜんしょ?ってなに」
おっと、子供が分からない言葉を使ってしまった。
「適切に処理をすること。まぁ簡単に言うと、遅れないように頑張るよ、って言いたかったんだ。」
「もう、、最初からそう言ってくれればいいのに、、」
膨れ顔になったレーネはそう言いながら俺を家に招き入れた。
「前から思ってたけど、この子将来、絶対可愛いくなるな。ちょっとあざといところがいい。」
「何か言った?」
「いや、なにも、、」
そう言いながらいつものリビングに入っていった。
「お邪魔します。ローランです。」
「毎度毎度そんなに堅苦しくなくていいのよ。ベンから聞いたけど、もう少し子供っぽくてもいいんじゃないかしら?」
「はぁ、そうかもですね。あははは、、、」
ちょっと大人び過ぎてるなんて言わんくていいぞ、ベン。
少しして、ベンが2階から降りてきた。
「やぁ、ローラン君。またあったね。」
「ご無沙汰してます。今日はお仕事は休みなんですか?」
「いいや、今終わったところだよ。少し残っていたものを片付けただけだよ。」
「そうだったんですね。お疲れ様です。」
そう言うと、ベンは俺に気を遣ってくれた。
「君はまだ若いのだし、あまり気苦労する必要はないよ。さぁ、レーネと遊んできなさい。」
「はい、そうします。」
そうして俺はレーネの下へ行きベンとルージュはリビングの椅子に座って話していた。
「今日はなにして遊ぶ?」
「僕が知ってる遊びなんて、チェスと将棋くらいだよ。いつも通りレーネが決めて。」
そう言った瞬間、レーネが次の言葉を喋るよりも前にベンが割り込んできた。
「ローラン君、将棋を知っているのかい?」
「えぇ、まぁ、チェスの方が得意なんですけど、将棋も出来ないことないくらいには。」
「私と一局やらないかね?」
と、急に対戦を申し込まれたが、ルージュがそれを止めにかかった。
「ベン、ローラン君はレーネのお客さんですよ。次に自分で招待した時にしてください。」
「あ、あぁ、それはすまなかったねローラン君。君が極東の精霊達の娯楽を知っていたとはね。精霊の国が極東にあるのは知っていたかい?」
「いえ、知りませんでした。僕はこの辺りの事しか知りませんので。」
極東に精霊の国があったんだ。知らなかった。というか、精霊が将棋ってめっちゃシュール
「じゃあどうやって将棋を?」
「本で少し、、、」
「そうだったんだね。まぁ、今回は見送るが次は相手してもらうよ。」
「はい、僕でよければ是非。」
そうして将棋の相手をする約束をしてしまった。見るからにベンは強そうだからコテンパンにやられないといいけど。
そんなことを話しているとレーネに服を引っ張られた。
「ローラン、お絵かきしよ。」
「うん、わかった。お絵かきしよう。」
そう言うと、レーネは2人分の紙とペンを持ってきて、絵を描くことになった。
我ながら"お絵かき"って、、恥ずかしい、、
「それで?何描くの?」
そう俺が聞くと、レーネは少し悩んだあと「好きなもの」と言ってきた。
"アバウト過ぎる"と思いつつも俺たちはペンを走らせた。
そして、5分が経った。
「できた!見て、ローラン。」
早くね?俺まだ2割だけど?
そう思いつつもレーネの描いた絵を見てみることにした。
そこにあったのはクレヨンで塗られた花束とウェディングドレスをきたレーネだった。
「どう?可愛いでしょ?将来はローランのお嫁さんになる。」なんて言ってきた。
小さい子ってだいたいそんなものなのかな?知らんけど。
まぁ、一応返事はしといてやらなくもない。
「うん、僕もレーネがお嫁さんだったらいいと思うよ。」
、、カァーッ!何言ってんだ俺。ヤッベ。めっちゃ恥ずかしくなってきた。
そう俺が言うと、俺はもちろんのことレーネまで顔を赤く染めた。
元高校生の俺がこんな幼女相手に、、、
そんなやりとりを見て、ルージュとベンが話に入ってきた。
「まぁあ、レーネとローラン君とてもお似合いよ。もう、将来結婚しちゃってもいいんじゃないかしら。」
「たしかにローラン君となら大丈夫そうだな。」
ちょっとちょっと、俺の意思は?って、俺OKしたんだったな。やっちまったぜ!
なんて考えているとレーネから「全然描いてないじゃん」と言われ我に戻って続きを描き始めた。
そして続きを描き始めてから15分。ようやく俺は描き終えた。
「終わったよ。」
そう言うと、レーネは、すぐさま俺の絵を見にきた。
「これって、、、」
「そうだよ。これはこの前の、キャンプの絵。上手いだろ?」
我ながら完璧オブ完璧。20分でこのクオリティはなかなかだ。
「ローランすごい。絵上手!」
「ありがとう、でもレーネに比べたらまだまだだよ。」
と、そう言うとレーネは少し怒った表情を見せた。
「ローランの方が上手じゃん。」
「違うよ。単なる上手さだけなら確かに僕の方が上手かったかもしれないけど、レーネの作品には僕のより気持ちが込められている。」
「そうなの?」
「うん、そうだよ。勝者にはプレゼントが必要だろうし、この絵と今度甘い買ってきてあげる。」
そう言うと、レーネはとても嬉しそうな表情で喜んだ。
その後もいろんな遊びをしていたら日が暮れてしまった。
「ローラン君、もうすぐ夜になっちゃうから帰った方がいいわよ。」
「そうですね。そろそろお暇させていただきます。」
その後、家族全員で俺を玄関まで見送りに来てくれた。毎度毎度律儀な人達だ。
そして、俺が帰ろうとした時にふと本題を思い出した。
(そういえば、周りの人のステータスとスキル見るんだった。)
そうして俺は玄関先まで見送りに来てくれたルージュとベン、そしてレーネのステータスを見ることにした。
えっと、、測定不能、測定不能、とあとはレーネか、、、
そうしてレーネを見てみると驚くべき結果が出てきた。
ステータス lv.4 レーネ
体力 54+D
持久力 63+C
敏捷 43+D
耐久 28+E
魔力 87+C
状態耐性 31+E
知能 79+D
スキル「オーラD」「下級回復魔法」「下級魔法」「亜下級魔法」「精霊の力D」「不屈E」
スキルポイント +30
「オーラ」…人の強さや感情がある程度わかる。
「下級回復魔法」…打身程度の傷までなら傷痕も残さず修復ができる。
「下級魔法」…火水風土の4属性の下級魔法が使える。
「亜下級魔法」…雷氷木熱の4属性の下級魔法が使える。また、8属性魔法とも言われる。
※「希〜魔法」と言うものもあり、光闇の2属性魔法が使える。10属性魔法とも言われる。
「精霊の力」…精霊の血を持つものだけが使え、一時的に羽を顕現させ能力を上昇させ、魔力量を増やす。※使う力に応じて反動がはね返る。
「不屈」…精神攻撃、又は絶望的な状況下でも耐える。
「はあーーー!!!」
俺は思わず声をあげてしまった。
「ローラン、どうしたの?」
「ローラン君、何か悪いことでもあったの?」
そう聞かれたので、正直に伝えることにした。
「レーネ、君はどうやらとてつもない才能があるみたいだ。」
「どう言うこと?」
と、聞かれたがその前にベンが話してくれた。
「おそらく、ローラン君は鑑定でレーネのステータスを見たんだよ。それでレーネがとっても強いことを知ったんだよ。」
「私って、、強いの?」
「僕の2倍は強いよ。」
「そーなんだ。ローランに強いって言ってもらえて嬉しい。」
レーネはとても良い笑顔であったが、それとは逆に俺は少し引き攣った表情を見せた。
そして家に帰っている途中もうずっとあのステータスのことで頭がいっぱいになりながらもいろんなものや人を鑑定しながら帰った。
頭がパンクしそうだ、、、
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