第11話 キャンプ2

 俺はあの後、疲れと眠気と嫌気ですぐさま寝袋に入って寝た。ぐっすりと寝る予定だったのだが、思いの外早く起きてしまった。

  

 だが疲れはなくむしろ、今までで1番気持ちよく身体を動かせると言っても過言ではないくらい疲れがなく軽かった。もしやと思ったがその通りだった。レベルアップである。


 それもあんなに今まで苦労して上げていたレベルが3も上がっていた。それにスキルまで発現していたし、スキルポイントが140も手に入った。おそらくレベルが10の倍数時では獲得できるスキルポイントが多く、10レベル毎に獲得できるスキルポイントが増えるのだろう。


「ステータス」


ステータス lv.12 ローラン 3up⤴︎

体力   38+なし 11up⤴︎

持久力  45+ E 15up⤴︎

敏捷   31+なし 12up⤴︎

耐久   21+なし  7up⤴︎

魔力   120+C 19up⤴︎

状態耐性 97+C 20up⤴︎

知能   300+C 30+50up⤴︎


スキル「闘争S」「隠密A」「習得速度上昇E→ D」「中級魔法」「亜空間魔法E→D」「魔力操作C」「鑑定E」new「隠蔽E」new

「鑑定」…相手のステータスや物の品定めができる。

「隠蔽E」…隠す、隠れる能力の上昇。Eまでのスキルを隠蔽できる。レベルに応じたスキルの隠蔽を可能とする。


スキルポイント    +90(140-50)



 

 とりあえず知能は300まで上げた。そうすると、「鑑定」がゲットできた。それに「隠蔽」というスキルまでゲットできた。これは恐らく、「隠密」によるものだろう。

信じてよかった〜。

 他にも、「亜空間魔法」と「習得速度上昇」はE→Dになっている。あんなにあっさり魔物を倒して、こんなにあっさりレベルが上がると今までの苦労が馬鹿みたいに思えてくるな、、、いやいや、今までの苦労があってこそ今の自分がいるんだ。これからも頑張ろう。

 

 少し残念なのは「魔力操作」のレベルが上がらなかったことくらいか。当たり前だけどレベルが上がるにつれてどんどんと経験値や技量が必要になってくるらしいな。まぁ、今後上がることに期待しよう。

 残りのスキルポイントは、、、また今度でいいや。


 そのあと、外に出て水でも浴びようと思い、着替えとタオルを持って水辺に行くと今1番会いたくなかった人に出会ってしまった。

 そう。ベンである。まぁ、正確に言うと人ではなく半人半霊なのだが、、、


 俺は咄嗟に隠れようとしたが、見事に小枝を踏みつけパキッと音を出して折れた。

その後、ベンは無言でこっちを見てきたあと「一緒にどうだい?」と言ってきたので一緒した。

 というか、俺視点だけど、昨日売ってやった恩を返してもらおうか。みたいな意味を含んでいると思った。


「失礼します。」

そう言って入ると、またもこちらを凝視してきた。


「どうかなさいました?」

「いや、ただ君の雰囲気が昨日とちょっと違って見えてね。レベルアップでもしたかい?」

「え、なんでわかるんですか?」

 レベルアップしたことを当てられた俺はつい聞き返してしまった。


「君から漂うオーラみたいなものが少し大きく、そして穏やかになったように見えたからね。」

「オーラ、、ですか。そういうの全くわからないのですが、、」

 そういうと、俺の疑問に答えてくれた。


「知っているかどうかは知らないが、私は半人半霊なのだよ。知っていたかい?」

「はい、知っています。」

「精霊というのは特殊でね。そういう人の魔力というか雰囲気というのがオーラとして見えていてね。その後オーラの色や大きさ、穏やかさでどのくらいの強さかとか、感情の昂りなどがわかるのだよ。」


なるほどな。それで俺のレベルアップがわかったのか。面白いことを一つ学べたな。


「そういえば君に昨日のことを聞いていなかったね。えっと、、僕は、、のあとなんて言おうとしていたんだい?」

「えっとですね、それは、僕は産まれた時からの意識があるんですって言おうとしてたんです。それでいろいろと知っていたりとかするんですよって、、、」

 苦し紛れの言い訳だが、真実である。本当のことを言うと平凡で平穏な生活がなくなってしまうかもしれない。それにオーラの話をされた後じゃ嘘はつけなさそうだ。

 そう考えた俺は真実を、伝えた。本当に苦しい言い訳だな。問いと答えがあってないもん。


「ふむぅ、、なるほどなるほど。ローラン君はどうやら嘘をついてはいないようだね。変なことを聞いて悪かったよ。」

「人の嘘がわかるんですか?」

「あぁ、たまにわからない人もいるけど、だいたいの人は嘘をつく時少しオーラが乱れるからねぇ。」


どうやら俺の予想は見事に的中したらしい。

危なかった。転生しました。なんか言ったら絶対トラブル起こるだろ。知らんけど。


「それで、なんで黙っていて欲しかったんだい?」

「僕は、、目立つのは好きじゃありませんので。」


本当のことを言うと、どうやら納得したみたいだ。だが、そのあと俺に心配そうな眼差しを向けてきた。


「力は一つのツールだ。権力や金と同じように、使い方が正しければ良い道標になるだろう。だが、間違った使い方をすれば君を地獄のどん底に落とすことになるだろう。そのことをゆめゆめ忘れずに使いなさい。それと、6歳にしては少々言葉が大人び過ぎているよ。

勉強もほどほどにね。遊ぶことも大切だよ。」


そう言って、ベンは身体を拭いて、服を着て、すぐさま朝食の準備に赴いた。

 あんなに威厳がありそうな強面の人にこんなことを言われるととても説得力があるな。

 遊びなさいなんて言われたの初めてだよ。

 てか、すげーエクスカリバーだったな、、


 そんなことを思っているとアレクスがやってきた。アレクスもなかなかだ、、、


「ローラン、お前だいたい朝遅いのに珍しいな!」

「こういうのに慣れてないだけ。ベッドがあればもっと寝るんだけどね。」

そう言いながら身体を流し、少しだけ親子で戯れあったあと、朝食を取りにみんなのところへ向かった。




「あら、ローラン。珍しく朝早いのね!びっくりしたわ。」

「それ2回目だよ、お母さん。」

「坊主は朝に弱いのか?」

「まぁ、とてつもなく弱いね。ルナ姉は?」

「あたしは弱くねぇが、ミナが結構よわいな。」

「そんなこと言わなくていいよ姉さん。」


へぇ、珍しい。だいたいああいう全て完璧人間はなんでもできる感じがするんだけど、朝が弱いのか、、、萌えだな、、、


「それより、他の皆さんはどうなんですか?」

そう恥ずかしそうにミナ姉は質問していた。

 恥ずかしがるミナ姉、かわえぇ。


「私もアレクスもそういうのは大丈夫だわ。」

「私たちはベンとレーネが少しダメね。ベンなんか、なかなか起きてくれないの。最近は仕事に遅れるかもしれないからって仕事場に自分の部屋を作っちゃうくらいにはダメね。」


え!マジ!あんなに威厳がありそうな感じの人でも朝弱いんだ!人間いろいろあるもんだな。てか、遊びに行った時にいなかったのに納得したわ。

 そんな感じでみんなで楽しく朝食を食べた。


 そして、昼まで各々ゆっくりした後に昼ごはんを近くの飲食店まで食べに行ってそのまま家に帰った。

 

「はぁー、つっかれた〜。」

「そうでしょうね。普段ローランは剣と魔法の練習以外は全然外に出ないし、というかもうずっと部屋で本読んでるし。」

「それ、ベンさんにも言われたよー。」

「あら、そうなの?ベンさんって話してみるととても面白い人よね。」


そうなんだよー、でさぁでさぁ、、と家に帰ってからは何故かベンの話で持ちきりだった。

 あの人のネタって意外と尽きなかったりしそうだな。なんて話で盛り上がった。

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