第3話 初魔法
そんなこんなしているうちに三年の日々が経った。俺は小さい体の扱いにようやく慣れてきていた。初めて立った時は一歳半。ほんの数秒だったけど、両親はとても喜んでくれた。俺もそれが嬉しかった。
それから二歳になった時くらいから段々と言葉を話せるようになっていった。今では簡単な本に書いてあるくらいの文字なら言葉をしっかり理解して発することができる。(前から理解はできていたけど。)
そして、俺はこの三年間で色々な知識を手に入れることができた。
まず、ここがどこなのかということ。それはヴァルガン王国の一番近くにあるそこそこ大きめの町だということ。この町には約9000人もの人が住んでいるらしい。
ちなみに隣接しているヴァルガン王国には250万人もの民がいるらしい。さすが王国。
そこには貴族派閥と国王派閥の2派閥がいるそうだ。だが、母親のグランツェが「そんなことローランに言ってもわかんないでしょ」と言って父親のアレクスの説明をやめさせた。一応理解はできるのですが、、、
そんなことは置いておいて、他には魔法使いと普通の人の比率を聞いた。どうやら、簡単に見積もって1:200だそうだ。意外と少ないんだなと思った。ファンタジー溢れる世界ならいろんな人が使っていると思ったがどうやら違ったようだ。
それから、この世界にも学校というのが存在しているみたいだ。10〜15歳までが基礎教育で、16〜18歳までが高等教育らしい。前世とは少し異なっている。
普通の人には義務教育みたいなものはないらしいが、魔法使い限定でそう言ったものがあるらしい。クソっ!なぜ、学校なんかに、、、
あと成人は18歳だということも知った。
まぁ、どうでもいい話だが。
それと俺が一番気になったのは、転生前に女神が魔法使いの一族と言っていたのに、アレクスは元王国騎士団長だということ。
そこがずっと疑問で仕方がなかったのだが、アレクスに聞いたところ、もともと魔法使いのミリル家の人だったのだが、魔法よりも剣の才能の方が大幅に上回っていたため、剣士の家系の別の家に幼い頃に引き取られたそうだ。
そして、剣としての才能を開花させてヴァルガン王国の騎士団長まで上り詰めたそうだ。
がしかし、アレクスが元は魔法使いの一族の人間だということが噂され始めて、騎士団長は騎士の家系のものがなるべきだという意見が多かったらしく、これ以上国王や育ての親に迷惑はかけられないと思い地位を降りたそうだ。
その時のアレクスの幼馴染であったのが今のグランツェであったらしく、地位を降りた後、実家に帰ってきた時にいろいろと世話を焼いてくれたらしい。
とまぁ、そんな波乱な日常を送っていたんだと。マジ尊敬します!
そんな、いろんなことを物思いに耽っていると、母親のグランツェから呼ばれた。
「ねぇ、ローラン。あなた優秀だからもう字も読めるし音もわかるでしょ。だから一度魔法を発動して欲しいの。」
本で読んだことがある。ちゃんと魔法が使えるのは約12歳くらいになってかららしいのだ。そんなことを頼まれて成功でもしたら神童だのなんだな言われるに決まってる。
というか、もう実際に成功はしている。さすがにやりたくなるでしょ。まぁ、いつやったかというと、ちょうど半年前くらいだ。二人とも疲れ切って寝ている隙に少し外に出て練習してしていたのだ。
1発目から成功してしまった。隠れ転生特典かな?普通におれがすごいとか?いやいや、自惚れてはいかん。だが、母親にこんなにお願いされているのを見たら嫌とは言えないよな、、、
「わかった。やってみるよ。」
「ほんと!やった!あなた来て。ローランが魔法使うわよ。」
「本当か!この歳でか!流石だな。」
まだやっとらんわ!
「じゃあ、やるね。」
俺はすぐに下級魔法である火球を使った。そしてわざと失敗する様に少しだけミスらせた。そして少し火は出たがすぐに消えて失敗した、が、
「グラン。今のって、無詠唱だったよな?」
「えぇ。そう、、ね。無詠唱、、ね。」
失敗はしたもののどうやら真逆の方向に失敗してしまったらしい。
「ローラン!お前凄いぞ。無詠唱なんて魔法使いでもなかなかできるものじゃないぞ。」
「本当によ。無詠唱なんか30歳超えても出来る人はごくわずかよ。流石ローランね。自慢の息子だわ。」
やってしまった。これでは俺の平凡で平穏な異世界ライフがぁぁぁぁぁ!!
その後、俺は心の中でずっと嘆き続けた。
そして時間が過ぎてご飯時になった。いつになく豪華だった。
「なんでこんな豪華なの?」
「なんでって、そりゃあ、」
「ローランのためでしょう。」
ですよね。知ってた。そんな感じしたもん。
「いやぁ、でも僕は何も」
「何もじゃない。無詠唱だぞ。才能の塊見たいやな奴しか使えないような無詠唱だぞ。」
「そうよローラン。私も使えるけど無詠唱はすごいのよ。」
今、自分で無詠唱使えるって言ったよなマイマザー?俺そう聞こえたよ?
、、え?それよりなんで一人称が変わってるだって?僕の方が可愛く見えるだろ?
「というわけでローラン。今日はご馳走だ」
嬉しくないと言えば嘘になるが、だがしかし、やってしまった感が今でも残ってしまうのはなんでだろうか?
そんなくだらない考えもこのご馳走を前にして一瞬で消し飛んだ。めちゃくちゃ美味かった。とりあえず食えるだけ食った。
その後、また魔法を見せてくれと言われたので「今日は疲れたからまた今度にして。」とだけ言って、なんとか今日を乗り越えた。
本当に疲れたよ。イヤ、マジで。
でも、次やるときはちゃんとしたのを見せてあげたいとも思って俺はベットの上に沈んだ。
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