第31話 ヒロインは女子会に参加する
「まあ、カレン、素敵な髪飾りね」
「ありがとうございます、マリアローザ様」
「その色はフランシス様からの贈物かしら?」
「はい!」
お茶会開始早々にマリアローザ様から髪飾りについて言及されて、ドキドキしてしまう。
マリアローザ様は公平な人と聞いたけど、人の好き嫌いがない人なんて有り得るわけがない。シャーロット様ほどの憎悪がなくても、フランシス様に思うことがあっておかしくない。
「マリアローザ様のリボンも素敵ですね」
「ありがとう。ジョシュア様からいただいたのよ」
知らなければ「仲良しなんですね」で流してしまうコレもプレお茶会でアニーから解説を聞いた今ならわかる。装飾品で自分が貴族の誰派にいるのか、主張はどうなのかを確認しているらしい。
これで、マリアローザ様はジョシュア様を支持していて、庇護下にいると公言しているとか。貴族怖!
「アンナも素敵な髪飾りね」
「私のはかんざしという装飾品で、我が商会が今期売りにだそうとしている最新の輸入品です。流石はシャーロット様、お目が高くいらっしゃいますね」
シンプルだけど、宝石の素材の良さが押し出される美しい花の形をした髪飾りはアニーの髪の毛を品よくまとめている。
アニーは商人らしく、自分の家の新商品の広告塔になってる。
「シャーロット様もミントグリーンベリルとは珍しい宝石を使われていますね」
「流石の目利きね」
こっちの意味はわからなかった。ミントグリーンにどんな意味があるのかわからないと分からないパターンだ。
「神は、邪神にも救いの手を差し伸べるほどに公平で高貴で、無垢な存在でした」
急に語られたシャーロット様の言葉がよくわからず、返事ができるようにできるだけ急いでクッキーを噛み砕く。
「救いの天使になれるよう頑張りなさい」
慈愛に満ちたその表情に、ゾッとする。教会に詳しくなさすぎて何を言っているかわからないが、良い言葉じゃない気がする。
「いつでも相談に乗るわ、アンナも困ったことがあれば言いなさいね」
続けられたマリアローザ様の言葉には素直に頷いて、その後はお二人の話に相槌を打つ。美味しいはずなのに味のしないクッキーを噛み締めたお茶会は和やかに終了した。
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