【選択】赤のカチューシャ
第30話 ヒロインは赤のカチューシャを選ぶ
※28話でヒロインは赤のカチューシャを選びました。
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焦らして価値を吊り上げる作戦……のために、フランシス様と仲良くすることで貴族的な価値を上げていくことにした。
商人を通じた贈り物はアピールとしてはあるものの、求婚としてはランクが低い。むしろご令嬢からしたら「憧れの〇〇様から求愛されたのよ!」「きゃー素敵」みたいな使われ方をする。
小さいダイヤモンドだから求婚ではない、というアニーの言葉を信じてみることにした。
「どう?似合うかな?」
鏡に映る姿は特に問題なさそう。小さなダイヤモンドはカチューシャの端に着いているから余程のことがないと気がつかれないと思う。
「バッチリ!カレンは可愛いよ」
「もう!ローワンはそればっかり!」
いつものようにおどけたローワンに言い返していると、アニーが少し渋い顔をした。
「カチューシャが明らかにフランシス・アレンを示しているから、シャーロット様はお気に召さないだろうけど」
「エリオット様のを着けるより良いでしょう?」
「そりゃね!」
やれやれと言いたげなアニーはローワンの手に残ったリボンを見て、悪どく笑う。
「貴族のお茶会に商会のリボンも中々だ」
「アニー!辛辣だよ!」
「ローワンの優しさは感じたわ」
「だってな。良かったな」
カチューシャを眺めていて、夕暮れの光の元で潤んだ紅い眼差しを思い出す。それに連想されて、温かかったフランシス様を思い出して、ドキッとしてしまった。
大丈夫、私は目的を見失ってなんかない。
「どうした?カレン?」
「なんでもない!」
「じゃあ、コレを置いてさっさとプレお茶会に行くぞ」
「なんで?!プレなら入れてよ!」
今日の練習場所も私の部屋だ。3人で騒ぎながら、賑やかにお茶会練習に向かった。
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