第13話 ヒロインはいじめられる
だから王子様と関わるの嫌だったのに!!
そんな庶民の声は聞かれない。確かに物語のヒロインは困難に襲われるけど、まだ早い!と文句を言いたい。
私はまだマナーもなってないし、なによりターゲット……もとい私の
「いい気にならないことね!」
「そうよ!ジョシュア様はあなたがお金のない貧民だから興味があるだけよ」
「あのフランシス様のお手を煩わせるなんて信じられないわ」
「特待生なんだから勉強だけしておけば良いことよ!」
好き好きに文句をいう彼女らは私がどうして中庭で食事を取っていたのかを知らないのだろうか。
ここは同じ階から茂みが邪魔で見えないけど、上の階からは丸見えな場所なのだ。ここに通っていればそのうち役に立つと思っていたけど、まだ友だちが多くない私では意味が無い。
とはいえ、アレね。私がここで困っていたり、悲しんでいたりしないと同情は買えない。
「そんなっ……!」
中身のない言葉を少しだけ返す。何も言わないのも不自然だものね。ただ、心からの声を叫んでいいなら、私だってお茶会に行かずに大人しく勉強だけしておきたいわ。
そして健全な学校行事のみで第二夫人を取りそうな貴族令息と仲良くなりたい。なんなら第三でも良い。
誰が楽しくて謀略張り巡らされた上っ面だけお上品なお茶会に行きたいもんですか。そういうのを回避するために今努力しているのに。
「あなたの常識がないから、
私を囲んでいた貴族令嬢の一人が振り上げた手を思わずじっと見てしまう。感情が高ぶったから殴りたいのだろうけど、なんというか、遅過ぎるのだ。
生活のために森に狩にもいくような小さな村の子どもとして育った私を殴るには手が遅過ぎて、当たったら態とらしいかも……と妙なところで心配になってしまう。
都会育ちのか弱い女の子がするのに普通ぐらいはこのぐらいかな?と思いながら、腕で顔を庇った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます