第8話 ヒロインなら友だちの友だちは友だち
「カレン・ステノと申します。アニーの友だちです」
「アニーから紹介があったけど、私はローワン・ミラー、ぜひローワンと呼んで仲良くしてね」
ウィンク付きで挨拶してくれたローワンは私でも知っているレベルの商会の息子というだけあって、身なりもキレイだ。
笑い方の種類が貴族の子たちと違うだけで、見た目は遜色ない。
「噂の特待生は君だね、貴族が総ざらいしていく特待生枠を取った平民と聞いて会ってみたかったんだ」
「え、そんな噂になっているの?」
「みんな興味津々だと思うよ」
印象はマイナスなんだろうか、プラスなんだろうか。今後の作戦に影響するから気になるところだ。
「貴族たちはあまりいい印象持ってなさそうだから、アニーの傍を離れないようにね」
「ありがとう」
最高ね。
イメージがマイナスからスタートならこれ以上下げられないが、期待値が高いと下げるのは容易で、良いことをして期待値を維持してもそれは当然と取られてしまう。
「お礼を言われるのは意外だ、カレンちゃんは頭が良いんだね」
「え?だって心配してくれたんだよね?」
「そっか、そうか……」
「おい、ローワン。カレンは私の友だちだ」
「わかってるって、アニー」
もしかして、商人的な確かめられ方をしたのかな。あまり狡猾と思われても印象が良くない、優秀と思われては第二夫人の道が遠のく。
今は周りに人がたくさんいる。私がターゲットしたい貴族たちもいる。
可愛くて素直で手元に置いておきたい。そんな平民を目指すべく、少しだけ首を傾げて、よくわからないわ!と言った様子を醸し出す。
アニーの言いつけ通り、よくわからないときは笑うを実践すべく、ちょっと微妙な笑みを浮かべて笑っておいた。
少なくとも素直な田舎娘のイメージが補強されて、アニーの心象は良くなったはずね!
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