家に帰ってから

俺達は家に帰ってからも、ずっと口を聞かないままだった。

ワンルームの部屋なので、嫌でも同じ空間を共有する。それだけに今日の部屋の中は居心地の悪さが漂っていた。


ゆうが俺越しに見た花束...俺の脳裏にこびりついて離れなかったのは、それを見た時の表情。それは怒りとも悲しみともつかなかった。その表情を言い表すのに適切な言葉が見つからなかった。


お茶挽きでお茶を挽いたり、カレーを作りながらあらゆることを考えても、あいつの表情の真意は全く掴めない。


あいつは一体、何を考えてるのだろうか...




「健児...」




俺の思考を遮ったのは、消え入りそうなあいつのつぶやきだった。

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ゆいとゆう つばさ @underworld

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