ゴットカード
渋谷かな
第1話 ゴットカード
「あなた、つまらないカードを持っていると、つまらない人生になるわよ。」
そう言い放つ俺のカワイイ妹ポーちゃん。本名、佐藤ポー。
「人はカードで決まるのよ。どんなカードを持っているかで相手の印象が変わる。自分の印象が変われば、相手の接し方も変わるのよ。」
これでも7歳の小学一年生だ。
「相手が自分に優しく接してくるのか、いじめてくるのか、それはあなたの持っているカード次第よ。」
全く可愛くない性格をしている。見た目は可愛いのだが。まるで大人が子供になったみたいだ。
「食い逃げだ! 誰か捕まえてくれ!」
どこにでも悪い奴はいるものだ。男がラーメン屋からお金を払わないで逃げてくる。
「待ちなさい!」
食い逃げ犯に立ち塞がる俺の妹。
「どけ! クソガキ!」
「あなた。ゴットカードを持っているわね!」
「なぜ俺がゴットカードを持っていると知っている!?」
食い逃げ犯はゴットカードを持っていた。
「私とゴットカードで勝負よ!」
「いいだろう! 返り討ちにしてやる!」
「ゴット・カード・ファイト!」
こうしてゴットカード・バトルが始まる。
説明しよう。
ゴットカードとは、老若男女問わずに遊べる新しいカードゲームである。カードはお店で買うか、スマホアプリのゲームの中でガチャという名で課金して手に入れる。手に入れたカードは専用の機会かスマホで読み取りデジタルカードになる。戦いを繰り返し経験値を得ればカードのデータが強くなるナウでヤングな設定。戦いはゴットカードをバトル・デッキにセットして戦う。
当初、普通のカードゲームで人気が出なかったが、何でもありにしたら人気が出た。またログインして誰かと戦闘したり、戦いに勝つとゴットマネーが手に入いる。ゴットマネーは仮装通貨で現実世界でお金として使うことができる。ゲームで生活費を稼ぐ者もたくさんいる。
食い逃げ犯のカードはスライム1枚。
ポーちゃんのカードは歩兵1枚。
「いけ! スライム! 生意気なガキンチョを倒せ!」
「スラスラ!」
スライムの攻撃。
しかし、歩兵はダメージを受けない。
「なに!? 俺のスライムの攻撃が効かないだと!?」
食い逃げ犯はダメージを与えられなかったので驚いた。
(フッ、さすがお兄ちゃんの机から奪ってきたカードだわ。この歩兵さんは強い!)
ポーちゃんは窃盗犯であった。俺のカスタマイズした強い歩兵さんカードを使っているのだ。
「おまえの攻撃は見切った。今度は私の番よ!」
歩兵さんが剣で攻撃。
(なに!? この歩兵さんの剣は!? 何かを吸ってるわ!?)
歩兵さんの剣は食い逃げ犯の悪意を吸い取っていた。
(まるでタイソンだわ!)
タイソン掃除機のことである。
「ギャアアアアアアー!」
スライムは倒された。
「勝者! ポーちゃん!」
俺のカワイイ妹は初戦を勝利で終えた。
「良い子は勝つのよ! オーッホッホッ!」
ポーちゃんは食い逃げ犯に勝った。
「おじさん、どうして食い逃げなんかしたの?」
「実はお金が無いんだ。」
勝利すると相手のゴットマネーの半分を手に入れることができる。
「1円!?」
「実はリストラされてお金が無くなって、でもお腹が空いたからラーメンを食べて逃げたんだ。ごめんね。お嬢ちゃん。俺は警察に自首するよ。」
さっきまでと違い素直な食い逃げ犯。これもポーちゃんがゴットカード・バトルでおじさんの悪意を吸い取ったからである。
「さあ、ラーメン代が払えないんなら警察に行こうか!」
「はい。」
ラーメン屋が食い逃げしたおじさんを捕まえる。
「待って!」
その時、ポーちゃんが大きな声を出す。
「ラーメン代は私が払います。だから今回だけは見逃してあげて。」
「お嬢ちゃん!?」
「違う。ポーちゃん。」
ニコッと無邪気に笑う俺の妹は可愛かった。
「ありがとう。ポーちゃん。おじさん、真面目に働くよ。」
「がんばってね。」
俺の妹はラーメン代を払い食い逃げ犯は心入れ替えて前向きに生きることを約束して去っていった。
「いいことしたな。アハッ!」
スカッと爽快な気分になった俺のカワイイ妹。悪い人の悪意を吸い取り、優しい心の人間に戻す。これが本当の超勧善懲悪。おっと5文字熟語になっちゃった。
「今日のご飯は何かな? シュークリームならいいな。」
俺の妹はご飯よりもスイーツやおやつが好きなタイプだった。
ポーちゃんのゴッドカードの歩兵さんはレベルが2になった。
本当はポーちゃんの兄である俺のゴットカード。レベルは測定不可能の俺の歩兵さん。正体は超超超レアな影の剣士。それに普通の歩兵さんに見えるように普通の歩兵さんの剣や鎧を張り付けてある感じ。どこから見ても普通の歩兵さんにしか見えない。説明が長くなると読みにくいのでその都度説明することにしよう。
「ポー、ポー、ポー、鳩ポッポー。」
「違う! ポーちゃん! お兄ちゃんなんか大っ嫌いだ!」
俺にからかわれるカワイイ妹の佐藤ポー。小学一年生の7才。俺は兄の佐藤築。高校一年生。
「ポー、俺の歩兵さんカード知らないか?」
「知らない。」
隠匿罪も犯すポーちゃん。
(もう歩兵さんはポーちゃんのものなのだ! ニヤッ!)
不敵に笑うカワイイ俺の妹。
「万引きだ! 誰か捕まえてくれ!」
コンビニから万引き犯のお姉さんが逃げ出してくる。
「どうして私は事件に遭遇するのかしら?」
いつものように事件に巻き込まれる俺のカワイイ妹。
「止まりなさい! 万引き犯!」
堂々と立ち塞がる小さな妹。
「はあ!? ガキはどきなさいよ!」
万引き犯は子供に邪魔されてイライラする。
「あなた! ゴットカードを持っているわね! 私と勝負しなさい!」
「いいわよ! コテンパンに倒してやる!」
思わず逃げなくていいのか? と突っ込みたくなるが、そこは置いといてと。
「ゴットカード・ファイト!」
こうしてゴットカード・バトルが始まる。
万引き犯のゴットカードは歩兵5体。
ポーちゃんのゴットカードは歩兵さん1体。
「卑怯者!? 5対1だなんて!?」
「卑怯? 誉め言葉と受け取っておくわ! 要は勝てばいいのよ! 勝てば!」
数的不利な状況で俺の妹の戦いは始まった。
「やっておしまいなさい!」
「おお!」
万引き犯の歩兵5対が妹の歩兵さんに襲い掛かってくる。
「歩兵さん! がんばって!」
「俺に任せろ。」
歩兵さんの目が光る。剣を抜き万引き犯の歩兵に備え構える。
「でやあ!」
万引き犯の攻撃を剣で受け止める。
「回り込め! 後ろがガラ空きだ!」
「おお!」
「こいつら!? ただの歩兵じゃない!?」
歩兵も5体も集まれば、指示、命令を出す歩兵隊長みたいなクラスアップした者がいるものだ。集中攻撃も一斉攻撃も連続攻撃も撤退も思いのままである。
「もらった!」
俺の妹の歩兵さんの背後から万引き犯の歩兵が襲い掛かる。
「危ない!?」
絶体絶命の歩兵さん。
「大丈夫だ。あれくらいで歩兵さんは負けたりしない。」
そこに可愛いペットが現れる。
「あなたは?」
「私の名前はカゲカゲ。おまえの歩兵さんのペットとしておこう。」
現れたのは歩兵さんのペットのカゲカゲ。カワイイ容姿で性格はハードボイルド路線である。
「あれぐらいの人数なら歩兵さんの相手ではない。」
「え?」
自信満々のカゲカゲ。
「悪意チャージ!」
歩兵さんは剣を天に掲げ敵の悪意を吸い取り始める。
「なに!? いったい何が起こっているというんだ!?」
次々と悪意から解き放された万引き犯の歩兵たちが剣を捨て、その場に立ち尽くす。
「歩兵さんは相手の悪意を吸い取り、戦意を奪い取るんだ。」
「スゴイ! 私の歩兵さん!」
正しくは俺の歩兵さんである。
「勝者! ポーちゃん!」
敵は戦意を失くしたので俺のカワイイ妹の勝ちある。
「良い子は勝つのよ! オッホッホー!」
笑って勝利を喜ぶ俺のカワイイ妹。
「どうして万引きなんてしたの?」
ポーちゃんは万引き犯のお姉さんに尋ねてみた。
「実はお金が無くて、生活保護の申請に行ったら窓口で門前払いされて、ストレスがたまってむしゃくしゃしたら、まるで自分の意識が何かに覆われるように無くなって、気がついたら万引きをしていたんです。」
普通の人間には万引きをした時の犯人の言い訳にしか聞こえない。
「悪意の仕業だ。」
カゲカゲがワイルドに口を開く。
「悪意?」
「そうだ。悪意だ。悪意は人間の弱い心に忍び寄る。悪意の秘密結社のことをマリシャスという。」
ここに悪意の秘密結社が登場した。
「俺たちに感謝してもらいたいものだな。」
何者かたちがいる。
「正義のヒーローがいるってことは、悪役の俺たちがいるからだぜ!」
「その通りだ! ワッハッハー!」
そこにいる者たちはどれもエグイ存在だった。
「ようこそ! 悪意の秘密結社マリシャスへ!」
秘密結社なので会社になっていた。
「はい。株式会社マリシャスです。」
事務員のガイコツが電話のやり取りをしている。
「ああ!? 忙しい!? 忙しい!?」
お化けが書類を運んでいる。
「魔王部長! 会長が呼んでますよ! 緊急会議を開くそうですよ。」
魔法使いが電話を取り次ぐ。
「なに!? 緊急会議だと!?」
魔王クラスで部長なのである。他に鬼神、魔神、妖怪、ウイルス、AIロボットなどの悪意が部長職を担っている。これが世にいう悪意の部長たち。マリシャス部長である。なんかデリシャスみたいで美味しそう。
「おい、鬼神。おまえ何かやったんじゃないだろうな?」
「バカ言うな!? うちの悪意は前年比200パーセント達成で全体のトップだ。」
「会長は怖いからな。」
ぞろぞろと格部署のラスボスクラスの部長が集まってくる。
「おい!? 静かにしろ!? 会長が来られたぞ。」
「何!?」
会議室に会長と社長が一緒にやって来る。
「お疲れ様です。会長。」
魔王などのモンスターなどの各派閥をまとめる悪い王や神クラスが立ち上がり礼儀正しくお辞儀をして会長を迎える。
「お疲れ様。皆さん。楽にして下さい。」
悪意の秘密結社マリシャスの会長は人間だった。
(クソッ!? 邪神の娘と結婚さえしていなければ!? たかが人間に会長の座を奪われることはなかったのに!?)
(亡くなった邪神さんにお世話になっていなかったら、あんな憎たらしい人間なんか直ぐに殺すのに!?)
(どうして邪神さんの娘は人間なんかと結婚したんだ!?)
魔王たちは歯がゆい思いをしていた。簡単にマリシャスの人間関係を説明する。亡くなった邪神にお世話になっていた魔王たち。その娘が人間なんかと結婚したから、さあ大変。という感じである。
「今日、皆さんに集まってもらったのは他でもありません。我々の悪意を倒すゴットカードというものが人間界で人気になっています。」
(俺もゴットカード持ってるもんね。)
(実は俺も。)
悪意の秘密結社の中でもゴットカードは人気だった。
「困ります。それでは邪神様が願われた悪意で覆われた世界の実現に支障が生じます。」
(クソッ! 偉そうに喋りやがって!)
魔王たちは会長の人間が嫌いだった。しかし恩人の邪神の娘婿。難しい立場だった。
(皆さん、私なんかのために耐えさせて、ごめんなさい!)
社長の邪神の娘は心の中で魔王たちに謝っていた。
あれは独身の頃の邪神の娘だった。
「お父様の目を盗んで人間界に遊びに行くんだ!」
邪神の娘は親の目を盗み人間界へ行った。分かりやすく例えると、田舎娘、東京に行く。である。
「わ~い! 人間界スゴイ! キャッハ!」
大喜びの邪神の娘は一目で田舎者だと丸わかり。
「お嬢さん、良かったら東京案内してあげましょうか?」
それが現在の旦那の人間との出会いの馴れ初めだった。
「はい。宜しくお願い致します。」
(まあ、人間って、なんていい人なのかしら。)
田舎者の邪神の娘は人間を信じてしまった。
(鴨が葱を背負ってやって来た。今日は鴨葱パーティーだ! ヒーハー!)
しかし人間は悪い人間でした。
「面白い所に案内してあげよう。」
「はい。楽しいの大好き。」
こうして何も知らないままにラブホテルに連れ込まれる邪神の娘。気がつけば人間の強制わいせつ罪が成立。裸の写真に動画も撮られてしまい、脅され、抵抗もできない状態。この時点で金も体も人間の思いのまま。後は風俗に売られるだけでした。
「邪神の娘!?」
しかし身分証明書も見た人間の態度が変わります。
「おまえ邪神の娘なのか?」
「はい。そうです。父は怖い人ですよ。大人しく私を解放してください。」
「そうか。ならおまえと結婚すれば邪神の財産は俺の物だ! ヒーハー!」
「え?」
邪神の娘は目を疑いました。目の前の人間は邪神を恐れない、とても悪い人間だったのです。良い子は銀座、六本木、新宿、渋谷、池袋、上野にはいかない方がいいだろう。
そして父親の邪神と面会する人間。
「おまえなんかに娘はやらんぞ!」
激怒する邪神。
「じゃあ、娘はどうなってもいいんだな?」
「卑怯な!? それが人間のやることか!?」
意外にも邪神は面倒見の良い良い人だった。良い人だったので悪い人間如きを裁くことができなかったのです。
「死ね!」
「ゲホッ!? やられた!? バタ・・・・・・。」
「お父様!? お父様!? ウエーン!」
グサッとナイフで刺された邪神は亡くなりました。
「これから魔界は俺様のものだ! ヒーハー!」
こうして人間は殺人犯にもなりました。見事に邪神から悪意の秘密結社マリシャスの会長の座を奪い取ったのでした。こうして邪神の財産と娘は全て悪い人間のものになりました。田舎の御両親の皆さん。都会に娘を送り出すのはやめましょう。悪い人間がたくさん待ち構えていますよ。それでは真実は全て藪の中。
再び会議に戻る。
「ということで、みなさん全力で人間を滅ぼしてください。私たちが全世界を支配するためにね。私たちが人間界を支配すれば陽の当たる世界で生きることができるのです!」
「おお!」
きれいごとを並べて魔王たちを騙している人間には詐欺罪も成立する。
(俺様のために働け魔王ども! ヒーハー!)
これが人間の本心である。
再びポーちゃん。
「悪意の秘密結社マリシャス!? なんて恐ろしい組織なの!?」
ポーちゃんは小学一年生にして、世の中には悪者がいることを知る。
「だから、この万引きしたお姉さんが悪い訳じゃない。悪いの悪意だ。」
歩兵さんのペットのカゲカゲは罪を憎んで人を憎まない。
「店員さん。このお姉さんが万引きした分は私が払いますから許してください。いくらですか?」
「チョコレート1個で110円です。」
「はい。」
ポーちゃんはコンビニ店員さんにお金を渡し事件を解決する。
「ありがとう。お嬢ちゃん。」
「違う。私はポーちゃん。」
「ありがとう。ポーちゃん。これからは心を入れ替えて生きていきます。」
こうして俺の妹に感謝した万引き犯のお姉さんは去って行った。
「それにしても弱い人間の心を悪い方向に向かわす悪意の秘密結社マリシャス! 私は絶対に許さないんだから!」
戦え! ポーちゃん! 負けるな! ポーちゃん!
「おかしいな?」
「どうしたの? お兄ちゃん。」
俺は探し物をしていた。
「いまだに俺の歩兵のゴットカードが見つからないんだ。ポー、知らないか?」
「知らない。ポー、ポー、ポー、鳩ポッポー!」
ポーちゃんは嘘を吐く時に鳩の歌を歌って誤魔化す。
「困ったな。もうすぐゴットカード・オリンピックがあるのに。」
「なにそれ?」
「ゴットカード・オリンピックは4年に1度行われる最高峰の大会だ。老若男女、誰でもゴットカードを持っていれば参加できる。」
「モリモリが女性軽視発言しちゃって、東京オリンピックはなくなったかもしれないもんね。」
臭い所は触れてしまったが濁す。
「どうしよう。俺、あの歩兵以外はろくなカードを持っていないのに。」
「私、知らない。」
何事も無かったようにポーちゃんは去って行った。
「早速、エントリーだ!」
歩兵さんのペットのカゲカゲはポーちゃんにゴットカード・オリンピックに出場するように言ってくる。
「ポチットな。」
ポーちゃんはスマホからエントリーを済ませた。
「さあ、時間がないぞ。きっとゴッドカード・オリンピックには悪意に操られた人間がたくさん出場するはずだ。そこで一気に悪意を叩けば、この世界を平和にできるはずだ。ポーちゃん、君ならできる!」
「私、英雄になる!」
純粋なポーちゃんは得体の知れない歩兵さんのペットのカゲカゲに上手に誘導される。人間は周りにどんな人がいるかで人生が変わってくる者だ。良い人がいれば良い人生。悪い人がいれば悪い人生になるのはお約束。
「銀行強盗だ! 誰か捕まえてくれ!」
ポーちゃんは銀行強盗の現場に居合わせた。
「待ちなさい!」
勇敢に道を遮る小学一年生。
「どけ! チビ助!」
「チビじゃないやい! ポーちゃんだぞ!」
「ならポーちゃん! 俺とゴッドカードで勝負だ! 俺が勝ったらどいてもらおうか!」
「望むところよ! ゴットカード・ファイト!」
こうして、なぜ? 強引? いきなりゴットカードバトルが自然に始まる。
銀行強盗のゴットカード。騎士、僧侶、魔法使い、弓兵、重装兵が各1枚づつ。
ポーちゃんのゴットカード。歩兵さん1枚。
「俺のコンビネーション攻撃に耐えられるかな!」
銀行強盗の激しい攻撃が始まる。
「でやあ!」
後衛から遠距離攻撃の弓兵が弓を放ち、魔法使いが魔法で攻撃してくる。
「歩兵さん! かわして攻撃だ!」
「おお!」
歩兵さんは弓矢や魔法を避けて攻撃に転じる。
「そうわさせるか!」
重装兵と騎士が歩兵さんの行く手を遮る。
「負けるな! 歩兵さん!」
「おお!」
ポーちゃんの歩兵さんは強いので騎士や重装兵にダメージを与えていく。
「クソッ!? なんでこいつらは倒れないんだ!?」
しかし銀行強盗の騎士と重装兵は倒されなかった。
「ポーちゃん! 僧侶だ! アイツが回復魔法を唱えて騎士と重装兵のダメージを回復しているんだ!」
「なんですって!?」
後衛で僧侶が回復魔法を唱えている。
「後衛から魔法攻撃や回復魔法だなんて!? なんて小賢しい奴なの!?」
ポーちゃん絶体絶命の危機。
「諦めなさい! あなたの負けよ! 子供のくせにあなたはよく頑張ったわ。」
銀行強盗に情けをかけられるポーちゃん。
(ダメなの!? 私はここまでなの!?)
弱気になるポーちゃん。
ポーちゃんの心の葛藤。
(諦めるな。ポーちゃん。)
(歩兵さん!?)
ポーちゃんの弱気な心に歩兵さんが声をかけてくる。
(歩兵さん、もう私はダメ。多勢に無勢。相手の方が強いから勝てないよ。)
(諦めるな。ポーちゃん。ここで諦めてしまったら悪意に負けることになるぞ。)
(悪意に負ける?)
(そうだ。悪意に呑み込まれた人間は悪口、暴力、いじめを行うみすぼらしい悪い人間になってしまうぞ。姿は人間でも、中身は悪魔だ! それでもいいのか?)
(嫌だ!? そんな気持ち悪い人間になりたくない! 私は命尽きるまで! 最後の時まで、人間として生きていたい!)
純粋な子供の想いはポーちゃんに力を与えてくれる。
「・・・・・・負けるもんか。負けるもんか!私は悪意なんかには負けない!」
ポーちゃんが覚醒する。
「こんな奴らに負けるもんか! いくよ! 歩兵さん!」
「おお!」
ポーちゃんの心の強さが歩兵さんに強さを与えてくれる。
「復活した!? ええ~い!? みんな! やっておしまいなさい!」
「おお!」
再び銀行強盗の兵士たちが歩兵さんに攻撃を仕掛ける。
「私は絶対に負けない!」
「悪意! チャージ!」
歩兵さんは剣を天にかざし敵の悪意を吸い取っていく。
「なんだ!? 何が起こっているんだ!?」
銀行強盗は何が起こっているのか分からない。
「悪意なんか! この世から消え去ってしまえ!」
歩兵さんの剣が敵の悪意を完全に吸い取った。
「動け!? 動けよ!?」
しかし銀行強盗の兵士たちは戦意を失くして動かなくなってしまった。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんはゴットカード。バトルで勝利した。これで3連勝。
「どうして銀行強盗なんかしたんですか?」
「娘が病気で手術を受けないといけないんですが、手術台が払えないんです。もしもお金があったら娘の命は救えるんです! そうこう考えている間に心に黒いモヤモヤがかかってきて、気がついたら銀行強盗をしていたんです。」
銀行強盗さんは娘の命を助けたいだけだった。
「悪意の仕業だわ!?」
「人の心の隙間に入り込む! なんて恐ろしい奴なんだ!」
ポーちゃんとカゲカゲは改めてマリシャスに強い怒りを感じる。
「ごめんなさい。」
「娘さんの手術台はいくらなんですか?」
「100万円です。」
「分かりました。私がゴットカード・オリンピックで優勝して、100万円を稼いであなたの娘さんの手術台を差し上げます。」
「ええー!? いいんですか!?」
「はい。ですから罪を償ってください。」
「分かりました。ありがとう。小さな勇気ある者よ。」
「違う! 私はポーちゃん!」
「ありがとう。ポーちゃん。」
ポーちゃんと銀行強盗はお互いに笑いあって分かりあえた気がした。
「刑務所に行って罪を償います。」
悪意を抜かれた銀行強盗さんは素直な良い人になって警察に警察に自首した。
「それにしても悪意の秘密結社マリシャス! 絶対に許せない! ポーちゃんがぶっ潰してやる!」
「そうだ! その意気だ! 何が何でもゴットカード・オリンピックで子供さんの手術台を稼ぐんだ!」
「おお!」
ポーちゃんの目標はゴットカード・オリンピックで病気の子供の手術台を稼ぐことになった。
「ない!? ありったけのお小遣いで買った、俺のゴットカードがない!?」
俺の買い足したゴットカードが消えてしまった。
「ポーちゃん、知らないよ。ポー、ポー、ポー鳩ポッポー。」
ポーちゃんは誤魔化す時は歌を歌って顔を歪める。
「これじゃあ、ゴットカード・オリンピックに出れないよ!?」
俺はゴットカードを無くしてしまった。
「さあ、ポーちゃんは散歩でもしてこようかな。」
何食わぬ顔で家から逃げ出すポーちゃん。
「これから悪意の秘密結社マリシャスとの戦いは熾烈を極めると思うの。きっとゴットカード・オリンピックにも出場してくると思うの。だから勝つために私も戦力を増強しないといけないと思ったの。」
そしてポーちゃんは再びお兄ちゃんのゴットカードを盗んだのである。
「その通りだ。いかに歩兵さんが強くても、一人では限界がある。たくさんお友達を作って、みんなで強くなっていくんだ!」
歩兵さんのペットのカゲカゲは強い口調で渋くきめる。
「さあ、お兄ちゃんのゴットカードは何かしら?」
ここで初めて兄のゴットカードを見るポーちゃん。
兄から盗んだカード。
歩兵、歩兵、歩兵、薬草、毒消し草、また歩兵。
「歩兵ばっかり・・・・・・。」
ポーちゃんのお兄ちゃんは運が無かった。
「面白いじゃないか。ポーちゃん。今から最強の歩兵部隊を作ろう。」
「最強の歩兵部隊か。がんばるポー!」
がんばるポー。頑張りたい時に使うポーちゃんの新語である。
「やっぱり歩兵さんばっかりだ・・・・・。」
ポーちゃんの歩兵さんが5体並んでいる。
「まずは今まで一緒に戦ってくれた歩兵さんを隊長に任命します。」
「おお!」
歩兵さんは歩兵隊長に出世した。頭に隊長の印の角が生える。
「呼びにくいから名前でも付けよう。分かりやすく01、02、03、04でいいや。」
他の候補としては、一郎、二郎、三郎、四郎である。
「じゃあ、まずは仲間同士で殺し合うトレーニングを始めましょう。」
トレーニングとは、味方通しで戦い経験値を得るものである。
「トレーニング開始!」
「おお!」
早速、トレーニングを始める。チーム分けは歩兵隊長さん対新入歩兵さん4体である。
「動かないで! 歩兵隊長さん!」
「え?」
いきなりの行動禁止をくらった歩兵隊長さん。
「さあ! みんなで歩兵隊長さんをボコボコにするのよ!」
「おお!」
「ええー!? なんで!?」
「ゴットカード・オリンピックまで時間がないの。それまでに皆をレベルアップさせようと思うと一番レベルが高い歩兵さんをフルボッコするのが一番早いのよ!」
「ギャアアアアアアー!」
歩兵隊長さんは歩兵01、02、03、04の4人がかりでぼっこぼこに攻撃をされる。
「全員レベルが4に上がったわ。」
「やったー!」
歩兵01たちはレベル4になった。
「もう許してください!」
歩兵隊長さんは泣きそうだった。
「まだまだよ! 2戦目開始!」
「おお!」
「ギャアアアアアアー!」
こうしてポーちゃん命令で動くことを禁止された歩兵隊長さんは4体の歩兵にフルボッコされた。
「3回戦!」
「ギャアアアアアアー!」
「4回戦!」
「ギャアアアアアアー!」
悲劇は繰り返される。
「・・・・・・。」
「10回戦!」
「20回戦!」
気がつけば4体の歩兵さんのレベルは20まで上がっていた。立派な戦士の歩兵に成長していた。
「これでゴットカード・オリンピックでも活躍できるわ!」
これは僅か3戦しただけの小学生がたどり着けるレベルではなかった。自信を強めるポーちゃん。
「あわわわわ・・・・・・。」
歩兵隊長さんだけは泡を吹いて悶絶していた。恐るべしトレーニング・モードであった。
「ウワアアアアアー!? カードが無ければ参加もできない!?」
やって来ました! ゴットカード・オリンピック! ポーちゃんの兄は妹にカードを奪われたとも知らないで誰でも参加できる4年に1度の大会の予選にも出ることができなかった。
「お友達の所に遊びに行ってきます。ポー、ポー、ポー、鳩ポッポー! 」
ポーちゃんはゴットカード・オリンピックに出場するために近くのコーヒーショップに出かけた。
「それではゴットカード・オリンピックの日本予選を行います。これからランダム戦闘が常時行われますので、勝利数の多い上位100名の人が最終予選に出場できます。負けてもペナルティーはありませんので、ドンドン戦ってくださいね!」
ゴットカード・オリンピック予選は簡単なルールだった。
「病気の娘さんの手術代を稼ぐまでは私は絶対に負けない!」
「よし! その意気だ!」
ポーちゃんのセコンドは歩兵隊長さんのペットのカゲカゲである。
「ゴットカード・ファイト!」
こうしてゴットカード・オリンピックの予選の第一試合に望むポーちゃん。
相手のカード。歩兵。僧侶。魔法使い。
ポーちゃんのカード。歩兵隊長さん。歩兵4体。
「いけ! 歩兵さんたち!」
「おお!」
ポーちゃんの鍛えた歩兵たちが敵陣に突入する。
「あれ?」
歩兵隊長は敵歩兵の横をすり抜けていく。
「でやあ!」
そして敵の僧侶と魔法使いを攻撃していく。
「おまえの相手は俺たちだ!」
「え? ギャアアアアアアー!」
ポーちゃんの4体の歩兵が敵の1体の歩兵に襲い掛かる。
「勝者! ポーちゃん!」
あっさりと初戦をものにしたポーちゃん。
「やったー! 勝った! わ~い!」
喜び方はまだまだあどけない普通の小学一年生である。
「その調子だ!」
カゲカゲはハードボイルド路線。
「次、いってみよう!」
ポーちゃんは最終予選に残るまで戦い続けるのだった。
「がんばるポー!」
ポーちゃんは歩兵隊長さんと愉快な仲間たちとゴットカードで戦いを繰り広げていく。
「ポーちゃん小学生で良かった。だって絶対に仕事や勉強で忙しい人は予選を突破できないもの。」
暇なポーちゃんは10連勝、20連勝と勝ち星を重ねていく。
「もしかしたら予選を突破できるかも。オリンピックに出場して病気の娘さんの手術代を稼ぐんだ!」
順調に勝ち星を重ねていくポーちゃんは自分は予選を突破できると思い込んでいた。
「次の相手は鬼神さんか? 変わった名字ね?」
ポーちゃんは知らなかった。次の相手が何者なのか。
「ゴットカード・ファイト!」
新たな戦いが始まる。
「鬼神? 嫌な予感がするな。」
カゲカゲは鬼神に悪寒を感じていた。
鬼神さんのゴットカード。鬼神1枚。たまねぎ鬼1枚。じゃがいも鬼1枚。ニンジン鬼1枚。
ポーちゃんのゴットカード。歩兵隊長さん1枚。歩兵さん4枚。
「俺は鬼神だ! 速やかに降伏すれば痛い思いをしなくていいぞ!」
鬼神は対戦相手を初っ端に脅してくる。
「ポーちゃん負けないもん!」
しかし無垢な小学生に脅しは効かない。ポーちゃんは夢と希望が溢れているのだ。
「なんだ? 子供か。お嬢ちゃん、キャンディーをあげるから負けてくれないか?」
「わ~い! アメちゃんだ! ・・・・・・なんでやねん!」
「チッ。惜しかった。」
鬼神は飴玉で勝ちを釣り逃した。
「危ない!? もう少しでおやつに釣られるところだった!? はあ・・・・・・はあ・・・・・・。」
危機を脱したポーちゃん。鬼神は子供の弱点を巧みについてくる。
「間違いない! アイツは鬼神だ!」
その時、カゲカゲが大声をあげる。
「鬼神?」
「そうだ! 鬼神は悪意の秘密結社マリシャスの部長の一人だ!」
「なんですって!?」
鬼神の正体は、悪意の秘密結社マリシャスの部長だった。
「その通り。俺はマリシャスの鬼部長の鬼神だ。なぜ俺のことを知っている? おまえ、ただの小学生じゃないな?」
「ポーちゃんはカワイイ小学生です。アハッ!」
困った時は小学生に戻るポーちゃん。
「ふざけるな! まあ、いい。ゴットカード・バトルで勝負を着けてやる! いけ! 鬼たちよ!」
「ははあ!」
鬼神の配下の玉ねぎ鬼たちがポーちゃんに襲い掛かる。
「いけ! 歩兵さんたち!」
「おお! ポーちゃんは私たちが命に変えても守ってみせる!」
歩兵さんたちは攻めてくる鬼を迎え撃つ。
「やるな。ポーちゃん。数で負けているとはいえ、俺の鬼と互角に戦っているとは。」
これまでの連戦でポーちゃんの歩兵さんのレベルが30まで上がっていたので、鬼神の3体の鬼たちと互角の戦いを繰り広げていた。
「えい!」
「でやあ!」
ポーちゃんの歩兵さん4体で鬼3体と戦えている。
「ん? どうした。」
そこに玉ねぎ鬼が鬼神の元にやって来る。
「変です。敵は5体のはずなのに自分たちは4体しか見ていません。」
「なに?」
確かに鬼神の相手のポーちゃんの歩兵さんは4体しか見当たらない。
「俺はここだ!」
空から現れた歩兵隊長さんが玉ねぎ鬼神を一刀両断する。
「ギャアアアアアアー! やられた!?」
奇襲に成功した歩兵隊長さんが玉ねぎ鬼神を倒す。
「やったー! 歩兵隊長さん!」
作戦が成功して大喜びのポーちゃん。
「次はおまえの番だ! 鬼神!」
歩兵隊長さんはターゲットを鬼神に絞る。
「ゆるさんぞ。絶対に許さんぞ! この俺に歯向かったことを後悔するがいい!」
部下を倒されて鬼神の怒りが爆発する。
「こい! この世に悪意が蔓延ることはない! 善意は勝つのだ!」
善意。重たい荷物を持っているおばあさんが横断歩道を渡るのを荷物を持ってあげるのも善意。道で1円玉を拾って交番に届けるのも善意。
「そうよ! この世は人間の善意でできているのだから!」
私はフランスの女王なのだから! 的に力強く言い放つポーちゃん。
「フン! 善意なんてきれいごとだ! きれい事では世界を救うどころか、今日のご飯も食べられないことを思い知らせてやる!」
悪意の鬼神が言うことにも一理あった。
「死ね! 小学生!」
鬼神が襲い掛かってくる。
「負けるな! 歩兵隊長さん!」
「おお!」
ポーちゃんも必死に鬼神と戦う。
「ぬぬぬぬぬ!」
「クオーッ!」
鬼神のパワフルな攻撃を受け止めるか弱い歩兵隊長さん。
「やるな! だがお遊びはここまでだ! フガ―ッ!」
「ウワアアアアアー!?」
鬼神の気合は歩兵隊長を吹き飛ばす。
「大丈夫!? 隊長さん!?」
「大丈夫だ!? それにしても何というパワーだ!? 今まで戦ったどのゴットカードよりも強い!? 段違い・・・・・・段チだ!?」
隊長も鬼神の底知れない強さに驚いていた。
「悪いが俺は日本代表としてゴットカード・オリンピックに出場しないといけないんだ。こんな所で長期戦をして時間を使ってしまい最終予選に進めなかったら会長に怒られてしまうんでね。ここいらで終わらせてもらうぞ!」
鬼神が本気を出す。
「これで終わりだー! ポーちゃん! 鬼神斬り!」
鬼神の必殺の一撃が隊長を切り倒す。
「隊長さん!?」
幼いポーちゃんは泣き叫ぶしかできなかった。
「この勝負は私の負けでいい。よく戦った子供へのご褒美だ。精々頑張るんだな。小学生のお嬢ちゃん。」
戦いはポーちゃんの勝ちだった。鬼神は次の戦いへと急いで消えていった。
「隊長さんー!? 死なないで!」
残ったのは小さな女の子の涙だけだった。
「わ、私なら大丈夫だ。」
「隊長さん!?」
不思議と歩兵隊長は無事だった。正体を隠すためにポーちゃんの兄の築がダミーで歩兵アーマーを二重にしていたのが幸いした。
「良かった! 隊長さんが生きていて!」
笑顔で喜び泣きじゃくるポーちゃん。
「大丈夫だ。私は負けない。約束しよう。いつでもポーちゃんを守り続ける。」
「約束。アハッ!」
歩兵隊長とポーちゃんは指きりげんまんをする。
「隊長さん、その姿は?」
歩兵アーマーが破壊されて本来の姿が現れた歩兵隊長。
「影の剣士だ。」
そこに戦闘が終わって安全になってから現れる影の剣士のペットのカゲカゲ。
「影の剣士?」
「そうだ。歩兵隊長は元々はポーちゃんの兄貴の築のカードだ。しかし影の剣士が超超超レアなので悪意のある人間に奪われないように歩兵アーマーでカスタムして正体を隠していたのだ。」
もちろん影の剣士のゴットカードを略奪したのは妹のポーちゃんである。アハッ!
「そうだったんだ。」
「鬼神のおかげで本来の性能を取り戻すことが出来たけどね。まさかゴットカードの1枚でしかない私が人間の言葉が話せるようになるなんて。これもポーちゃんの優しい心のおかげだね。」
ゴットカードの技術の進歩なのか、それともカードの限界を超えているのか。
「ポーちゃん。こんなところで遊んではいられないぞ。鬼神を倒さないと世界が大変なことになる。鬼神の野望を打ち砕くことができるのは、ポーちゃんだけだ!」
「がんばるポー! 鬼神を絶対にぶっ潰す!」
とても小学一年生が使う言葉ではない。
「歩兵の諸君。これからは私が活路を開くからフォロを頼む。」
「任せて下さい。」
「これでも鬼神の子分には負けなかったんですから。」
「勝ちもしなかったけどね。」
「ワッハッハー!」
チームワークが良くなったポーちゃん歩兵隊。
「いいか! 私たちの目標はポーちゃんを優勝させることだ!」
「おお!」
現在、ポーちゃんは21連勝中。しかし順位は10万位。1位は既に40勝。この場から早期離脱した鬼神が30勝で1万位。
「全力でいくぞ!」
「おお!」
「がんばるポー!」
「がんばるポー!」
円陣を組んで気合を入れるポーちゃんたち。
「必ず予選を突破してみせる!」
ポーちゃんの猛追が始まる。
「なんだ!? この強さは!?」
「こいつ本当に小学生かよ!?」
「影職!? そんなのありかよ!?」
影の剣士を初めて見る対戦相手は度肝を抜かれた。
「影の剣舞!」
影の剣士は次々と相手を切り倒していく。
「くらえ!」
敵の攻撃も影なのでダメージを与えられない。
「そんなバカな!?」
影の剣士の性能は何でもありなのである。
「必殺! 影の100連撃!」
鬼神のような猛者に出会うこともないので。次々と勝利していく。
「逃げた敵は俺たちにお任せを。」
「えい!」
「やあ!」
「たあ!」
歩兵さんたちも大活躍であった。
「がんばるポー!」
ポーちゃんの快進撃は続く。
「俺のことも忘れるなよな!」
影のペットのカゲカゲも大活躍。
「それではゴットカード・オリンピックの最終予選に進む100人を発表したいと思います。」
いよいよ予選が締め切られ最終予選の進出者が発表される。
「それでは1位通過者から発表です! 第1位は・・・・・・。」
太鼓の音が鳴り響く。
「鬼神さんです!」
「おお!」
もちろん悪意の秘密結社マリシャスの部長の鬼神が1番に予選通過を決めた。
(お願い神様! どうか私をお助け下さい!)
次々と発表されていくがポーちゃんの名前はなかった。ポーちゃんは手を合わせて神に祈るしかできなかった。
「それでは最後の一人! 100人目の予選通過者を発表します!」
「ゴクン!」
唾を飲むポーちゃんは手に汗を握る。
「最終予選に進むのは・・・・・・ポーちゃんです!」
ポーちゃんは最終予選にコマを進めた。
「やったー! 私、残ったのね! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「おまえはやる時はやる女だ。」
カゲカゲはポーちゃんを女呼ばわり。
(あの小学生のお嬢ちゃんも残ったのか。面白い。何て言ったって予選で俺に負けをつけたのは、あのお嬢ちゃんだけだからな。)
鬼神もポーちゃんとの再戦を楽しみにしていた。
「それでは来週の最終予選で会いましょう。さよなら。さよなら。」
こうして予選は幕を閉じた。
「がんばるポー!」
最終予選に向けて決意を新たにするポーちゃん。
「最終予選までレベルアップあるのみよ。」
「おお!」
ポーちゃんと歩兵さんたちは盛り上がる。
「レベルアップ!? まさか!? まさか!? またですか!?」
「その通り。イヒッ!」
ポーちゃんの悪魔の笑いを怖がる。
「ギャアアアアアアー! やめろ!? やめてくれ!?」
4体の歩兵さんの攻撃を抵抗できずにひたすらフルボッコされる影の剣士。
「レベルアップは強い者と戦わせるのが1番早いのよね。味方ならおかしなリスクもないしね。アハッ!」
影の剣士はポーちゃんの命令で動くことはできない。
「やったー! レベル50だ!」
「俺たち強いぜ!」
歩兵さんたちはレベルが上がって大喜びだった。
「た、助けてください・・・・・・もう許してください・・・・・・ああ・・・・・・星が見える。」
フルボッコされ続けた影の剣士は精神病寸前までに追い込まれる。
「これで最終予選も大丈夫ね! 待ってなさい! 鬼神!」
ポーちゃんは最終予選に向けて気合十分だった。
「少ないですけどどうぞ。」
「ありがとうございます。」
ポーちゃんは銀行強盗さんの娘さんが入院している病院にやって来ていた。そしてゴットカードで手に入れたお金を渡している。
「本当にいいんですか? なんだか申し訳なくて。」
「いいんですよ。あなたのお父さんと約束しましたから。それにお金が無いから死なないといけないっておかしいと思うんですよね。国が支援金を出してくれたら普通に手術できるんですけどね。アハッ!」
小学一年生だけどポーちゃんはしっかり自分の意見を持っている。
「必ず病気を治してくださいね。」
「ありがとう。ポーちゃん。」
銀行強盗の娘さんはポーちゃんに感謝するのであった。
「やって来ました! ゴットカード・オリンピック最終予選! ルールは100人を10ブロックに分けて10人の総当たりの予選リーグ戦です。そのリーグの1位の10人で総当たりの決勝リーグ戦を行い上位3名が日本代表としてゴットカード・オリンピックに出場できます!」
実に簡潔なルールで分かりやすい。
「リーグ戦か。あいつと戦うのは決勝リーグね。」
ポーちゃんは鬼神を見つめる。
(こい! 小学生のお嬢ちゃん! 決勝リーグで待ってるぜ!)
鬼神もポーちゃんを意識していた。
「へっへっへ。鬼神。おまえの思い通りにはさせないぞ。」
他の予選通過者も実力者が揃っていて予選リーグを突破するのも大変だろうと思われた。
「がんばるポー!」
「その調子だ! ポーちゃん!」
ポーちゃんの最終予選が始まる。
「それではAリーグの予選を行います。参加者の方は集まってください。」
「はい。」
ポーちゃんはAリーグ。
「あいつはBリーグか。良かった。予選リーグで戦わなくてすんで。もし同じリーグだと負けてしまったら、そこで終わっちゃうもんね。」
鬼神はBリーグ。
「絶対に予選リーグを突破してみせる! がんばるポー!」
ポーちゃんは決意を新たにする。
「それでは予選Aリーグの試合を始めます。各自9試合して一番勝ち星の多かった人が決勝リーグに進出です。それでは試合を始めていきます。」
予選リーグ戦が始まった。
「がんばるポー!」
いよいよポーちゃんの試合が始まる。
「安心しろ。俺が見守っているぜ。」
影のペットのカゲカゲもいる。
「ゴッドカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
相手のゴットカード。騎士1枚。歩兵16枚。
ポーちゃんのゴットカード。影の剣士1枚。歩兵4枚。
「見たか! この圧倒的な戦力の差を!」
予選リーグの対戦相手Aさん。数の力で敵を倒すタイプだった。
「どう? 隊長さん。」
「問題はない。」
ポーちゃんと影の剣士は堂々としている。
「どうした? ガキがビビってんじゃねえぞ! ガキの分際でゴットカード・オリンピックに出場しようなんて10年早いんだよ!」
Aさんは子供をバカにする性格だった。
「我が主ポーちゃんを侮辱したことを後悔するがいい。」
影の剣士が敵の群れの中に突撃する。
「やれ! 多勢に無勢なんだよ! 一人で突進して勝てる分けねえだろうがよ! やっちまえ!」
Aさんの指示で17体の敵が一斉に襲い掛かってくる。
「影の剣舞!」
影の剣士は敵の攻撃を華麗にかわしながら攻撃をいれていく。
「なに!? いったい何が起こったんだ!?」
Aさんが気づいた頃には自軍には騎士1枚しか残っていなかった。
「どう? うちの隊長さんの実力は?」
勝ち誇るポーちゃん。
「ふん! 俺は1対1で正々堂々と戦う派なんだよ!」
「嘘つけ!」
思わずツッコミを入れるポーちゃん。
「やれ! 俺の騎士!」
Aさんの騎士が襲い掛かってくる。
「影の100連撃!」
影の騎士が恐ろしいスピードで相手に100回攻撃を与える。
「勝者! ポーちゃん。」
ポーちゃんは予選リーグの初戦を勝った。
「やったー! 勝った! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
(ゴットカードにあんなカードがあったかな? まあ、いい。それでも俺の敵ではない!)
ポーちゃんの戦いをライバルの鬼神も見ていたのだった。
「それでは2回目の戦いを始めます。」
予選リーグの2試合目が始まる。
「がんばるポー!」
「いけ! ポーちゃん!」
ポーちゃんとカゲカゲも気合十分。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
相手のゴットカードはゴブリン10体、スライム10体、ウルフ10体。
ポーちゃんのゴットカードは影の剣士1枚。歩兵4体。
「どうだ? 俺のモンスター軍団は! これだけの数はなかなか集められないぜ!」
予選リーグのBさん。趣味はモンスターのゴットカードを集めることだった。
「ポーちゃん。悪意のチャージだ。」
「分かったわ! 隊長さん! いくわよ!」
「おお!」
陰の剣士は影の剣を天に掲げ敵の悪意を吸い取っていく。
「なんだ!? 俺の知らない新兵器か!?」
次々と敵の悪意を吸い取っていく影の剣士。
「勝者! ポーちゃん!」
敵のモンスターは戦意を失くし動かなくなってしまった。
「んんな!? アホな!?」
Bさんは呆然とするしかなかった。
「やったー! 勝った! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「これで2勝ね! アハッ!」
予選リーグは後7試合。
第3試合のCさんのゴットカードは、騎士1枚。
ポーちゃんのゴットカードは影の剣士1枚。歩兵4体。
「1体1で勝負だ! 私は騎士1枚しか使わない!」
Cさんは正々堂々とした精神の持ち主だった。
「あの人、騎士1枚を鍛えに鍛えぬいて戦いに勝ち抜いてきたのね。」
「只者じゃないな。ポーちゃん。気を引き締めろ。」
ポーちゃんとカゲカゲは今までの敵とタイプが違うので戸惑う。
「こっちも影の剣士1枚で勝負よ!」
ポーちゃんは子供なので卑怯な手は使わない。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
ポーちゃんのゴットカードも影の剣士1枚。
「あなたの名前を聞いておこう。曲者が多いゴットカード・バトルで1対1で勝負してくれたのはおまえが初めてだ。名前ぐらいは覚えておいてやろう。」
Cさんの騎士も影の騎士との戦いに気合が入っていた。
「特に名前はない。影の剣士だ。そういうおまえは?」
「私も特にない。Cさんの騎士だ。」
「カードに名前をつけれるようになったら面白いかもな。クスッ。」
「そうだな。今度お茶でもしながら名前でも考えるか。クスッ。」
対戦相手同士であるが、影の剣士とCさんの騎士は分かりあえてしまった。それはお互いの強さを実感しているからだろうか。
「いくぞ!」
「こい!」
影の剣士とCさんの騎士の戦いが始まる。
「やるな!」
「おまえこそ!」
「我が剣を受け止められる男がいるとは思わなかったぞ!」
激しく剣と剣がぶつかり合う。
「互角!? 隊長さんが押されれるなんて!?」
「相手は騎士1枚だけをレベルアップさせてきたんだ!? 只者じゃないぞ!?」
ポーちゃんとカゲカゲもCさんの騎士の強さに驚く。
「どうだ? 私の騎士は。雨の日も風の日も毎日トレーニングを重ね、寝る間も惜しんで敵と戦い続けてきたんだ。努力は報われる! 誰にも私の騎士は負けないんだ!」
「おお!」
Cさんの気合が騎士に力を与え猛攻を仕掛けてくる。
「がんばって! 隊長さん!」
ポーちゃんは影の剣士を応援するしかできなかった。
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・。」
影の剣士はCさんの騎士に押されていた。
「私とおまえの差を教えてあげよう。私は鎧を着ているのでダメージが少ない。しかし剣士のあなたはダメージを多く受けてしまうのだ。」
剣士と騎士の差が勝負を分けようとしていた。
「鎧か・・・・・・。Cさんの騎士。おまえは強い。認めよう。久々に戦いがいがあると思って楽しんでいたが、さすがにここまでのようだ。」
「なに?」
「持っているのだよ。私も鎧をな! いでよ! 影の鎧!」
影の剣士に現れた影の鎧が装着されていく。
「私は影の騎士だ!」
影の剣士は影の騎士になった。
「バカな!? 今まで手加減をしていたというのか!? なんだ!? この威圧感は!?」
影の騎士は全身からオーラを放っていた。
「さあ! 勝負だ!」
影の騎士は剣を構える。
「私の負けだ。素直に負けを認めよう。」
しかしCさんの騎士は剣を鞘に納めた。
「いいのか?」
「ハンデをもらって互角だったんだ。鎧を着たあなたには勝てないでしょう。」
Cさんの騎士は素直に負けを認めた。
「今度、戦う時にまでにもっとトレーニングして強くなっていますからね。」
「ああ、また対戦しよう。約束だ。」
影の騎士とCさんの騎士は強く握手して約束した。
「私の負けだ。ポーちゃん。」
「いい勝負でした。ありがとう。Cさん。」
ポーちゃんとCさんにもゴットカードを通じて友情が芽生える。
「勝者! ポーちゃん!」
3試合目もポーちゃんが勝った。
「やったー! 勝った! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「いいもの見せてもらったぜ!」
カゲカゲも感動した。
久々の俺。
「もう出番がないかと心配したぜ。俺はポーちゃんのお兄ちゃんだ!」
現れたのはポーちゃんの兄の高校生1年生の築。
「それでは編集作業を始めよう。問題点だらけで、さすがに登場しない訳にはいかなかった。」
彼の仕事は編集である。
「やはりCさんでは味気ない。また出会って友情を分かち合っても今後の再会の時にCさんでは味気ない。」
結論として、名前は必要になった。名字ランキング順でいいから名前を付けよう。
「食い逃げ犯さん・・・・・・これはこれで面白いが、やはり名前が必要か。」
いや~、よくスルーして話を進めたものだ。鈍感力の勝利だ。
「あと影の騎士でいいのか? それともシャドー・ナイトの方がカッコいいのか? シャドー・ソルジャ? シャドー・ソードマン? 表記は感じがいいのか、カタカナ読みの方がいいのか?」
う~ん。これはそこまで悩まなくていいか。
「シャドー・アーマーを売りつけるのか? 他にサンダー・アーマーとか、ファイア・アーマーとかがあるのか? ゴブリンアーマー? それこそ鬼神アーマーは絶対に出るな。いや、展開的に出さないといけないだろう。」
悩み事は尽きることがない。
「それにしても1話1話手前から進めるスモール方式だと登場人物も少ないし、中々進まないな。エピソードを変えるだけで最後はゴットカードで戦うだけだからな。」
人間模様9割。ゴットカード・バトル1割がアニメの比率。逆に戦う9割だと作家には楽な展開。アハッ!
「結局、グダグダ書いたが修正点は名前を決めるというくらいか。でも形が決まっていると物語を進めるのが楽だな。アハッ!」
これにて編集会議は終わった。
「それではみなさん、さよなら。さよなら。」
4部作の3作目なので作りながら話を進めていこう。
再びポーちゃんの予選リーグ。
「第4試合! ポーちゃん対佐藤さん。」
ポーちゃんは予選リーグの第4試合。名字が佐藤さん同士だった。
「あなたも佐藤さん?」
「うん。ポーちゃんも佐藤さん。 アハッ!」
なぜか同じ名字だと仲良くなる。
「でも試合では負けないわよ!」
「ポーちゃんもがんばるポー!」
佐藤さん同士戦い抜くことを誓いあう。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
佐藤さんのカード。重装兵3枚。僧侶3枚。魔法使い3枚。
ポーちゃんのカード。陰の剣士1枚。歩兵4枚。
「それでは影の剣士さんのことをなんて呼べば良いのかしら? 影の剣士さん? 影の騎士さん? 影の隊長さん? 元々は歩兵さん。そこから歩兵隊長さん。隊長さん。」
ポーちゃんは陰の剣士の呼び方を困っていた。
「シャドー・ナイトでいいよ。カッコイイから。」
「分かった。じゃあ隊長だから、キャプテンさんね。」
「え・・・・・・。」
礼儀正しいポーちゃんは「さん」付けするのだった。
「俺たちは歩兵さん01、02、03、04のままでいいよ。面白いから。」
「それぞれに個性が出てきて、エピソードもできてくるでしょう。」
「それはさて置き、まずは目の前の敵を倒さないとな。」
こうして佐藤同士の戦いが始まる。
「どう? 重装兵を盾にして、僧侶の回復と魔法使いの魔法で攻撃よ!」
対戦相手の佐藤さんの三位一体の攻撃。
「キャプテン。ここは俺たちに任せてくれ。」
「そうだ。隊長は少し休んでくれ。」
「そうか。そんなに私のことを心配してくれているなんて。私は何て幸せな隊長なんだ。ウルウル。」
(ていうか、隊長が強すぎて俺たちが活躍できないっの。)
(そうそう。)
歩兵さんたちが出番を求めて直訴してくる
「歩兵さんたち! がんばるポー!」
「ポーちゃんに勝利の栄光を!」
歩兵さんたちはゴットカードの持ち主のポーちゃんが大好きだ。
「歩兵を舐めるなよ!」
3体の歩兵さんが3体の佐藤さんの重装兵に一撃を加える。
「でやあ!」
「でやあ!」
「でやあ!」
歩兵さんの一撃は重装兵の鎧兜をへこませた。
「はい、一丁上がり。」
歩兵さんは影の剣士が強すぎて出番がなかったが、影の剣士を相手にトレーニングしているので一般参加の佐藤さんの重装兵なんかより数段レベルが高かった。
「ゲエエエエエー!? そんなのあり!?」
佐藤さんは目玉が飛び出るくらい驚いた。
「歩兵さんたち強かったんだ!?」
ポーちゃんも自軍の歩兵だが強くてびっくりする。
「能ある鷹は爪を隠すてやつだな。」
影のペットのカゲカゲは歩兵さんたちを信じていた。
「さあ、続きといこうか?」
歩兵さんたちが残りの僧侶と魔法使いに襲い掛かる。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんは佐藤さん対決を制した。
「やったー! 勝った! わ~い!」
勝ったポーちゃんは大喜び。
「ポーちゃん。がんばって優勝してね。同じ佐藤さんとして応援してるわ。」
「ありがとう。佐藤さん。」
ポーちゃんと佐藤さんはゴットカードを通じて絆を深めた。
「歩兵さんたちって強かったのね。」
「だてに隊長をフルボッコしてる訳じゃないからね。」
「ワッハッハー!」
ポーちゃん陣営に談笑が起こる。
「ポーちゃん。俺たちもポーちゃんを守るからな!」
「そうだ。俺たちは強い。」
「ポーちゃん、隊長。俺たちを信じてくれ。」
「俺たちはワンチームだ。アハッ!」
「歩兵さんたち、カッコ良すぎ。」
ポーちゃんは歩兵さんたちの言葉に感動して、少し瞳が濡れる。
「ここまで強いと歩兵さんたちもオリジナルネームが必要じゃないか? 01、02、03、04じゃあ、なんか申し訳ない。」
カゲカゲが歩兵さんたちの名前を決めようと提案してくる。
「もう次の試合だから、歩兵さんたちの名前は後で決めましょう。」
ポーちゃんは次の試合に望む。
「第5試合は鈴木さんか? 佐藤の天敵ね。」
なぜか佐藤と鈴木は仲が悪かった。
「やい! イカサマ小学生! どうやったら、そんなにカードが強くなるんだ? 何か悪いことやっているんだろう! 正直に吐け! 子供は素直な方が可愛いぞ!」
鈴木さんは大人優遇、子供軽視の年功序列野郎だった。
「ポーちゃん何も悪いことはしてないもん。」
その通り。お兄ちゃんからゴットカードを盗んだこと以外は何も悪いことはしていない。
「生意気な! 勝負はゴットカードでつけてやる!」
「ポーちゃん悪くないもん。」
ムキになっている大人をかまってあげるポーちゃん。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
鈴木さんのゴットカード。魔法使い5枚。
ポーちゃんのゴットカード。影の剣士1枚。歩兵4枚。
「数の上では互角なんだ。」
珍しく5対5の人数的には同じである。
「くらえ! ファイア!」
鈴木の魔法使いが魔法で攻撃してくる。
「そんな火の魔法なんて痛くも痒くもないんだから。」
ポーちゃんは余裕をこいていた。
「それはどうかな? 大人を甘く見るなよ! やれ!」
「ファイア!」
「ファイア!」
「ファイア!」
「ファイア!」
鈴木は他の4人の魔法使いにも火の魔法を唱えさせる。
「5倍ファイア!」
普通の火の魔法を5つ重ねて大きな火を作り出す。
「なんですって!? しまった!?」
「まずい!? かわすんだ!?」
ポーちゃんとカゲカゲは油断していた。
「俺の炎で焼かれて、燃え尽きろ!」
鈴木は絶好調で勝利を確信する。
「ドカーン!」
5倍ファイアが陰の剣士と歩兵さんたちに直撃した。
「んん!? なんだ!?」
かに見えたが、火の様子が何か変だ。火がどこかに姿を消していく。
「影魔法。影隠し。」
影の剣士が影の魔法で5倍ファイアを影の中に吸収して消した。
「スゴイ! さすが隊長さんだわ! みんなが無事で良かった。ふう~。」
ポーちゃんは隊長さんに感服した。
「まったくだ。美味しい所を持っていくやつだ。」
カゲカゲも隊長さんを頼もしく思う。
「隊長! 助かりました!」
「隊長! スゴイですね!」
「隊長! 今度、魔法の使い方を教えてください!」
「隊長! 読んだだけっす。」
歩兵さんたちも隊長を信頼している。
「あ、あ、あ、あり得ない!? 炎を影で消すだと!? ふざけるな!? 5倍ファイアだぞ! 俺が5つの火の魔法を合成して一つにするのにどれだけの時間を費やしてできるようになったと思うんだ!? 影の剣士!? そんなカード知らないぞ!? このイカサマ子供め!」
かなり鈴木はお怒りだった。自分の努力して会得した必殺技が、小学生のポーちゃんに破られたのだから。
「ポーちゃん、悪いことしてないもん。ウエーン!」
鈴木に怒られたのが怖かったのか、ポーちゃんは小学生らしく泣き出した。
「ポーちゃんを、ポーちゃんを泣かせたな! うおおおおおおおー!」
影の剣士と歩兵さんたちが鈴木に対して怒りを爆発させる。
「いでよ! 影の騎士の鎧! シャドー・アーマー!」
影の剣士は影の鎧を呼び出し装着する。
「影の騎士! 参上! あなたはもう死んでいる!」
影の騎士の隊長はシャドー・ソードを天に掲げる。
「悪意チャージ!」
そして影の騎士は鈴木の魔法使いから悪意を吸いあげていく。
「いくぞ!」
「おお!」
歩兵さんたちが悪意がなくなり大人しくなった魔法使いに攻撃を仕掛ける。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんはゴットカード・バトルに勝利した。
「やったー! 勝った! わ~い!」
小学生らしく大喜びするポーちゃん。
「ポーちゃん。ごめん。酷いことを言って。でも自分でもどうしてあんな酷いことを言ったのか分からないんだ。」
鈴木は性格が変わったみたいに反省していた。
「いいの。きっと悪意に操られていたんだよ。これから良い人になってね。アハッ!」
優しく微笑むポーちゃんであった。
「ありがとう。ポーちゃん。」
笑顔で鈴木は去って行った。
「人の心の隙間に忍び込んで悪意で操ろうとする悪意の秘密結社マリシャス! 絶対に許さないんだから!」
ポーちゃんは、みんなの平和のためにこれからも戦うのだ。
「第6試合。ポーちゃんと高橋さん。出番ですよ。」
「おお!」
次の試合の相手は高橋。
「がんばるポー!」
ポーちゃんはいつも笑顔で明るく前向きなカワイイ小学一年生。
「やるな。ポーちゃん。子供だからって手加減はしないぞ。」
「望むところよ。」
高橋は正々堂々と小学一年生と戦うことを宣言する。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
高橋のゴッドカード。歩兵10枚。重装兵10枚。騎士10枚。弓兵10枚。僧侶10枚。魔法使い10枚。計60枚。
ポーちゃんのゴットカード。影の剣士1枚。歩兵4枚。
「こらー!? これのどこが正々堂々となんだ!?」
多勢に無勢過ぎて怒り出すポーちゃん。
「勝てばいいのだよ! 勝てば! 昔から勝てば官軍負ければ賊軍ってな!」
高橋は勝つためなら手段は選ばない。
「これだから大人って嫌いだ。」
ポーちゃんはゴットカード・バトルを通じて人間不信になった。
「安心しろ。ポーちゃん。相手はたかが60体だ。俺たちには隊長さんがいるじゃないか。」
「カゲカゲ。そうね。私たちには隊長さんがいるのだ。隊長さんなら、きっと何とかしてくれるはず!」
ポーちゃんとカゲカゲは隊長さんの奮起を期待した。
「そんなアホな!?」
期待の大きさに潰れそうな影の剣士。
「隊長、期待してますよ。」
「任せました。隊長。」
「おまえたちまで・・・・・・。」
歩兵さんたちも隊長に期待している。
「仕方がない。こうなったら最終兵器だ!」
隊長さんは覚悟を決めた。
「いでよ! シャドー・アーマー!」
隊長さんは影の騎士の鎧を装備していく。
「悪意のチャージ!」
そして剣を天に掲げ敵から悪意のエネルギーを吸い取っていく。
「フン! 60体だ! いかに戦意を吸えても全員分は吸うことができまい!」
ここまでは高橋の言う通り。今までと同じだ。
「いでよ! シャドー・バスターランチャー!」
隊長さんは影の長距離エネルギー砲を出現させる。
「なに!? バスターランチャーだと!?」
さすがに相手の高橋も驚いた。
「悪意のチャージ・スタート!」
隊長さんは集めた悪意をバスターランチャーのエネルギーとして充電していく。
「ポーちゃん、サングラスだ。」
「サングラス?」
「バスターランチャーは目に悪いからな。」
カゲカゲはポーちゃんにサングラスを渡しかけさす。
「エネルギー充電50パーセント! いけー! 悪意をぶっ飛ばせ!」
隊長さんはバスターランチャーの引き金を引いた。
「ドピュー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
バスターランチャーから超強力なエネルギー破が放たれる。
「ギャアアアアアアー!」
「助けて!? お母さん!?」
一瞬で高橋の60体の兵士たちはバスターランチャーのエネルギー破を食らって消え去る。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんはゴットカード・バトルに勝利した。
「やったー! 勝った! わ~い!」
無邪気に笑うポーちゃん。
「ナイス・ファイトだったぜ!」
カゲカゲも勝利の余韻を楽しむ。
「そんなバカな!? 何でもありかよ!? 60体だぞ!? 60体の兵士が一瞬で!?」
高橋は未だに自分が負けたことが信じられないでいた。
「隊長やりましたね!」
「スゴイです! 隊長!」
「どこにバスターランチャーなんか隠し持っていたんですか?」
「隊長! 万歳! 万歳! 万々歳!」
歩兵さんたちは隊長を褒めたたえた。
「ゴホン。隊長クラスになれば何でもできるのだ。ワッハッハー!」
(ふ~。奥の手を隠し持っていて良かった。影の中に何でも隠しておかなければ。)
影の騎士の隊長の影は四次元ポケットのような便利なアイテムだった。
「これで6連勝! がんばるポー!」
ポーちゃんの予選リーグの戦いも残すは3試合。
「では、続きまして7巡目の試合を行います。ポーちゃん対田中さん。」
ポーちゃんの次の対戦相手は田中。
「・・・・・・。」
田中は覇気がなかった。
「がんばるポー!」
ポーちゃんは気合が十分である。
「気をつけろ。ポーちゃん。」
「どうしたのカゲカゲ?」
「なんだか嫌な予感がする。相手の出方が読めないんだ。」
カゲカゲは田中の覇気の無さを警戒した。
「考えすぎよ。相手は普通の人間なんだから。」
「それならいいんだが。」
しかしカゲカゲの嫌な予感はよく当たるのだ。
「それではゴットカード・ファイト!」
「がんばるポー!」
ゴットカード・オリンピックの出場をかけた最終予選の予選リーグのポーちゃんの7試合目のゴットカードバトルが始まる。
田中のゴッドカード。がいこつ20枚。ゾンビ20枚。スライム20枚。コウモリ20枚。ゴースト20枚。
ポーちゃんのゴットカード。影の剣士の隊長1枚。歩兵4枚。
「100枚!? そんなの聞いてないよ!?」
前回の60体の敵から100体に増えた。
「大丈夫! ポーちゃんには隊長さんがついているもの!」
「そうだ! 俺たちには隊長がついている!」
「隊長!」
「隊長!」
「隊長!」
歩兵さんの隊長コールが鳴り響く。
「今回は敵の数も多い。出し惜しみせずに最初からバスターランチャーの準備をする。エネルギー充電ができるまで、おまえたちには時間を稼いでもらいたい。」
「了解しました!」
珍しく作戦を立てる隊長さん。
「作戦開始だ。」
「おお!」
隊長の「バスターランチャーの充電ができるまで」作戦が始まる。
「悪意のチャージ!」
隊長がバスターランチャーの充電を始める。
「久しぶりの出番だな。」
「たまには活躍しないと。」
「まずは敵が近づいてくる前に飛んでるゴーストとコウモリを倒しますか。」
「投石で。」
歩兵さんたちは弓も魔法も使えない。できる遠距離兵器は石を投げるしかないのだ。
「えい!」
歩兵さんは石を投げた。
「ギャアアアアアアー!」
コウモリは倒された。
「えい!」
「あれ? ゴーストは石が当たらないぞ。」
「お化けだから物理攻撃が効かないんだ!?」
ちょっとゴーストは特殊だった。
「いいや。先にコウモリを撃ち落とそう。」
「おお!」
「ダダダダダダッダダダダー!」
歩兵さんたちは石を拾って投石を謎の連射する。
「よし! コウモリを全て倒したぞ!」
歩兵さんたちはコウモリを倒した。
「エネルギー充電5パーセント。」
隊長のバスターランチャーの充電は時間がかかる。
「いくぞ! 突撃だ!」
「おお!」
歩兵さんたちが敵の群れに突撃する。
「でい!」
「ギャアアアアアアー!」
歩兵さんたちがガイコツ、スライム、ゾンビと戦いを繰り広げる。
「ファイア!」
「おっと!? ゴーストには気をつけろよ!」
空を飛んでいて物理攻撃が与えることができないゴーストは魔法で攻撃してくる。
「タコ殴りだ!」
「隊長で鍛えた俺たちの力を見せてやる!」
「歩兵さんフルボッコ・アタック!」
「あい!」
隊長とのトレーニングで鍛えた歩兵さんたちは強かった。
「えい!」
「やあ!」
「たあ!」
「あい!」
次々と敵の群れを倒していく。
「後はゴーストだけだな。」
「歩兵でもゴーストを倒せればいいのに。」
「道具屋でお札でも買わされるのか?」
「遂にきたか! 俺たちが進化する時が!」
歩兵さんたちはゴースト以外の80体を全て倒した。
「ファイア! 20連発!」
「ギャアアアアアアー!」
「熱い!? 熱い!?」
「隊長!? チャージはまだですか!?」
「早くしてください!? 死んじゃいますよ!?」
歩兵さんたちはゴーストの魔法攻撃でピンチに陥る。
「待たせたな。」
隊長のバスターランチャーの充電が完了する。
「当たれー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドピュウー! っと、エネルギー破がゴーストに放たれる。
「ギャアアアアアアー!」
一瞬でゴーストの群れを倒しきる。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんはゴッドカード・バトルに勝った。
「やったー! 勝った! わ~い!」
素直に勝利を喜ぶポーちゃん。
「いい戦いだったぜ。」
カゲカゲも納得のナイスゲームだった。
「あと2試合!」
ポーちゃん予選決勝リーグ進出まで後2勝。
「この調子なら楽勝ね。」
ポーちゃんは順調に勝ち力も付けてきたので自信があった。
「油断大敵! 火がぼうぼうだ。気を引き締めるんだ。」
カゲカゲは慎重な奴だった。
「大丈夫だよ。だって私たちには隊長がいるもの。アハッ!」
ポーちゃんの自信は隊長の強さからきていた。
「えっ!?」
その発言に戸惑う隊長。
「そうだ! 隊長がいれば魔王でも鬼神でもや押してくれるぞ!」
「隊長! 万歳! 万歳! 万々歳!」
歩兵たちも体調を崇める。
「もうやめないか? この展開。」
一人逃げ場がない隊長。
「まあ、勝っている間はいいじゃないか。」
黄昏る隊長のペットのカゲカゲ。
「そうですよ。隊長。ワッハッハー!」
ポーちゃんたちに笑顔がこぼれる。
「好きにしてくれ。私はポーちゃんのために戦うだけだ。」
隊長こと影の剣士はポーちゃんのことが大好きだ。
「それでは8巡目の戦いを始めます。次はポーちゃん対伊藤です。」
ポーちゃんの予選リーグ8試合目の対戦相手は伊藤。
「私は数には頼らない。」
「それは助かるポー。だって100人相手とかカードゲームであり得ないポー。」
ポーちゃんの語尾に「ポー」をつけてみた。好きな人はカワイイので好きだろう。まだ小学一年生だから許されるだろう。もし女子高生なら許されないだろう。
「ゴッドカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
伊藤のゴットカードは、スライム200匹。
ポーちゃんのゴットカードは、隊長1枚。歩兵4枚。
「嘘つき! 数に頼らないって言ったくせに!」
ポーちゃんは伊藤に騙された。
「子供だな。大人を簡単に信じるものではないよ。」
悪びれる様子もない伊藤。
「だが、私は嘘はついていない。」
「え?」
200匹のスライムの様子が変だ。
「合体! 2トン! スライム!」
200匹のスライムが合体して1体の大きな豚まんのようなスライムができた。
「また騙された!? ウエーン!」
純粋な子供のポーちゃんは悪意のある伊藤に遊ばれてしまう。
「だから言っただろう? 私は数には頼らないと。ちゃんと大型スライム1体だけなんだからな。ワッハッハー!」
伊藤は詐欺罪は不起訴になって高笑いする。
「泣かせたな。」
「なに?」
「ポーちゃんを泣かせたなー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
伊藤にポーちゃんが泣かされて激怒する隊長。
「それがどうした? 子供は泣くのが仕事だろ。子供は子供らしく勉強でもしていればいいんだ! やれ! 2トン・スライム!」
「おお!」
巨大なスライムが隊長たちに襲い掛かる。
「シャドー・ソード!」
隊長は影の剣の力を解き放つ。
「なんだ!? あのオーラは!? だが、そんなもので2トン・スライムが斬れると思うなよ!」
影の剣からシャドー・フォースが放たれまくる。
「私が斬るのは、おまえの影だ! シャドー・キル!」
隊長さんはスライムの体ではなく、スライムの影を斬る。
「ギャアアアアアアー!」
スライムは倒されて消えていく。
「ば、バカな!? 影なんか着れる訳がない!?」
2トン・スライムが負けてしまい驚く伊藤。
「私は陰の剣士。影を斬るなんて朝飯前さ。」
シャドー・スキルを扱う隊長は勝ち誇る。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんは戦いに勝った。
「やったー! 勝った! わ~い!」
泣いて笑って大忙しのポーちゃん。
「一つのことを続けていると新しいアイデアが湧いてくるものだ。」
カゲカゲは教訓の先生のようだった。
「次の戦いで最後ね! アハッ!」
ポーちゃんは8連勝で予選リーグの最後の戦いに挑む。
「まさか子供のお嬢ちゃんがあんなにも強いとは。参ったな。」
Cリーグで8連勝している者がAリーグのポーちゃんの活躍に驚いていた。
「通りで鬼神が意識するはずだ。」
その者は鬼神のことを知っていた。
「このまま何事も無く決勝リーグに出られても困っちゃうんで、ここいらで少し手を加えさせてもらおうか。」
そしてCリーグの者は、Aリーグのポーちゃんの次の相手の渡辺に声をかける。
「私の言いなり人形になってください。」
「はあ?」
グサッと渡辺の胸を貫くCリーグの者。
「あなたに私のゴットカードを分けてあげましょう。」
Cリーグの者は渡辺にゴットカードを分けてあげる。
「やっぱりゲームは楽しくないとね。ケッケッケ。」
Cリーグの者は不敵に笑う。
「Bリーグ! 決勝リーグに進出するのは・・・・・・鬼神さんです!」
予想通りBリーグでは鬼神が圧倒的な強さで決勝リーグ進出を決めた。
(小学生のお嬢ちゃん。先に行って待っているぞ。)
鬼神はポーちゃんをストーカーのように意識している。
「それでは最後の一戦を戦って勝ちますか! がんばるポー!」
ポーちゃんは予選リーグを8連勝。あと一つ勝てば完全優勝だ。
「その意気だ! ポーちゃん!」
隊長のペットのカゲカゲも気合十分だ。
「それでは予選リーグ9巡目。ポーちゃん対渡辺さんの戦いを始めます。」
「がんばるポー!」
「はい。」
ヌルっと渡辺が現れた。
「なんか気持ち悪いポー!?」
ポーちゃんは渡辺を気持ち悪く思った。
「エヘヘヘヘッ!」
渡辺は不気味に笑う。例えるならロリコンが生徒にセクハラするために小学生の教師になるようなものである。
「絶対に負けないポー!」
ポー語連発。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
渡辺のゴットカード。提灯お化け。唐傘。ろくろっ首。のっぺらぼう。一つ目入道。天狗。河童。各1枚ずつ。
ポーちゃんのゴットカード。隊長1枚。歩兵4枚。
「妖怪!? そんなゴットカードがあったかな!?」
ポーちゃんの記憶にはゴットカードの種類では妖怪というジャンルは見たことがなかった。
「気をつけろ! ポーちゃん! こいつら只者じゃないぞ!」
カゲカゲも警戒を強める。
「大丈夫。私には隊長さんがついているポー!」
ポーちゃんは隊長に善福の信頼を置いている。
「そうだ! 俺たちには隊長がついている!」
「隊長! 頼んます!」
「隊長なら妖怪も斬れる!」
「隊長! 万歳! 万歳! 万々歳!」
歩兵たちも隊長を信じている。
「私に任せろ! 影がある限り戦いましょう! シャドー・ナイトとして!」
隊長さんの口上が行われる。
「カット!」
しかしカゲカゲが止める。
「え?」
唖然とする隊長。
「もっとカッコイイ工場がいいな。毎回使うし。例えば「愛と勇気のセーラ服美少女戦士! 月女! 月に変わってお仕置きよ!」みたいな。」
カゲカゲ監督の監修は厳しかった。
「え・・・・・・今試合中なんですけど。」
「待たせておけばいい。宮本武蔵の巌流島作戦だ。」
武蔵は遅刻して佐々木小次郎をイライラさせた。武蔵がたどり着いた頃には小次郎はトイレに行きたいのを我慢していて、普通に剣を使えなかったという恐ろしい伝説である。
「友情と絆の影の騎士! シャドー・ナイト! ポーちゃんは私が守る!」
テイク2。
「カット! 最初が弱いな、最初が。」
「ええ~!? また!?」
「はい! テイク3いくよ!」
こうして悲劇の撮影は繰り返される。
「そうだ! この間に歩兵さんたちに妖怪と戦ってもらえばいのよ。」
「そうか! その手があったか! 歩兵たちが戦う間にゴットカードの内容を詰めればいいんだ! さすがポーちゃん! ナイスアイデアだ!」
ポーちゃんは良いことに気がついた。カゲカゲもポーちゃんを絶賛する。
「マジか!?」
「俺たち歩兵じゃお化けは斬れないって!?」
「新しい武器をくれ。歩兵でもお化けを倒せるアイテム。」
「とりあえずお札にするか。便利アイテム。」
歩兵さんたちは戦闘準備を整えた。
「いくぞ!」
「おお!」
「久々の出番だな!」
「ワクワクするぞ!」
歩兵さんたちは妖怪と戦い始める。
「おまえたちは皆殺しだ! 火の玉!」
火の魔法ファイアも日本風に言うと火の玉になる。
「ウワアアアアアー!? 提灯が喋った!?」
「提灯が火を吐いた!?」
「火だ!? 炎だ!?」
「素朴な疑問。提灯は自分の火で燃えないのかな?」
提灯お化けの火を華麗にかわす歩兵さんたち。
「ならこれでどうだ!」
今度は唐傘お化けが飛んできた。
「傘が飛んできたぞ!?」
「持つとこが足だ!?」
「傘がのこぎりのようになっている!?」
「素朴な疑問。なんで傘に目があるんだ?」
歩兵さんたちは唐傘お化けの攻撃を華麗にかわす。
「きえええーい!」
ろくろっ首が首を飛ばしてきた。
「顔が飛んできた!?」
「気持ち悪い!?」
「アニメも実写もCGがある時代って何でもありだな。」
「素朴な疑問。敵を1体1体紹介して終わらないで、紹介して倒してしまえばいいんじゃないだろうか?」
ごもっともな歩兵さんたちの意見である。
「顔くれ! 顔!」
顔無しのっぺらぼうが攻撃してくる。
「そうだな。やっちゃうか。」
「顔さえ奪われなかったら怖くない。」
「だって俺たち強いから。」
「なんてったって隊長さんの隊員だからね。」
歩兵さんたちは初登場の妖怪たちに慣れてきた。
「コンビネーション・アタック! 1!」
「2!」
「3!」
「4!」
歩兵さんたちは4連続攻撃をのっぺらぼうにぶち込む。
「ギャアアアアアアー!」
のっぺらぼうを倒した。
「やっぱり俺たち強いわ。」
「この調子ならお化けでも斬れるんじゃない?」
「あ、そうだ。のっぺらぼうが復活しないようにお札を貼っとかないと。」
「キョンシーかよ!?」
もちろん中国妖怪なら雑魚妖怪はキョンシーだろう。ボスはキング・キョンシー。まるでキング・ボンビーみたい。じゃあ、ボンビーガールは何になるんだろう?
「ということで、俺、提灯お化け。」
「唐傘お化け。」
「ろくろっ首。」
「ええ~!? 俺、残りの3体を相手にするの!?」
歩兵さんたちは戦う相手を絞って戦うことにした。一人の歩兵さん、おそらく04だけが一人で一つ目入道、河童、天狗の3体を相手にすることになった。
「くらえ! 火の玉!」
提灯お化けが火の玉で攻撃してくる。
「かわすのも面倒臭いな。」
あなたならどうする? 火の玉を野球のボールに見立てて剣をバットにしてホームランを打つ。それとも剣のスピードを上げて火の玉を斬る。さあ、あなたはどっち派?
「直進だ!」
歩兵さんの選択は真っ直ぐに直進だった。正にスカッと爽快。勧善懲悪。
「ええ~!? なんで!?」
予期せぬ歩兵さんの行動に驚く提灯お化け。
「フン。俺のレベルは高いのだ。だから、おまえの火の玉をくらっても大したダメージにはならないのだ。ワッハッハー!」
恐るべし高レベル歩兵さん。
「そんなのありかよ!?」
「あり。」
歩兵さんは提灯お化けに斬りかかる。
「ギャアアアアアアー! 覚えてろよ! 化けて出てやる!」
提灯お化けを倒した。
「何を言っているんだ。もう、化けて出てるだろ。」
歩兵さんは提灯お化けにお札を貼った。
「これで後5体。」
歩兵さんは他の歩兵さんの応援に向かう。
「おまえの相手は俺だ。」
歩兵さんが唐傘お化けに立ち塞がる。
「歩兵なんかで妖怪の相手が出ると思うなよ! 唐傘カッター!」
唐傘お化けは傘を高速回転させて攻撃してくる。
「確かに俺は歩兵だ。だが、俺はポーちゃんの歩兵だ!」
「何!?」
歩兵さんは真剣白刃取りで唐傘お化けを受け止める。
「おかしいだろ? なんで妖怪なんかがゴットカード・オリンピックに出てくるんだ?」
「ケッ、ゴットカードは何でもありなんだからいいだろうが!」
「それもそうだな。うん。」
「納得するな!?」
「え? ダメなの。」
歩兵さんと唐傘お化けの話し合いは平行線をたどった。
「おまえたちは後悔するだろう。私たちに倒されていれば良かったと。」
「なに? どういうことだ。」
「決勝リーグでは地獄が待っているということだ!」
「地獄なんか打ち破ってみせる!」
歩兵は唐傘お化けを力任せに折り曲げた。
「ギャアアアアアアー!」
歩兵さんは唐傘お化けを倒した。
「レベル高すぎて力もすごい強いんだな。これ。」
唐傘お化けにお札を貼って、歩兵さんは他の歩兵さんの応援に向かう。
「地獄?」
歩兵さん03がろくろっ首と戦っている。
「そうだ。私たちはただの先遣隊。私たちの主は既に決勝リーグに進出されている。ケッケッケ。」
ろくろっ首は余裕そうに話す。
「鬼神の配下か?」
「ワッハッハー! 鬼神? あんな鬼しか扱えないような小物と我が主を一緒にしてもらっては困るな。」
「なんだと!? 鬼神よりも強い奴がいるというのか?」
「その通り。我々の主は妖怪の王だ。」
「妖怪王!?」
「鬼以外の妖怪は全て我が主に従っている。圧倒的な戦力差だ。ケッケ。」
ろくろっ首の主は妖怪王だった。
「それは大変だ。そのことを直ぐに仲間に伝えないと。」
「ここから逃げれると思うのかい? おまえは多くのことを知り過ぎた。生きて帰れると思うなよ。」
ろくろっ首が襲い掛かってくる。
「生きて帰れないと思ったことがない。だって俺は強いもの。」
歩兵さんは剣を構える。
「必殺! 歩兵斬り! ソルジャー・スラッシュ! ソルジャー・キル! ソルジャー・ブレイク!」
どの呼び方がいいのか分からないので、とりあえず4発の必殺技を繰り出す歩兵さん03。
「ギャアアアアアアー!」
ろくろっ首は倒された。
「今度は隊長が戦っている間に俺たち歩兵のことを考えてもらおう。」
今回のカゲカゲの監督制を良いアイデアと思った。片一方は戦い。もう片一方は必殺技や登場する時の口上を考える。
「妖怪王か、決勝リーグが楽しみだ。」
歩兵さん03は他の歩兵さんの応援に向かう。残りの妖怪は3体。
「ギャアアアアアアー! やめて! 来ないで!」
歩兵さん04は命かながら逃げていた。
「河童の水遊び!」
「天狗の竜巻!」
「待て! 小僧!」
歩兵さん04は河童、天狗、一つ目入道に追いかけられていた。
「さすがに3体1はあんまりだよ!? 俺に残りを押し付けるなんて!? 酷い!?」
歩兵さんは防戦一方だった。
「これで最後だ!」
「死ね!」
「おまえなんか握り潰してやる!」
妖怪たちは襲い掛かってくる。
「もうダメだ!?」
歩兵さん04は生きることを諦めた。
「なんだ!?」
妖怪の繰り出す攻撃を他から攻撃が繰り出され相殺される。
「何者だ!?」
「おまえたちの仲間は倒させてもらったぞ。」
現れた歩兵さん01。
「おお! 我が友よ!」
仲間の救援に喜ぶ歩兵さん04。
「その通りだ。おまえは一人ではない。」
「おお! 歩兵さん02!」
「俺のことも忘れるなよ。」
「歩兵さん03! おまえも来てくれたのか!」
こうして4人の歩兵さんは再集結した。
「一人はみんなのために! みんなは一人のために!」
歩兵は正に4銃士の様であった。友情と絆の思いが強く仲間のことを信じている。
「バカな!? 提灯お化けも、唐傘お化けも、ろくろっ首も倒されたというのか!?」
妖怪たちは仲間がやられたことにビックリしていた。
「そういうことだ。俺たちを歩兵と思ってなめるなよ!」
凛々しく堂々と立ち並ぶ歩兵さんたち。
「今度はこっちの番だ!」
「卑怯だぞ!? 4対3だなんて!?」
「こらー! 数で負けたら文句を言うのかよ!」
「いいだろう! こっちは妖怪なんだから!」
歩兵と妖怪の似た者同士。
「ギャアアアアアアー! やられた!」
歩兵さんたちの攻撃で妖怪たちはやられた。
「こんなことをしてタダで済むなよ! 妖怪王様はお怒りになるぞ!」
妖怪たちはそう言い残して倒された。
「念のためにお札を貼っておこう。」
歩兵たちは妖怪のおでこにお札を貼った。
「戦いも終わったし帰るとしますか。」
「そだね。」
「隊長は決めゼリフは決まったかな。」
「本格的に人気アニメに似せてきたね。」
歩兵さんたちはいつもマイペース。この頼もしさがポーちゃんの歩兵さんたちである。
「光る所に影有り! 愛と正義の影の騎士! シャドー・ナイト! ポーちゃんは私が守る!」
テイク44。
「OK! それでいこう! やればできるじゃないか。隊長。」
「ふ~、やっと終わった。」
こうして別の意味の隊長の戦いは終わった。
「よし! 私も戦いに参戦するぞ!」
隊長は妖怪退治に出向こうとする。
「もう終わったよ。」
歩兵さんたちはテイク10くらいから、ずっと眺めていた。
「え? そうなの。」
「さあ、次は決勝リーグだ。」
「ご飯でも食いに行くべ。」
「その前にトイレ!?」
「あ!?俺も行く!」
こんな面々でも勝てる強さがあればいいのだ。
「がんばるポー!」
ポーちゃんの可愛さは不滅である。こうして決勝リーグにコマを進めるポーちゃんであった。
久々の俺。
「どうもポーちゃんの兄の築です。問題が発生した時だけの登場になっている俺。」
ポーちゃんの兄を登場させて微調整を行う。
「前回の俺のコーナーで敵の名無しの権瓶はやめて名前を付けるようになった。だが歩兵さんは01、02、03、04で識別できるから放置したのだが、やはり歩兵さんにもまともな名前が合った方がいいという意見が多かったので、今更だが歩兵さんの名前を決めようと思う。」
おめでとう。歩兵さんたち。
「しかし、今回は歩兵さんで通して、今後に歩兵から騎士にでも出世する時に真面目な名前でも付けてあげようと思う。」
先を見越した俺の偉い思考。結局は棚上げである。
「次にゴットカードのコスト問題だ。今は無制限に何枚でも使用可能だが、やはりコストがあるモードもあった方がいいに違いない。」
コスト問題も大変である。
「最初からならいいが、今は既に俺の妹は決勝リーグ。今は触れませんな。」
結局、これも棚上げ。
「ゴットカードのバトルデッキの使用可能最大枚数は何枚だ? それとも常に無制限に使用できる方がいいのだろうか?」
いろんな角度からゴットカードの試行錯誤をする。
「ということで決勝リーグのルールを微調整して、公正な戦いが行われるようにしよう。俺が妹のためにできることはそれぐらいだ。」
お兄ちゃんは妹のことが大切だった。
「それでは決勝リーグ、いってみよう!」
こうしてポーちゃんの決勝リーグが始まる。
「それでは決勝リーグを始めます。各予選リーグの1位の通過者10人でリーグ戦を行ってもらいます。決勝リーグのルールは1対1です! 予選では数的有利不利が目立ち過ぎたので、こうなりました。」
予選リーグで苦労した歩兵さんたちは「最初っから真面目にルールを決めようぜ。」と心から思った。
「ということは、ポーちゃんは・・・・・・鬼神と直接対決だ!」
ポーちゃんの隊長さんと鬼神のゴットカードの鬼神が1対1で戦うことになるのである。
「大丈夫。だって私には隊長さんがついてるもの。」
ポーちゃんは隊長に絶対の信頼を置いている。
「そうだ。隊長がいれば鬼神なんかへっちゃらさ!」
「ポーちゃんなら優勝できるさ!」
「がんばるポー!」
気合十分のポーちゃん。
「持てる男はつらいな。隊長。」
「私はポーちゃんのために戦うだけだ。」
隊長は大好きなモノを守る為に戦うのだ。
「決勝リーグもがんばるポー!」
銀行強盗さんの娘さんの手術代を稼ぐためにも負けられない。
「それでは決勝リーグの第1試合。ポーちゃん対鬼神さんの戦いを始めます。」
いきなりポーちゃんは鬼神との対決である。決勝リーグ大将戦が始まる。
「いよいよ鬼神と対決か。がんばるポー!」
気合十分のポーちゃん。
「来たな。小学生のお嬢ちゃん。」
鬼神もポーちゃんを認識する。
「私がどれだけ強くなったか見せてやる!」
「面白い。私を楽しませてくれよ。」
ポーちゃんと鬼神が戦いの舞台に立つ。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
「負けないポー!」
まだまだ小学一年生のポーちゃんのボキャブラリーは少ない。
「いくよ! 隊長さん!」
「おお!」
ポーちゃんのゴッドカードは、影の騎士の隊長さんである。
「ムムッ!? 以前の歩兵とは違うのか!?」
鬼神は以前に歩兵アーマーを被せていた隊長さんを倒している。まさかその歩兵が影の騎士の隊長だとは知らないのだ。
「まあ、いい。俺の鬼神が負ける訳がないからな。」
鬼神のゴットカードは自身のアバターの鬼神である。
「いけ! 隊長さん!」
「おお!」
隊長さんが鬼神に切り込む。
「そんなもの俺の鬼神に聞くわけがないだ・・・・・・何!?」
隊長さんの剣での攻撃を受け止めた鬼神の体が地面に押し込まれた。
「油断大敵! 火がボウボウだよ!」
「なぜ!? 小学一年生がそんな難しい言葉を知っている!?」
ポーちゃんの知能の高さに驚く鬼神。
「驚くとこはそこ!? 違うでしょ!? 私の隊長さんは強いのよ!」
ポーちゃんは隊長さんのことを信頼している。
「隊長さん! 鬼神が戸惑っている間に畳みかけて!」
「おお! 任せろ!」
その二人の友情の絆が大きな力を与えてくれる。
「必殺! シャドー・キル!」
隊長は鬼神の影を斬った。
「ギャアアアアアアー!」
鬼神は断末魔の叫びをあげて苦しむ。
「バカな!? 影を斬るだと!?」
鬼神は隊長の攻撃に成す術なく驚いていた。
「やったー! 鬼神に勝った! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「だが、喜ぶのはまだ早い!」
しかし鬼神は倒れてはいなかった。
「なんですって!?」
「もともと俺の鬼神は悪意のゴットカード。影を斬られたところで痛くも痒くもない。影を斬り実際に与えるダメージで鬼神のエッチピーを超えるダメージを与えられないんじゃな。」
鬼神は仁王立ちしてビクともしなかった。
「こうなったらバスターランチャーをぶちかますしかない!」
「おお!」
隊長は影のバスターランチャーを出現させる。
「大筒か? 団体戦なら仲間が時間を稼いでくれるが今は1対1の大将戦だ。そんなものにエネルギーを充電させる訳がないだろうが!」
「鬼神斬り!」
鬼神が刃のエネルギーを隊長さんに飛ばしてくる。
「悪意のチャージ!」
しかし隊長は鬼神の飛ばしてきた悪意のエネルギーをチャージする。
「なに!? 俺の攻撃を吸収したというのか!?」
「そうよ! 隊長は悪意を吸収して善意のエネルギーに変換して、鬼神! あなたを倒すんだから!」
ポーちゃんと隊長の勝利の方程式である。
「面白い。悪意の秘密結社マリシャスの大幹部である俺の悪意を吸収できるものなら吸収してもらおうじゃないか!」
そう言って鬼神は連続攻撃を始める。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラー!」
「ヌウオッ!?」
「がんばって! 隊長さん!」
鬼神の激しい攻撃をバスターランチャーにチャージを続ける隊長さん。
「ここまで粘ったのは誉めてやろう。だが、これならどうだ。鬼神破ー!」
鬼神が特大の悪意のエネルギー破を放ってくる。
「ヤバイ!? こんなの食らったらひとたまりもない?」
「ウワアアアアアー!?」
隊長さんは悪意に呑み込まれ激しく爆発する。
「隊長!?」
ポーちゃんは周囲を見渡した。
「いた! 隊長さん! 無事だった! 良かった!」
「う・・・・・・。」
隊長は吹き飛ばされているが生きていた。ポーちゃんはホッとする。
「隊長とやら、おまえは大したやつだよ。まさか、あのタイミングでバスターランチャーの引き金を引くとはな。」
隊長が生きていたのはバスターランチャーにチャージした悪意のエネルギーを鬼神の鬼神破にぶつけて相殺したからだった。
「小学生のお嬢ちゃん。負けを認めろ。さもないと俺はこいつを殺すぞ。」
鬼神はポーちゃんが負けを認めないと隊長さんを殺すと脅してくる。
「はい! 負けました! 認めます! だから隊長さんには手を出さないで!」
あっさりと負けを認めたポーちゃん。
「勝者! 鬼神!」
ゴッドカード・バトルは鬼神の勝ちだった。
「小学生のお嬢ちゃん。俺と戦いたければ残りの試合に勝って3枠のゴットカード・オリンピックの出場枠を手に入れるんだな。まあ、隊長が再起不能ならお嬢ちゃんにはどうしようもないだろうがな。」
そういうと鬼神は去って行った。
「歩兵さんたち! 直ぐに隊長を回収して!」
「おお!」
こうして身動きできない隊長は回収された。
「どうしよう? カゲカゲ。隊長さんが動かないの!?」
隊長は永い眠りについていた。
「鬼神から受けたダメージが大きすぎるんだ。もう手の施しようがない。」
影のペットもカゲカゲもお手上げだった。
「よし! 隊長に変わって俺たちが変わりばんこで試合に出るぞ!」
「おお!」
歩兵さんたちは気合十分だった。
「あれ? カゲカゲ。体の一部が光ってるわよ。」
「なに!? まさか!? これは!? 影の呪いが解けるというのか!?」
カゲカゲは本来の姿に戻ろうとしていた。
「隊長さんの鎧も剥がれていく!?」
そして影の鎧の中から光が溢れてくる。
「キャアアアアアアー!?」
光はポーちゃんを飲み込んだ。
「ポーちゃん。」
誰かが気絶していたポーちゃんに呼びかける。
「ポーちゃん。」
目を覚ますポーちゃん。
「隊長さん?」
声の主は隊長さんだった。
「おはよう。ポーちゃん。」
「隊長さん、無事だったの? 良かった。」
ポーちゃんは隊長が無事で喜ぶ。
「激しい戦いの衝撃で私にかかっていた人間の悪意の呪いが解けたみたいだ。」
「人間の悪意の呪い?」
「そう。私は呪われて影の剣士にされていたんだ。」
隊長は呪いにかかっていたので影の剣士になっていた。
「じゃあ、その光っている姿が本来の隊長さんなの?」
「ああ、そうだよ。私は光の騎士だ。」
そこまで聞いてポーちゃんの夢は終わった。
「それでは第2巡目の戦いを行います。続いてはポーちゃん対山本さん。どうぞバトル・ステージに上がってください。」
ポーちゃんの二試合目が始まる。
「やはり、隊長は再起不能か。」
壇上にはポーちゃんだけが上がった。その姿を見た鬼神は隊長はもう戦えないと思った。
「私の新しいゴットカードよ!」
ポーちゃんはデッキに新しいゴットカードをセットする。
「おお!」
隊長さんが復活した。
「なんだ!? あの眩い光は!?」
甦った隊長さんは目が痛くなるくらい光り輝いていた。
「隊長さん!? もう少し輝度を抑えて頂戴。目に悪いは。」
「すまんすまん。最初なので派手に登場した方がいいのかなっと思って。」
相変わらずのポーちゃんと隊長さん。
「隊長さんだと?」
「そうよ! 隊長さんは進化して、影の騎士から光の騎士にパワーアップしたのよ!」
「なんだと!?」
隊長さんは影から光へと生まれ変わったのだ。
「待ってなさい。鬼神。あなたとの決着はゴットカード・オリンピックで着けてやるから。」
「情けをかけたのが裏目に出たか。」
しかし鬼神は笑っていた。強い者と戦える喜びを味わっていたのだ。
「隊長さん。鬼神は後回しよ。」
「おお! 今は目の前の敵を全力で倒すのみだ!」
ポーちゃんと山本の戦いが始まる。
「ゴッドカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
山本のゴットカード。歩兵1枚。歩兵1000枚を合成したもの。
「俺を無視してよそ見してんじゃねえ!」
山本が無視されたのを怒って突撃してくる。山本のゴットカードは歩兵を1000枚引いて1000枚合成したものである。普通の歩兵より1000倍強い。
「隊長さん。あいつに勝てる?」
「勝てるさ。ポーちゃんのためなら。」
隊長は光の剣を構えて山本の歩兵に突進していく。
「あなたの悪意を切り裂きます! 勧善懲悪! ヒカリ斬り!」
ライト・ソードで歩兵を斬り抜く。
「ギャアアアアアアー!」
隊長は山本の歩兵レベル1000を倒した。
「やったー! 勝った! わ~い!」
ポーちゃんはゴットカード・バトルに勝利した。
「やったね。隊長。」
「おお!」
ポーちゃんと隊長にいつもの光景が戻ってきた。
「いいもの見せてもらったぜ。」
カゲカゲもピカピカか、ヒカヒカに改名した方がいいのだろうか?
「隊長! おかえりなさい!」
「やっぱり隊長がいないとね!」
「隊長! 俺たちは5人が丁度いいですよ!」
「隊長! 万歳! 万歳! 万々歳!」
「ワッハッハー!」
ポーちゃん陣営に笑顔が戻る。
「光の騎士か。まったく小学生のお嬢ちゃんには驚かされてばっかりだ。だが、兵ばかりの決勝リーグだ。簡単には勝てないだろう。精々頑張るんだなお嬢ちゃん。」
好敵手の登場を楽しんでいる鬼神。
「それでは第3巡目の試合を始めます。ポーちゃん対中村さん。どうぞ。」
「がんばるポー!」
ポーちゃんの決勝リーグ三試合目が始まる。
「私の騎士は合成10000倍だ! 勝てると思うなよ!」
山本さんは廃課金しまくってスカばかり引いた。
「そんなものは関係ない! 私の隊長さんは超超超レアだ!」
ただしポーちゃんがお兄ちゃんから盗んだカードです。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
山本のゴットカード。騎士10000枚合成が1枚。
ポーちゃんのゴットカード。光の騎士1枚。
「あなたの悪意を切り裂きます! 勧善懲悪! ヒカリ斬り!」
ライト・ソードで歩兵を斬り抜く。
「ギャアアアアアアー!」
山本の騎士を瞬殺した。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんは勝った。
「やったー! 勝った! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「相手が弱い訳じゃない!? 小学生のお嬢ちゃんが強いんだ!?」
鬼神はポーちゃんの強さに驚いた。
「厄介だな。光の騎士。でも私の敵ではない。クスッ。」
Cリーグを勝ち残った者は不敵に笑う。
「がんばるポー!」
ポーちゃんの戦いは続く。
「決勝リーグ4巡目! ポーちゃん対小林さんです!」
ポーちゃんのゴットカード・オリンピック出場をかけた戦いが続く。
「負けないんだからね! 私の重装兵は10万枚合成して超頑丈なんだからね!」
小林さんは石油王なので廃課金しまくって重装兵を10万枚も合成した。
「がんばるポー!」
そんなことはポーちゃんはお構いなしである。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
小林さんのゴットカード。重装兵1枚。
ポーちゃんのゴットカード。隊長さん1枚。
エクスキューズ・ミー。
再び俺。
「こんにちわ。ポーちゃんの兄の築だよ。」
シナリオ構成に困った時に現れるポーちゃんのお兄ちゃん。
「このままだと、隊長さんの必殺技のシーンから敵の名前を変えただけの繰り返しになっちゃうんだよね。どうしよう?」
ゲームやアニメなら、それでもいいのかなっと思うけど、小説でアンパンの顔を食べさせるとか、お腹のポケットから道具を出すとか、コピーして貼り付けばっかりの文字だと大問題なのだ。
「ということで、間は割愛しよう。」
結論が出た。
「またね。さよなら。さよなら。」
築は消えていく。
「でやあ! たあ! とう!」
ポーちゃんは隊長さんと協力しながら相手を倒し、7勝1敗で最終戦までやってきた。1敗は鬼神に負けたものである。
「ゴットカード・オリンピックの出場第1号は・・・・・・鬼神さんです!」
「おお!」
鬼神はゴットカード・オリンピック出場を全勝で決めた。
「それでは最終戦を行います。ポーちゃん対妖王さん。お願いします。」
「がんばるポー!」
ポーちゃんは気合十分。
「妖王?」
「その通り。私は悪意の秘密結社マリシャスの大幹部の一人部長の妖王だ。覚悟しろ! ポーちゃん!」
妖怪王はダサいと思ったのでオシャレに妖王にしてみた。
「あれ? ゴットカード・オリンピックの出場枠が3枠で、鬼神が全勝優勝。妖王が8連勝中。私が鬼神に1敗して7連勝中。ということは・・・・・・実質的には私もゴットカード・オリンピックの出場枠を手に入れたってことよね。」
数通りを計算するとポーちゃんはゴットカード・オリンピックの出場枠を手に入れた。
「やったー! ゴットカード・オリンピックに出場だ! わ~い!」
ポーちゃんは大いに喜んだ。
「これで銀行強盗さんの娘さんの手術代もゲットだわ!」
オリンピックの出場の副賞が1億円でこれでポーちゃんは銀行強盗さんとの約束を果たした。
「こらー! ちょっッと待てい! 妖怪王の俺が話していたのに無視してカットインしてんじゃねえぞ!?」
妖王はバカにされて機嫌が悪かった。
「あ、忘れてた。幼女故の過ちだポー。」
困った時は小学生に戻るポーちゃん。
「幼女なんて、この妖王の俺が倒してくれるわ!」
「良い子は負けない! がんばるポー!」
気合十分のポーちゃん。
「ゴットカード・ファイト!」
ゴットカード・バトルが始まる。
妖王のゴットカード。妖王のアバター妖王1枚。
ポーちゃんのゴットカード。隊長さん1枚。
「もう銀行強盗さんの娘さんの手術代も手に入れたし、負けても悔いはないわ! 思いっきりやっちゃって! 隊長さん!」
「おお!」
ポーちゃんは約束を果たせて気が楽になっている。
「俺を簡単に倒せると思うなよ! 俺には3人の部下がいる!」
「いや、だから決勝リーグは公平に1対1で戦うんだから、仲間を召喚するとか言いださないでよ。」
「すいません・・・・・・なんでやねん!」
妖王はノリッツコミができる。
「俺は妖王だぞ! 正々堂々もヘチマもないのだ! 勝てばいいのだよ! 勝てば! いでよ! 猪八戒!」
妖王は猪八戒を召喚した。
「豚さんだ! わ~い! 美味しそう!」
「え・・・・・・・。」
ポーちゃんにとって猪八戒は豚でしかなかった。
「隊長さん! 焼き豚にしてちょうだい!」
「おお!」
隊長さんはライト・ソードの火力をアップさせる。
「くらえ! 豚野郎! ヒカリの丸焼き! ライト・バーン!」
隊長は猪八戒に斬りかかる。
「ギャアアアアアアー! やられた!」
猪八戒は豚の丸焼きになった。
「美味しい! アハッ!」
それを美味しく食べるポーちゃんであった。
「クソッ! 今度は沙悟浄だ!」
妖王は沙悟浄を呼び出す。
「あ! カッパさんだ!」
ポーちゃんには沙悟浄は河童にしか見えなかった。
「隊長さん! 河童さんの頭のお皿で鉄板焼きするから捕まえて!」
「おお!」
隊長は沙悟浄に斬りかかる。
「くらえ! 河童巻き! ヒカリのスライス斬り!」
隊長は河童の頭からお皿を切り離した。
「熱光線だ!」
隊長は光の火力でお皿をアツアツにする。
「美味しい! アハッ!」
河童のお皿で豚を焼くポーちゃんであった。
「クソッ!? なめやがって!? だがな最後の孫悟空だけは一味違うぞ! なんてったって強さが時限違いだからな! 覚悟しろよ! 幼女め!」
妖王は孫悟空を召喚した。
「あ! お猿さんだ!」
ポーちゃんには孫悟空はただの猿であった。
「ウッキッキ!」
猿真似をする孫悟空。
「オッス! オラ! 孫悟空! おまえがポーちゃんかワクワクすんぞ!」
孫悟空。明らかに西遊記の孫悟空をパクっている・・・・・・いや、リスペクトしている。だから誰でも使っても問題がないだろう。もしも問題があるのなら竜の7つ球も売れたから許されるのではなく、裁かれなければいけない。ということでセーフなのだろう。
「隊長さん! 私! 猿の脳みそが飲みたい!」
「おお!」
ポーちゃんの言うことには絶対服従の隊長。
「くらえ! ヒカリの猿の脳みそ斬り!」
隊長さんは猿の頭を斬った。
「ギャアアアアアアー! まだかめはめ波も如意棒も筋斗雲も使ってないのに!? オラ、スーパー野菜マンにもなってないのに!?」
孫悟空は倒された。
「ちゅるちゅる! 美味しい!」
ポーちゃんは初めて猿の脳みそを飲んでみた。
「さあ! 後はあなただけよ! 妖怪王!」
「違う! 私は妖王だ! 小娘め!」
「違うもん! 私はポーちゃん!」
「ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌっ!」
いがみ合うポーちゃんと妖王は似た者同士だった。
「隊長さん! 光の騎士の力を見せつけてやりなさい!」
「おお!」
隊長さんは神々しく光輝く。
「妖怪の頂点に立つ俺の恐ろしさを教えてやる!」
妖王は膨大な妖気を醸し出している。正に犬と猫の戦い。犬猿の仲だ。
「くらえ! 妖王破!」
妖王は妖気をエネルギーにしてエネルギー破を放つ。
「ポーちゃんの光の前に敵はない!」
妖王破を光の剣で切り裂いていく隊長さん。
「これで終わりだ! くらえ! 輝く光はおまえなんかには負けない! ヒカリ斬り!」
隊長さんは妖王に斬りかかる。
「ギャアアアアアアー!」
妖王は倒された。
「なんちゃって。アハッ! そんな簡単に俺が倒される訳がないだろうが! これでも悪意の秘密結社マリシャスの大幹部なのだ! ワッハッハー!」
かに見えたが、光をかわしていた。
「おい、妖王。」
そこに鬼神が声をかけてくる。
「ポーちゃんを甘く見ていると痛い目に合うぞ。」
「はあ? たかが子供に何ができるって言うんだよ。ワッハッハー!」
妖王は鬼神のアドバイスを軽く聞き流す。
「かわされるならかわせなくすればいい。全て光らせればいいのよ。」
ポーちゃんは妖王が相手でも全力を尽くす。
「え? ええ~!?」
妖王は空を見上げた。巨大な光が妖王を包み込む。
「ポーちゃんの光の王国! ライト・ワールド・キングダム!」
視界全てが光なのである。まさに光の世界。光の王国である。
「ギャアアアアアアー!」
逃げ場がない妖王は光に呑み込まれた。
「勝者! ポーちゃん!」
ポーちゃんは戦いに勝った。
「やったー! 勝った! わ~い!」
大喜びのポーちゃん。
「ナイス・ファイト!」
カゲカゲもポーちゃんの勝利にご満悦だ。
「今度はゴットカード・オリンピックで会おう。」
そう言い残すと鬼神は去って行った。
「ゴットカード・オリンピックに出れるぞ!」
ポーちゃんはゴットカード・オリンピックの出場権を手に入れた。
「これも隊長さんと歩兵さんたちのおかげだね。ありがとう。」
「何を言うんだ。ポーちゃん。我々こそ良い君主に恵まれたのだ。こちらこそありがとう。」
感謝の気持ちが世界を平和にする。
「ポーちゃん、ありがとう。」
「そうだ。ポーちゃんがいてくれたから勝てたのだ。」
「純粋な心は力だ。」
「ポーちゃん! 万歳! 万歳! 万々歳!」
「アハハハハー!」
今までの戦いの苦労が忘れ去られていき和やかなムードが漂う。
「ポーちゃんはみんなに出会えて本当に良かったよ。」
思いを心に噛み締めるポーちゃんであった。
「ありがとうございます。」
後日、刑務所の留置所に面会に来たポーちゃん。
「娘さんの手術は無事に終わりましたよ。安心して服役してください。」
銀行強盗さんの娘さんの手術ができたことを伝えに来たのだった。
「私は約束は必ず守ります。アハッ!」
ポーちゃんは有言実行の女であった。
「ああ~! 風が気持ちいい!」
面会を終えたポーちゃんは清々しい気持ちで帰路にたった。
「まさか!? 妖王が負けるとは!?」
悪意の秘密結社マリシャスでは大幹部の一人、妖怪王の妖王が小学一年生の女の子に負けたことが話題になっていた。
「でも、しっかりとゴットカード・オリンピックの出場権は獲得しているからさすがだよ。」
「んだな。」
妖王は最低限の仕事は果たした。
「それにしても子供に負けるとは妖王は情けないな。」
ゴットカード・オリンピックのヨーロッパ代表の座を獲得した魔王。
「まったくだ。マリシャスの大幹部の名前が泣くぜ。」
ゴットカード・オリンピックのアメリカ代表の魔神。
「うるさい! 油断しただけだ! オリンピックの出場権は獲得したんだからいいだろうが!」
ゴットカード・オリンピックの日本代表の妖王。
「子供だと思ってなめてかかるからだ。」
ゴットカード・オリンピックの日本代表の鬼神。
「はあ~、今度の取締役会が嫌だな。」
会長の人間に怒られそうなので連帯責任が辛い中間管理職の部長たちであった。
久々の俺。
「ポーちゃんのお兄ちゃんの築お兄ちゃんだよ。」
NHKの歌のお兄さん並みのクオリティー。
「ゴットカード・オリンピックの予選が終わったので今後の展開を考えよう。アハッ!」
笑って誤魔化す兄の築。
「後はオリンピックが始まって、ポーちゃんが悪意の秘密結社マリシャスを倒すという定番。それか間にロナ・ウイルスが発生してゴットカード・オリンピックが行われない可能性が生まれる。我らがポーちゃんがオリンピック開催のためにロナ・ウイルスと戦うか。」
ここ一年の作品にはウイルスが登場するのはお約束である。
「やはりストーリーものはストーリーがある間は盛り上がるが、ストーリーが終わると連載終了になってしまうので困りもの。」
日常モノの方がいいのだろう。つまらなくも永遠に続けられるから。
「だが物語ベースだと普通だが、その物語をカードベースにすることは面白いかもしれない。何かに困ればカードを引けば物語が動かせるのだから。カードが増えれば登場人物も増えるので物語に困ることはない。」
ドラえもんの秘密道具。アンパンマンの新しい登場キャラクターみたいなものだ。クレヨンしんちゃんやサザエさんの日常ネタ。言ってしまえば、その作品が良いのではなくスポンサーとテレビ局がついているという所が良い。長く続いている最大の要因である。しかもみんな子供向け。
「逆に最近売れてる残酷ものは毀滅、進撃などしかり、ストーリーモノなので終わってる。どちらも途中で見無くても良いのだ。ということは1話完結で途中からでも見れるスタイルは素晴らしい。あと内容が安心ならPTAから苦情も来ないし、親御さんも安心して見せることができる。」
ゴットカード。ペースが速いからなのか、ネタが尽きたのか、同じことの繰り返しに飽きたのか、朝起きて目が覚めると次が湧いてこない。無念。ということは次が湧いてこない時でも続けられる作品の内容構成にしなければいけない。それが上記に上げた様な作品たちだということなのだろう。飽きているが続くという作品たち。
「考えろ! 考えろ! 何か方法があるはずだ! ピッタリと筋が通った物語ができるはずだ! 考えろ!」
おれが兄として妹のポーちゃんにしてやれることはこんなことぐらいだ。
「メインストーリーをゴットカード・オリンピック。サブストーリーをロナ・ウイルス。キャラクターストーリーで好き勝手?」
概要はこんな感じ。
「スカッと爽快な1話完結の物語を考えよう。」
毎回、変わるのは人間の悪意でいいだろう。スカッとなんかが続いているのは、世の中にストレスをためている人が多く、世の中に暴力、陰口、いじめ、パワハラ、セクハラなどをする変な人、悪意な人、悪い人が多いのだろう。
「この世は悪意で満ち溢れている。」
ああ~、こうやって話を進めずに創作できるのも1日5000字として、今二日分の貯えがある。余裕があると真面目に考えようとできる。まあ、しない方が良いということもあるが。
「それでは1話のプロットを考えよう。」
字余り。
「ポー、ポー、ポー、ポーちゃん。」
アホな小学1年生のポーちゃんが楽しそうに歌を歌いながら道を歩いている。
「どけー! どかないと引き殺すぞ!」
宅配のウーバーさんがポーちゃんの横を自転車で猛スピードで通り抜けていく。
「キャアアアアアアー!?」
ポーちゃん危機一髪。
「許さいポー!」
ポーちゃんの怒りが頂点に達する。
「ストップ。」
ポーちゃんの兄が現れて物語を止める。
「これで何かをするとタイトルが「サイキック小学生ポーちゃん」になってしまう。」
その方が面白いかも。
「結局、アニメや漫画の売り上げより、ゲームの課金よりも、カードの売り上げの方が高い。」
なんとかしてカードを売れる作品を創造したい。結局はスポンサーが食いつきやすい作品を目指さないといけない。週刊誌でいうと出版社がついている。アニメでいうとスポンサーがついている。だからアイドルモノとか人気声優を使っておけば楽に儲かる作品ばかり世に出てくる。
「サイキック小学生ポーちゃんはゴットカードでイカサマ・バトル。」
たどり着いた結論だ。
「イカサマで敵を倒しスカッと爽快、コカ・コーラ。」
つぎの無双もイカサマ無双でいいや。
「俺の妹の名前はポーちゃん。小学一年生の6才。しかしポーちゃんはただの小学生ではありませんでした。ポーちゃんは超能力者だったのです。」
完璧! 奥様は魔女の置き換え!
「世界に邪悪が蔓延る時、ポーちゃんが現れて邪悪と戦い兄の俺と共に世界を守る。」
完璧! 聖闘士星矢の置き換え!
「ところどころに俺が入って美味しい所を貰うんだ。」
兄無双! これもポーちゃんが超能力者サイキッカーだから。
「兄の恋路もポーちゃんがサポート!」
恋愛無双! これもポーちゃんが超能力者サイキッカーだから。
「美味しいものがいくらでも手に入り食べれる!」
グルメ無双! これもポーちゃんが超能力者サイキッカーだから。
「ああ~。辻褄が合うと怖いな。順調すぎて。ワッハッハー!」
自分の才能が怖い兄の築。
「この混沌を乗り越えれば、スカッと爽快な勧善懲悪だ! アハッ!」
本当にスムーズ過ぎて怖い。
「ゴットカードで勝負よ!」
ポーちゃんがサイキックでウーバーの宅配員を捕まえる。そしてなぜかゴットカード・バトルをすることになる強引? お約束の展開。
「要するにただのゴットカード・バトルではなく、今までなかったのは俺の妹のポーちゃんは超能力が使えるということだ。」
超能力をイカサマと表現している。う~ん。文学的。
「俺の妹はゴットカード・バトルでも超能力を使う? う~ん。使わなくてもいいような。それよりも知能戦かな? いや! イカサマで普通の歩兵をレア、超レアカードに変えるのだ!」
なんかイカサマって、夢と希望というよりも作者の都合だな。
「超能力があれば何でもできる! いくぞ! 1! 2! 3! ポー!」
完璧! アントニオ猪木の置き換え!
「置き換えは悪ではなく、一般大衆に危機馴染みがあるといえば多くの人々に受け入れられているので良いのだろう。」
だからヒット作も模倣される。
「後はカードの細かい設定とポーちゃんにお友達が必要だ。小学一年生の妹の彼氏も。」
そして、もちろん俺の高校一年生の16才の俺の彼女も。10代に結婚相手を見つけていないと幸せな結婚はできない。20歳を過ぎようものなら「好き」ではなく「お金」で嫌いな相手とも結婚する。それが人間である。悲しいね。
「どちらも細かく一から設定する必要がある。」
急ぎ過ぎて鬼神だの、妖怪王だのを出すからインフレし過ぎて終わっちゃう。まるで七つの竜玉。
「もっと簡単で単純な物語にしなければいけない。」
ああ~。七つの竜玉を集める話でもいいのか。置き換えて七つのナメクジボールを集めて、巨大なナメクジを呼び出したら何でも願い事が叶うとか。なんかの実を食ったら超能力者になるとか。いや、超能力者はポーちゃん一人でいい。
「将来はみんな、ニュータイプだ。」
最終的にはサイキック=ニュータイプ戦争。それをゴットカード・バトルで行う。筋書きができてきた。ポーちゃんのお友達もサイキック戦士に進化して無双するのだ。そして悪を倒すのだ。
「あはん。子供向けの小学生頼り・・・・・・。」
大人って悲しいね。頼れるのは子供ウケからの親にカードを売りつけるしかない。それが最強なトレンドだ。
「4つのお題で1つの作品を作ればいいんだ。」
日が変わり新しい発想が思い浮かぶ。以前も浮かんだが実行はしなかった。
「やってみよう!」
今回は明日の分も終わっているので考える? 創作する余裕がある。
「お兄ちゃん!」
「俺はお兄ちゃんじゃない! 師匠と呼びなさい!」
「はい! 師匠!」
これで兄と妹の師弟関係が完成。
(ピイーン! この感覚は!?)
ポーちゃんの心がざわつき何かを感じる。
「お兄ちゃんをいじめるなー! 吹き飛んじゃえー!」
なぜかいじめられている俺。これで俺の妹は超能力を隠し持っている。お題は日常が延々と続けるためには無難。
「ポーちゃんは正義の味方だ!」
スカッと爽やか! 勧善懲悪! なんたって超能力が使えれば悪は全部倒せますからな。ワッハッハー!
「くらえ! サイコキネシス!」
そりゃあ、超能力が使えれば無双できますわな。
「できた!」
僅か400字程度で完成。うん。完成度が高い。スムーズ過ぎて怖いわ。全てに当てはまる設定。
「ポーちゃんの家族。それにお友達か。」
弱いのは家族構成ではない。弱いのは名前付けだ。ただそれだけだ。
「ポーちゃんの本名は佐藤ポン子。・・・・・・でいいや。」
じゃあ、兄の俺はポンタ? 人気作になったら蒼コンビニとアウがタイアップ独占させろって言ってきそうだ。もちろん赤いコンビニと緑のコンビニにも売りつけた方が儲かる。
「はあっ!? ポーちゃんの正体はタヌキだったのか!?」
なんか2時間のアニメ映画を作っているような感じだな。既存のアニメ映画作品の似たり寄ったりなこと。
「そうするとポーちゃんが超能力が使えることは不思議ではない。」
辻褄が合うのが怖い。
「宇宙人にしよう。地球を侵略しに来た宇宙人。」
ポーちゃんはスーパー野菜人にしよう。だが赤ん坊になって人間として生まれないといけないので、お母さんの体内に侵入した。
「ポー、ポー、ポー、ポーちゃん!」
そして宇宙人が6才の小学一年生に成長したのがポーちゃん。
「地球大好き!」
すっかりポーちゃんは地球を侵略することを忘れていた。
「ポーちゃん、将来の夢は何かな?」
優しいポーちゃんのお父さんとお母さん。
「海賊王!」
ポーちゃん、ワンピースの見過ぎ。
「すごいね! ポーちゃん!」
子供に大ウケする両親。
「ポーちゃん、腕を伸ばせるもん。」
「アッハッハッハ!」
「本当だもん! ポーちゃん超能力が使えるもん! ポー、ポー、ポー!」
難しい詠唱は要らない。だって子供だもの。
「ええー!?」
ポーちゃんの腕が伸びた。
「スゴイ! お金になるぞ!」
「違うでしょ!? こんな事が世間に知れたら、ポーちゃんが炎上しちゃうわ! 村八分よ!」
両親は大慌て。
「炎上? 村八分?」
子供のポーちゃんには何のことか分からない。
「殺されちゃうのよ!」
「ギャアアアアアアー!」
狂喜乱舞するポーちゃん。
「いい? ポーちゃん。ポーちゃんが超能力が使えることは秘密よ。誰にも知られてはダメよ。」
「うん。」
こうしてポーちゃんが超能力が使えることはお兄ちゃんにも知らされていないので、家族で知らないのは俺だけになった。
「まさに名探偵コナンの女の子版! 完璧な書き出しだわ。このまま使っても差しさわりの無いぐらいだわ。」
後、考えることはポーちゃんのお友達。ここも弱い所。お友達を考えるのが弱いのではない、名前を考えるのが面倒臭いのである。名字は名字ランキング。名前は名前あいうえお順で一文字でいいや。法則を決めると楽だ。
「となると、ポーちゃんの名前が佐藤ポン子ではいけないのでは!?」
法則に乗っとると佐藤灯? 茜? 明子? それでは面白くない。やっぱり佐藤ポン子か・・・・・・。兄の名前はなんだ? 既定路線は佐藤築。それを佐藤ポン太にするか? 愛媛県からポンジュースがたくさん送られてきそうだ。ありがたや。
「ポーちゃん無双過ぎて、友達の名前とゴットカードを忘れてる。」
とりあえずお友達の名前を作ってみよう。
鈴木蒼
高橋泉
田中海
伊藤縁
渡辺朧
山本楓
中村築
小林空
加藤惠
「本当に名前を決めるのが面倒臭い。ダメだ。才能がない。」
まあ、変わった名前は難しいということですな。売れっ子作家さんでも登場人物の名前は適当だからな。もっと楽しよう。例えば織田信長。そのまんま。それか織田信男。豊臣秀男。徳川家男。もうこれでいいやん。
「特に敵やね。」
地球を侵略しにくる宇宙人の名前を決めるのも面倒臭いから、権利問題が問題にならない織田信長、曹操、クレオパトラ、アルカイダとかにしよう。
「え・・・・・・ゴットカードって宇宙人バトルだったの。」
まさにウルトラマンと宇宙怪獣やね。
「悪い人間を倒す物語がゴットカード。」
ドンドン話が逸れていくな。
「最後は小学一年生の6才のポーちゃんが無双する物語。」
のはず。
「ハアッ!? 人の悪意は宇宙人の仕業だったのか!?」
方向性に宇宙人が混ざると新しいアイデアが次々と浮かぶな。
「人類と宇宙人の戦いが始まる!」
ポーちゃん対宇宙人、悪魔、天使、神、ロボット、ウイルスの連合軍!
「おお! 宇宙人に設定すれば、セーラームーンも聖闘士星矢も使える!」
惑星宇宙人。星座宇宙人。
「ナサやジャクサとタイアップ決定や。ウインウインの関係やで!」
どうせ文部科学省や農林水産省は後からついてくる。
「小学生最強伝説!」
「世紀末小学生救世主伝説!」
どっちも完璧! 北斗の拳の置き換え。
「世間に受け入れられたものはリスペクトしてガンガン使おう。それがヒット作への近道だ。」
もう抵抗せずに使おう。敢えて言おう。パクリではない。リスペクトだと。認めなければ問題にならないのがアニメ業界の暗黙のルールだ。
「友達の名前もできた。後はゴットカードを細かくして、どう売りつけるかだ!」
きっと主人公のポーちゃんの設定を子供にすれば子供は無条件で共感してくれる。それこそアンパンマンみたいな勧善懲悪。子供が親にせがんで、どれだけゴットカードを売りつけることができるかだ!
「ジャンルが人間、宇宙人、悪魔、天使、神、モンスター、ロボット、ウイルスとか。」
色々あって楽しいな。何でもありは遊戯王と同じだ。ポーちゃんとお友達はもちろん人間。他はなんだ? 人間を操ろうとする者?
「後はモードの問題だ。なんか前も考えた様な気がする。ひたすらバトルだ!」
つまらんスクエニの新作は速攻アンインストール。つまらんストーリーを垂れ流すより戦って戦って経験値上げてレベルアップだけの方が面白いのは目に見えている。
「細かいストーリーモードと対戦モード。」
対戦は自分のゴットカードを強くすればいいだけ。ん? カードを強くするシステムが一番の問題か。勝つ。負けはあれだから戦闘回数。負けても強くなれる。
「歩兵レベル100解放!」
みたいな? 自分の好きな初期の職業を選択できる。というかゴットカードを買ってね。あはん。そうか、初期の職業を考える必要がないんだ。
「運。全ては運次第だ。」
好きなカードを使いたければ課金しろ! 親のクレジットカードで買いまくれ! 自己責任だ!
「ということは、あとは戦って強くなれ!」
1戦戦うごとに1ステータスポイントをプレゼントでもいいな。戦いに勝ったらもう1ポイントをプレゼント。結構平等だ。進化はカードを重ねることにしよう。上限100だとユーチューバーの課金さんが初日で達成してしまうので、上限を1億にしておこう。レベルアップは10試合で1レベル上がるにしよう。簡単でシンプル。
「この時点で無差別は無理。」
レベル1とレベル1億では戦えねえ。対戦相手は近いレベル同士で戦うべきだ。後はオリンピック、リーグ戦、トーナメントなどのイベントだな。
「後はストーリーモードのストーリーを考えよう。」
異世界ファンタジー風? それとも現代ファンタジー風? まあ、どちらにせよ、悪い奴を倒すんだ。逆にポーちゃんちゃんが悪者という奥の手もある。例えるとバイキンマンが主役でアンパンマンが悪者パターン。どれだけ悪いことをしても、お友達が正しく解決してくれる的な。でも、勧善懲悪だからポーちゃんは正義。ということは2番手の鈴木蒼に悪役をやらせて、それをポーちゃんが解決するにしよう。
「恋愛?」
3番手が高橋泉だからポーちゃんの恋敵。
「親友は裏切りの始まり?」
4番手が田中海だからポーちゃんのお友達だが、蒼が好きでポーちゃんを殺して蒼を奪おうとする女狐。
「・・・・・・とても小学生設定には見えませんな。」
まさに昼ドラ! 目指すのは小学生の昼ドラ。
「そこにポーちゃんを支えてくれるあしなが小学生。」
5番手が伊藤縁だからさりげなくポーちゃんを助けてくれるが、蒼ラブなポちーゃんには気づいてもらえない可哀そうな男。
「1話1人ずつだな。」
大量に生産するとしんどい。
「ああ~第1話の敵が鈴木蒼。第2話が高橋泉。こういう流れね。」
若しくは対戦相手の流れか。
「朝起きて、ポーちゃんはお父さんとお母さんともゴットカード・バトル。お兄ちゃんのポン太ともゴットカード・バトル。」
ポーちゃんはタヌキではありません。ポーちゃんは宇宙人だったのです。
「これだけの情報量で作り出すゴットカードの世界。」
ポーちゃんはイカサマ無双だから最初に雑魚カードを引いても、超能力で良いカードに変える。
「悪い課金者も倒せます。アハッ!」
努力? 根性? いいえ。ポーちゃんは超能力で強くなれます。完全な注意事項だわ。
「この世は正にゴットカード時代! 全ての物事はゴットカードが決める!」
ワンピースの置き換えだね。アハッ!
「イベントは平等に。」
所持できるカードは1枚? 全員レベル1から。カードの課金はしたい放題。あとはプレイヤーのカードの育成次第。それと運。優勝者には貴重なレアカードか、レアアイテムがもらえる。カードの入れ替えはあくまで課金さんが有利ではある。
「後は何だろう?」
敵さんの名前・・・・・・やりたくない。面倒臭い。
「これも何らかの法則を考えよう。」
宇宙の帝王フリーザ。要するにバードマウンテン明も名前の付け方は適当。宇宙の帝王が冷蔵庫でいいんだもん。要は名前はお飾りだ! 識別だけできればいいのだ!
「楽しよう。楽する!」
魔王の名前は竜王だから、ドラゴン・キングにしよう。これだけ作品の多い時代だ。キャラクターネームが被ることはよくあることだ。
「考えるな! リスペクトしろ!」
パクリではない。リスペクトだ! よくある宇宙戦艦ヤマトがトマトになったり、宇宙怪獣ゴジラがガジラになったり、既に売れてる作家さんもパクリ・・・・・・いや、リスペクトばっかりじゃないか!」
有名作家さんが罰せられないんだ! 素人作家なんか無罪確定だ!
「ストーリーの第1弾は竜の冒険1にしよう。どれだけリスペクトできるかどうかだ。」
決してパクリではない。そうだ! これならどんなアニメやゲームでも超コラボしやすいじゃないか! リスペクト完璧! ワッハッハー!
「あと1600字。もう書けない。怖くて考えられない。」
ポーちゃんは宇宙人でいくのか? どうする? もう文字数も無いから最初だけ考えて終わろう。今回も良く考えた。これを書き終えれば明日の分も終了。安心して眠れる。zzz。
「違う!? まだ寝るのは早い!」
あと1500文字。
「まずポーちゃんが目を覚ます。そして二度寝する。お母さんとゴットカード・バトル。お母さんの勝ち。ポーちゃんはたたき起こされる。次に食卓で勉強のことを言われてお父さんとゴットカード・バトル。お父さんの勝ち。次にアホの兄のポン太とゴットカード・バトル・・・・・・はしない。相手にするだけ無駄だから。」
俺、可哀そう。これでポーちゃんの家族構成は終わった。
「しまった!? 家族と友達は抑えたが、学校の先生を抑えるの忘れてたぜ!」
竜王をもじって竜玉先生にしよう。スムーズなメインストーリーの入り方だ。教師イコール悪。教師の数だけ物語ができるな。おお~、スムーズだ。とうことは校長先生なんかは悪の黒幕ショッカーの首領イカデビル?
「要するにスキップされるようなストーリーではなく、ひたすら戦い戦いカードバトルの方が良いだろう。それにミニストーリーを枝のようにつければいいんだ。」
最強になろう。
「あとは何が抜けているんだろう?」
分からない。でも残り1000字で何ができるだろうか? でも600字の間で教師問題が片付いた。きっと残り少ない命でも何かできるはずだ。
「何か悪いことが起こる。でもポーちゃんがゴットカードで戦い悪を倒す。」
なら次を考えよう。
「第2の先生は・・・・・・邪神ドシー! 紋章を集めてロンダルキアの入り口をこじ開けよう! だから皇居の入り口をこじ開けよう! に置き換えるのかな。アハッ!」
竜の大冒険2できた。本当にリスペクトで良ければまったくシナリオに困らないな。
「流れ剣士も、毀滅もシナリオ構成は同じ。結局は戦って戦って戦い抜くだけ。」
どうして戦闘モノだけで人気が出るんだろう。オシャレワンピースも7つ竜玉も戦い。う~ん。分かりやすいからかな。単純で。
「強ければ生き、弱ければ死ぬ。」
流れ剣士じゃないな。幽霊白書だったかな? ヒエン、黒龍破! まるで烏龍茶みたいな響き。
「あかん! 残り文字数が700字でビビって話が進まない。サクッと文字数分を埋めてしまわなければ。」
万引き犯とゴットカード・バトル! ひき逃げ犯とゴットカード・バトル! 食い逃げ犯とゴットカード・バトル! 銀行強盗犯とゴットカード・バトル! 暴行犯とゴットカード・バトル! 障害犯とゴットカード・バトル! 殺人犯とゴットカード・バトル! 未遂犯とゴットカード・バトル! 模倣犯とゴットカード・バトル! ・・・・・・これではネタが尽きてしまう。
「宇宙人ペガサスとゴットカード・バトル! セーラ月とゴットカード・バトル! 土星とゴットカード・バトル! 水星とゴットカード・バトル! 火星とゴットカード・バトル! いて座とゴットカード・バトル! 双子座とゴットカード・バトル!」
こんな感じなら無限にゴットカードを作成できる。本家の遊戯女王もショベルかーをカードにしていた。なら僕はブルドーザーをゴットカードにします!
「何でもありなのがゴットカード。」
りんごともゴットカード・バトル! ミカンともゴットカード・バトル! メロンともゴットカード・バトル! アリさんともゴットカード・バトル! 鶯ともゴットカード・バトル! プリウスともゴットカード・バトル! ジャイアントコーンともゴットカード・バトル!」
敵になり、アイテムになり、武器になるのがゴットカードだ。
「ポーちゃんの記念すべき最初のゴットカードは・・・・・・金色ネズミのハムチュウにしよう。ハムハム! 言ってもらおう。しかし弱いのでポーちゃんが超能力で超レアカードに変えてしまった。」
ポーちゃんは超能力で好きな機能をゴットカードに装備させることができる。そういう観点からしてもポーちゃんは最強なのだ。最強の小学一年生現れる!
「がんばるポー!」
これで締めの50000字は言っただろう。
終わる。
ゴットカード 渋谷かな @yahoogle
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