第41話
「お前、今日も朝早く起きたのか? 最近毎日早く起きてるんだな。それか夜更かしでもしたか?」
月曜日の朝、教室の自分の席で頬杖をつきながら欠伸をする俺を見て、翔琉はそう聞いてくる。
「いや、今日は寝てない」
「なんでまた」
「なんか気づいたら夜中になってて、そろそろ寝ようと思ってベッドに横になったんだけど中々寝れなくて気づいたら朝になってた」
それは勿論嘘だ。
本当は小春の寝顔が可愛すぎて眠れなかった。それと小春とあんな至近距離に居て眠れるわけがない。
だけどそれは翔琉には言えない。
翔琉は俺と小春が付き合っていることは知っているが、俺と小春が同棲していることは知らない。
結局小春と手を繋いだ後、小春は直ぐに眠りについた。
勿論眠っている小春に変な事はしていない。
「なんだよそれ。どうせ一之瀬さんと夜遅くまで連絡し合ってたんだろ?」
「そんなんじゃねぇよ。それに小春はそんな夜遅くまで起きていられないし」
「なんだよ、一之瀬さんの事結構知ってるんだな。まぁ、一之瀬さんくらい可愛ければ色々知りたくなるのも分からなくもないが」
「お前には奈那子さんが居るだろ」
翔琉だって小春に負けないくらい美少女の彼女、奈那子さんが居る。
「お前こそ毎日夜遅くまで奈那子さんと連絡してるんじゃないのか? 目の下にくまあるの気づいてるからな」
「あ、ばれた? まぁ連絡じゃなくて通話だけどな。奈那子ちゃんの声めちゃくちゃ癒されるんだよ。それに好きな人と話していると時間忘れるし」
俺も一度は可愛い彼女と夜遅くまで通話をして、時間を忘れてみたいもんだ。
同棲しているからそれはできないけど、逆に同棲しているから毎日同じ空間で眠れるし、お互いの事を更に知れる。
お互いの信頼関係を強くすることができる。
「ねぇ、悠斗くん、篠原くん」
俺と翔琉が話をしていると、横から小春が話に入ってきた。
「どうかしたの?」
「今日のお昼休み、奈那子先輩も一緒に皆でご飯食べない? 奈那子先輩にはもう連絡してオッケー貰ってるの」
小春はそう言ってスマホに写されている奈那子先輩との会話を見せる。
「俺は勿論良いよ。悠斗も良いよな?」
「うん。俺も良いよ。場所は前と一緒?」
「うん。文芸部が使っていた部屋だよ」
「文芸部が使ってた部屋?」
俺が初めて学校で小春と二人っきりでお弁当を食べた時に、誰にも見つからないようにと使ったのが、文芸部の部室だ。
「うん。去年までは文芸部の先輩たちが使ってた部室らしいんだけどね、去年卒業した先輩が居なくなってからは文芸部の部員は一人もいなくて、今は誰も使ってない部屋になってるらしいの」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ昼休みはそこに行けばいいんだな」
「うん。奈那子先輩にも場所は伝えてあるから、連絡はしなくても良いよ」
「了解。と言っても俺その部屋分からないから悠斗、休み時間になったら案内してくれ」
「皆で行けば良いだろ」
「そう言われればそうだな。じゃあ昼休みになったら皆で行こう」
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