第40話
「えへへ…………悠斗くんとくっ付いてるからあったかいね」
夜の十一時。
薄暗い自室で俺は小春と一緒の布団に入っている。
「うん。あったかい」
小春が俺の家にやってきた日に、小春に寝る場所を聞くと俺と添い寝をしたいと言った。けれど俺の使っているベッドは二人で寝るには小さすぎて無理だった。
けれど敷布団にしてしまえば落ちることはない。
「悠斗くん、さっきはごめんなさい。急に変な事言って……」
「別に良いよ。もう過ぎたことは気にしないで」
そう言っているが、流石に小春が自分の事を好きにしていいって言ってきた時は驚いて
小春の言っていることの理解ができなかった。
まさか小春があんな事を言うとは思ってもいなかった。
小春は今まで大変な思いをしてきたし、寂しい思いもしてきた。悲しい思いもしてきたはずだ。
だから俺は小春のお願いをできるだけ聞いたり、小春の喜んでくれることを積極的にやってきたつもりだ。
別に小春に好かれたいからやっているわけじゃない。
小春に幸せになってほしいからやってきたんだ。
でもその事で小春を悩ませていた、最低でもあんなことを言わせてしまうほどには。
小春は俺に今までのお礼をするのは小春自身のためだと言っていたけど。俺が小春にしていることも別に小春にしてほしいと言われたからではない。もしかしたら俺がしていることも俺自身のための、俺の我儘なのかもしれない。
「ありがとう、悠斗くん。何時もならこの時間には眠れるのに、悠斗くんとこんなに近くだとドキドキして眠れない」
小春は可愛らしい笑顔でそう言う。
俺だって小春にそんな可愛い表情をされたら眠ることなんて無理だ。小春が可愛すぎる。
今夜はオール確定だな。
「ちゃんと眠ってくれないと困るよ」
俺は小春の頭を優しく撫でながらそう言う。
今からオールしようとしている俺が言えるようなことじゃないけど。
「私、悠斗くんの匂い好きなんだ~。なんかね、凄く安心するの」
小春は俺の胸に顔をうずくめながら言う。
小春はそう言っているが、俺も小春の匂いは安心するし好きだ。
「小春。これからも好きなだけ我儘言っても良いからね」
「で、でも私お礼できないよ」
「だからお礼しなくちゃなんて考えないで。それに、小春が俺に甘えてくるとき、小春凄く可愛いし」
「か、可愛い……」
小春は顔を赤らめて、それを毛布で顔を隠す。
その仕草が最高に可愛い。
「じゃ、じゃあこれからも私の我儘、聞いてくれるの?」
小春はひょこっと毛布から顔を出し、弱々しい声でそう言う。
可愛い、可愛すぎる。
一体俺はこんな可愛い女の子と同じ布団に入っていいのか?
「い、良いよ。いっぱい甘えてよ」
「分かった、じゃあいっぱい甘えるね!」
そう言って小春は俺に抱き着いてきた。
「でも、悠斗くんも私にいっぱい甘えてね。私たち、恋人でしょ?」
「分かった。恋人同士だもんね」
そう言って俺は小春を抱きしめる。
これからの人生、この幸せな時間をずっと続けていけるよにしたい。
「悠斗くん。一つお願いしていい?」
「良いよ」
「ありがとう。じゃあ、私が寝るまで私から離れないで。悠斗くんとくっ付いて眠りたい」
「分かった。じゃあ小春が寝るまで抱きしめとくね」
「それだとドキドキして眠れないよ……だから、手繋いでほしい」
小春はそう言って真っ白な手を俺に差し出した。
俺はその手を優しく握る。
「ありがとう」
小春はそう言ってゆっくりと目を閉じた。
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