第37話

「ねぇ、歩夢ちゃん。どうしたらいいと思う?」


 私はショッピングモールに悠斗くん達とお出かけした日の夜。

 歩夢ちゃんにどうしたら悠斗くんに今まで以上のお礼ができるのかという相談を悠斗くんにバレないように私のお部屋で通話をしていた。

 こんな事相談できる相手は歩夢ちゃんしかいない。


『そんな事私に聞かれても困るよ~』

「でも歩夢ちゃんしか頼れる友達居ないんだもん! 悠斗くんにはすごーくお世話になってるの。だからどうしてもお礼がしたいの」

『じゃあ何かプレゼントとかしてみたら?』

「でも悠斗くん。無理してプレゼントしなくても良いからねって」

『じゃあ手料理とか振舞ってあげればいいんじゃない? 小春って料理凄く上手じゃなかったっけ』

 

 手料理は毎日振舞っているなんて言えない。

 私と悠斗くんが同棲していることは絶対に内緒なんだから。


「手料理はたまにお弁当を作ってあげてるから……」

『うーん。じゃあ一日彼氏の家に行って一緒に居てあげたら? 多分彼氏も小春が一緒に居てくれるだけで嬉しいんじゃないかな?』


 言えるはずがない。毎日一緒に居るなんて絶対に言えない……

 

「で、でも。つい最近お家デートしたばかりだから……」

『てか小春ってどれだけ彼氏にお礼しないといけないの?』

「ど、どれくらいだろう……想像できないくらい、かな?」

『じゃあもうエッチな事以外私には思い浮かばないよ~』

「え、エッチな事って! だ、ダメだよ、私まだ高校生なんだから赤ちゃんできちゃったらどうするの!」


 確かに悠斗くんとの子供は欲しいけど、それはちゃんと高校を卒業してから。

 

『避妊具使えば大丈夫なんじゃないの? まぁ私は経験無いから言い切れないけど』

「わ、私だって経験ないもん!」

『でも小春って彼氏と付き合い始めて一か月くらい経つでしょ?』

「う、うん。それくらい経つよ」

『私の周りの付き合ってる友達皆そのくらいでしてるって聞くけど』

「え、え⁉」


 も、もしかして悠斗くんもえ、エッチな事したいのかな……


「で、でも歩夢ちゃんの友達の話しでしょ?」

『そうだけど。でもそれくらいしか私には思い浮かばないの~。いいじゃん彼氏も避妊具はつけてくれるでしょ』

「で、でも私避妊具なんて持ってないよ……」

『コンビニとかに売ってるでしょ。今から買いに行ったら?』

「い、今から⁉」 


 今の時刻は夜八時。

 外は勿論真っ暗。


「む、無理だよ。一人で歩くの怖いよ……」


 私暗い場所を一人で居るの本当に苦手で、家に一人で居た時は電気を付けて眠っていた。


『私が通話に付き合ってあげるから。それに小春の家からコンビニまで直ぐ近くじゃん。今から彼氏に家に行くから準備しててって連絡しときなよ』

「ちょ、ちょっと待ってよ。まだするって決めたわけじゃ……」

『じゃあ他に案ある? プレゼントもダメで手料理もダメで他にはキスとか? でもクリスマスイヴのデートでしたんでしょ?』

「そ、そうだけど……」

『よーし! じゃあ行こう!』

「う、うぅ~~」

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