……そしてッ!! #9

 そうこうしているうちに、総十郎は森に満ちる精霊力の流れが、乱れ始めていることに気づいた。

 萃星気とはいささか勝手が異なるが、この世界を動かす「精霊力」なるエネルギーの制御・感知について、総十郎はこのわずかな時間でほぼマスターしつつあった。この力にはごく単純ながら「意志」や「好み」が存在しており、行使者の精神状態に如実に影響を受ける。

 その流れの変化から、結構近くに人間がいることを推察したのだ。


「そのシャーリィ殿下かどうかはわからぬが、前方に人間がゐるな。精霊力の流れが磁場のように歪んでおる。」

「わ、わかるのですか!?」

「コツは掴んだ。ま、なんとかなるであろう。」

「おぉ……」


 さすがは異界の英雄どの……と目をキラキラさせている。総十郎は肩をすくめた。どうもこの女性にょしょうは大変にまっすぐとした素直な心根の持ち主のようだ。内心苦笑する。同じではないものの、精霊力は萃星気に慣れ親しんだ人間ならばそれほど違和感なく扱うことができる。要するに予習をしていただけであり、そこまで感心するほどのことではない。

 やがて、視界が開けた。


 ……そこには、なんか、変な三人組がいた。


 具体的には、パンツ一丁の筋肉男に二人の子供が群がって腹筋をぺたぺた触っているという、咄嗟にはどう判断したらいいのかわからない状況であった。


「とりあえず、事案であるな。」


 総十郎はしみじみとうなずく。


「うきゃああああ!! お、おとっ、は、裸……!」


 真っ赤になって顔を覆うリーネ。


「裸であるなぁ。して、あの金髪碧眼の少女がシャーリィ殿下であるか?」

「えっ? で、殿下……?」


 指の間から恐る恐る覗いている。やがて、腕から力が抜け、だらりと垂れ下がった。

 呆然としている。パンツ一丁の変態のことはとりあえず意識の脇に置いておくことにしたようだ。


「いかがした?」

「で、」

「で?」

「殿下が変な趣味に目覚めてるぅぅぅぅぅぅ!!!!」


 白目の下に黒い線が何本も伸びた。

 ふらりと倒れかけるも、踏みとどまった。


「い、いけません殿下! そのような、は、破廉恥な!! い、いやわたしだって殿方の腹筋に興味がないと言ったらウソになりますが……いやいやいや駄目です! 殿下のお年でそそそんな、早すぎます! いやらしいですっ! 破廉恥ですっ!」

「うむ、本人に直接奏上してはいかがかな。」

「でんかああああああああ!!」


 言われるまでもなくリーネは駈け出して行った。

 総十郎は、のんびりと後を追った。



 システムメッセージ:サブキャラ名鑑が更新されました。


◆銀◆サブキャラ名鑑#1【シャーリィ・ジュード・オブスキュア】◆戦◆

 百四十三歳 女 戦闘能力評価:F-(ただし召喚した英雄を「自身の能力の一端」と捉えるならS以上)

 金髪碧眼。半神的な気品と立ち振る舞い。無口不思議っ娘。

 森エルフ。オブスキュア王国の第三王女。王家に稀に生まれる先祖がえりで、英雄召喚の秘儀を使える。責務を尊重し、情け深く、広い視野を持つ貴種の鑑。覚悟決まってる系女子。主人公トリオを召喚する代償に声を喪った。ただでさえ天使な姫が声を喪うことにより儚さが重点されマジ天使となった。他者から必要とされることに強い執着をもち、それが自身を省みない危うさとして表出している。おっとりした見た目に似合わず、非常に行動的で物怖じしない。目を離すとすぐどっか行っちゃう。ただひとりガチシリアスな鬱作品から来たフィンの苦悩と悲しみをそれとなく察する。Bカップ。


 所持補正


・『カリスマ』 自己完結系 影響度:B

 理屈では説明しがたい威厳。シャーリィと相対した者は、言葉にできない荘厳な感銘を受け、彼女に従いたくなる。広い視野と高い志と深い寛容さを併せ持った者のみが到達しうる境地。しかし、か弱い容姿ゆえに影響度は下がっている。なんだかんだ言って頼りになりそうな奴について行きたいのが人間である。


・『■■■』 自己完結系 影響度:■

 ■■とした■■な■■とは■■の■■的な■ち■る■い。シャーリィと■■以上の■■になった者の前でのみ発動する。■■を■■し、かつ■■■を■え■ける■■な■■■。この補正に■した■は、シャーリィの■では■■やかではいられなくなる。


・『■■■が■■■を■■■■』 世界変革系 影響度:■■■■

 ■えぬ■でありながら■■に■たされ続けるさだめ。シャーリィの■■には■に■■■■な■■が■りかかるが、■■には■■■■■■■を■■■■る。■めつきに■■な■■■■。この■■は■■にも■■し、彼女との■が■い■ほど■く■■を■ける。



◆銀◆サブキャラ名鑑#2【リーネ・シュネービッチェン】◆戦◆

 百七十二歳 女 戦闘能力評価:B

 青紫ポニーテール。ポンコツ脳筋娘。

 エルフ爆乳女騎士。武芸百般だが、特にハルバードがメインウェポン。家系的に魔力による身体能力のブーストが得意。絶対にオークなんかに負けたりしない! とか豪語しておきながら本当にオークごときではまったく相手にならないぐらい強い。素手ですらワンパン余裕。極めてまっとうな良識人。シャーリィを妹のように可愛く思っているが、努めてその気持ちを抑え、臣下としての線を越えないようにしている。主人公トリオについては深く感謝こそしているものの、烈火の問題のありすぎる言動の数々にツッコミ(物理)をブチ込まざるを得ない現状に頭を痛めている。Lカップ。


 所持補正


・『ツッコミスト』 因果干渉系 影響度:B

 その生涯をアホに振り回され続けるさだめ。ボケを見ればツッコまずにはいられない。アホに対する攻撃の命中率が著しく上昇し、致死率がゼロパーセントになる。


・『お■■■■』 自己完結系 影響度:■

 ■■キャラの■■。■■■な■■■な■■のめぐりあわせによってリーネの■る■■が■けておっぱいが■■■する■■にほんのりと■■■■■がかかる。しかし■■なところはけっして■えないので■■■である。『シロガネ⇔ストラグル』は青少年の健全な育成に貢献します!


・『■い■■■■■■』 自己完結系 影響度:■

 すぐ■ける■■■という■■に■するアンチテーゼとして■み■されたキャラクターのさだめ。■■■や■■■■■■、■■■■■など■い■で■■■しそうな■■との■■において■■が百パーセントに■■される。彼女の■■で■■な■■で■■こいた■■はもれなく■■に■■されるさだめである。■ぬことすら■されない。■■はない。

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