第4話 重たい目覚ましのベル
遠くで目覚ましの音が鳴っている。一睡もできてない身体はだるく目覚ましもどこか他人事で、とめることすらできない。
でも、早く時計をとめてパジャマにカーディガンを羽織って下にいる奈緒姉の家事を手伝わないと両親に叱られるどころか沖縄の高校に転校して、両親の側にいなさいねってことになる。
まずいって気合でがばっとあたしは起きあがり、まだやまない目覚ましを慌ててとめて階段をドタバタ降りた。
「菜々。目覚ましの音うるさかったわよ」とお玉で味噌汁をかき混ぜながら奈緒姉はいう。
大学の栄養学科に通う奈緒姉は朝からしっかり和食を用意して、仕事の関係で、沖縄にいる父も母のパンだけの手抜き料理よりこの食事を本音では食べたがっている。
魚やご飯はもうダイニングテーブルに並べてあるので、私は箸と箸置きをとりだす。
無言のあたしに火を細くしてから振り向く奈緒姉は目の下のひどい隈をみてどうかしたのかと言葉をのみこむ。
「いつものように腐女子のあたしはSwitchで徹夜して遊んでいたの。ごめんなさいっ」と神妙な声を出す私がいた。
ますます言い訳のなさに不信感を覚えた奈緒姉は「辛いなら今日休む?学校には私から連絡するわよ」とあたしの顔をじっと見つめていう。
「だから大丈夫だってば」と私は声を荒げて逃げるように洗濯物を干しに行く。
洗濯物をぱんぱん叩きながら、杞憂で一睡もできないことで、奈緒姉にも心配かけている自分のことをせめていた。
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