第2話 ~Mside~ ①ついてない時はとことんついてない
最近、なにかとついてない。
4年付き合ってる恋人はどうも浮気をしているようで…
先週のクリスマス、忙しいとか言いながら、私たちは会う約束をしなかった。
もう4年もたつと、そんなもんか…と寂しく思っていたが、
恋人の車から、クリスマスイブの夜に2人で食事をしていたレシートが出てきた。
そういうことか。もう別れようかな…。
そう思うけれど、4年も付き合っていると、情だの、独り身の寂しさだの、いろいろな感情が湧いてきて、なかなか踏ん切りもつかない。
だれか他に私を好きだって言ってくれる人いないかなぁ…。
私はずるい。自分を好きだって言ってくれる人がいないと次に進めない。
この人がいい!この人となら!っていう確証がないか、自分がよっぽど惚れこまないと動けない。
恋がだめなら仕事でも!と思うが、仕事もなかなか思うように進まない。
自分がこうしたい!って思って提案しても、すぐに上司にダメ出しされる。
めっちゃいい案なのに、あの古だぬきめ!ホント保守的なんだから!!
もう悔しくて仕方がない。
こんな時は、彼に聞いてもらおう。仕事終わり、隣の部署をのぞき込む。
私には残業仲間がいる。
いつも遅くまで仕事していると、だいたい、ふたりぼっちになる。その相方だ。
7つ上の彼は、とても頼りがいがあって、めちゃめちゃパソコンとか機械類に強いので、困ったことがあるといつも助けてもらっている。
仕事面だけでなく、愚痴を聞いてもらったり、アドバイスをもらったり、精神面でもとてもたすけてもらっているのだ。
私には7つ上に兄がいる。だからなのか、まるでお兄ちゃんのような存在。
彼は彼で、7つ下に妹がいるから、もしかすると、彼にとっても私は妹のようなものなのかもしれない。
彼は私にとって、自分の素でいられる存在だ。
彼の前では、泣いたり怒ったり笑ったり、なにも考えずにできる。
いい恰好をしようとか、どう思われるかとか、嫌われるかもしれない…とか、そんなことを全然考えないでいられる貴重な存在だ。
なんかしらんけど、『安心感』があるのだ。
嫌われるとか怒られるとか、そんないやな目にあう不安感が全く出てこない。
とってもとっても不思議な存在だ。
彼の部屋に行って、彼のデスクに座り、上司の愚痴をこぼしつつ
今日はどこ(のご飯屋さん)に行く?って聞こうとしたとき、他支店の営業女がやってきた。
なんだよ!邪魔しやがって!今日はご飯食べながらゆっくり話を聞いてもらいたかったのに!!
思わず、相手をにらんでしまった。
いかんいかん…(;´Д`)スマイルスマイルだ!
また、明日でもいっか。
お邪魔しました~と、彼の部屋を去り、自分のデスクに戻る。
あ~もう仕事する気分じゃないな。今日はもう帰ろう。
ついてない時ってとことんついてないもんだよね。
私は、そう呟いて、家路についた。
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