プロット

序: ストーリーイベント 恋愛相談

① 転校生の話題

ストーリーイベント:隣の空席

情報提示:飯田の好きな人が鹿苑であること、行為を寄せる誰かがいることを提示。



・席替えしたら恋鐘の席が旧飯田の席となり、最速飯田はそこに赴いてしまった。

・席替えした当初で席順がわからんくなった飯田は教壇の上の座席表を確認しに行く。

・鹿苑の名前を先に書く。

・席を確認したところ、隣の席に空席があることを知る。

・相沢に告げると転校生の話題。

・妙な時期の転校生に疑問に思いながらも、その奇妙さから奇妙なやつでも来るんじゃないかという話をする。

・鹿苑の隣になってみたいなどと言わせる。

・鹿苑に対するアプローチにうまくいってないことを提示


②転校生 恋鐘愛

ストーリーイベント:転校生

情報提示:

 

・予感的中した。

・まず格好がおかしかった。若干古いギャル風な格好をしてた。

・そして「恋愛マスター」などと突飛なことを言う。(校舎裏で待つと言う)

・教室の空気静まり帰る。

・自信満々な様子で恋鐘はピースをする。

・恋鐘は飯田を直接指名。飯田は「お前のような人間に誰が相談するか!」と言うが、どん詰まりだった飯田は助け乞うことにする。


③ 昼放課 場所:校舎裏



・恋鐘と飯塚話す

・恋鐘、飯塚の好きな相手をクラスでの目線で見通す。

・飯塚に





断章 日記

・裏切り者のお姫様の定義とは何か


承①:デート勧誘

イベント:デートのお誘い

イベント意図:不自然な流れ

章の意義:恋を実らせるには、後先考えない無茶苦茶さが必要。つまり自分勝手さがある程度必要だった。(恋の独善性を示唆)

気温:寒 天気:曇り空


① 登校

・登校時間8:15分くらい。常の時間であることを提示

・飯田は苛立っていた。

・理由は恋鐘から「バレンタインデーにチョコを貰えるように壁ドンをしろ」というアドバイスをもらったからだった。それが出来たらそもそも相談してないっつの。

・飯田が鹿苑との恋を勧められなかったのは飯田が極端に奥手であるせいだ。彼女の前に立つと上がって、まともに話せなくなるからである。

・恋鐘の目算としては鹿苑が今日は日直で5時間目の物理の宿題を提出するノートを運ぶ機会があるだろうから、それとなく手伝う際に狙えとのこと。経験上、基本的に助力を申し出ても拒否られるのがオチだから、飯田は相談する相手間違えたかなと思う。

・Cルームで現在進行形で煽られたため、奮起した。

・相沢も登場。様子のおかしさにツッコミを入れる。



② 昼休み(余白多め)

・飯田、恋鐘、相沢の3人で横並びで飯を食う。

・トークテーマは『恋愛相談の奇抜さ』。主に主導は相沢と恋鐘。

・飯田は若干キレ気味。

・相沢がトイレで離席すると同時に飯田は恋鐘に無理難題を押し付けたことに噛み付く。

・恋鐘は飯田に対して恋を叶えるためにはこれくらいしなさいというのと絶対大丈夫だからと告げる。恋愛漫画読んでるマスターに任せなさいという。

・飯田は余計に嫌われるだけだろうにと思いながらも自信満々な恋鐘を信用することにした。


③ 五限後の手伝い

・授業が終わる。物理の先生が宿題を集めさせ、日直の鹿苑に頼む。40人分の分厚い問題集を前に少し狼狽える。

・四苦八苦しながら持ち上げる鹿苑。それを見る飯田は歯ぎしりをする。恋鐘はせっついた。

・教室を出るくらいから飯田は鹿苑を追いかけ、手伝いを申し込む。

・飯田はいつも通りに断られるだろうと考えていたが、鹿苑はそっけなく肯定。飯田は驚く。

・飯田は鹿苑に話しかけるが、基本的に素っ気ない。

・飯田は恋鐘から与えられた指令を思い出し、げんなりする。油断していた。鹿苑も飯田に壁ドンされることを予見していたために油断していた。

・階段に差し掛かる際に、すれ違った男子高校生に驚き、鹿苑が足を踏み外す。

・飯田は引き留めようとするが間に合わず、庇う形で中2階に落ちる。

・飯田、気絶


④ 保健室

・飯田が目を覚ますとそこ保健室だった。時刻は日も沈みかける時間。周りは既に薄暗くなっていた。

・体を起こすと、毛布を羽織って、座りながらうつらうつらする鹿苑の姿が。

・思わず奇声。そして風邪を引きそうなので迷いながら飯田は鹿苑の肩をゆすった。

・鹿苑はむにゃむにゃしながら目を覚ます。覚醒すると飯田の無事を食い気味に確かめる。

・飯田は戸惑いながらも、僅かな体の不調を訴えるものの無事だと判断した。鹿苑はほっとする。

・飯田の戸惑いに鹿苑は我に返り、襟を正す。

・飯田はずっと待っていてくれたのかと問いかけ、鹿苑は心配だったし、自分の責任でもあるからと告げた。

・気まずい沈黙。いつもの冷たい空気感ではない2人の空気感に戸惑っている。

・飯田が先に口を開き、速めに帰った方が良いと告げ、その後に鹿苑が土曜日に御礼がしたいからとショッピングに誘う。

・その日はバレンタインデーだった。


⑤ Cルーム

・誘えたことの報告

・服装についての相談。暴走した鹿苑は正装である着物で行こうかと言うと、やめときなさいと恋鐘は弾き気味にいった。


承②:告白

イベント:バレンタイン

シーン内容:恋のもどかしさ

章の意義:恋する理由。鹿苑にも恋鐘にも同じような恋する瞬間があったわけで、もし恋鐘が自身の恋を放棄しなければ鹿苑の場所に立っているのは恋鐘かもしれなかった。

天気:晴れ 若干温かい。



① 駅近

・30分前に集合場所に来る飯田。落ち着かない様子で目線を揺らしている。

・飯田の中ではバレンタインデーということがどういう意図があるのか気になっており、もんもんとしていた。

・30分経った。来ない。不思議に思う。10分後にも来ないため、飯田は首を傾げた。

・恋鐘に連絡。もしかして騙されたんじゃないかと相談をけしかける。んなわけないだろと一蹴された。

・鹿苑から連絡。何処にいるかという旨の連絡だった。飯田は集合場所にいると答え、鹿苑も集合場所にいると伝えた。飯田は場所を提示すると鹿苑が間違っていたことに気づき、急いでくる。飯田は自身が移行と言うものの、鹿苑は既に動き始めているようで既読はつかなかったので動かないままで。

・息を切らせてやってくる鹿苑。飯田はハンカチ差し出そうとするが、流石に気持ち悪いと思ったのでパス。鹿苑は申し訳なさそうにしていた。焦ってしまった理由は「楽しみだったから」と油断して漏らす。それを聞いた飯田は気恥ずかしさと同時に嬉しさを覚える。

・鹿苑の恰好、深緑色のロングスカートに白色セーター。胸には赤い宝石の傷がついたペンダントがある。

・鹿苑は掻いた汗を恥ずかしそうにぬぐっている。前かがみになったはずみで見える鎖骨部分がほんのり赤くなっているのが、妙に色っぽくて目が釘付けになる。その後、黙ってばかりの飯田に首を傾げる鹿苑に慌てて目を離す。

・気まずい沈黙。飯田が先を促すと、おどおどした様子で鹿苑はついていく。

・飯田は今日は何をするのかと鹿苑に聞くと、鹿苑は肩を大きく振るわせてバレンタインデーのチョコを買いにという言質を取る。御礼ではなくバレンタインデーという点に飯田は胸を高鳴らせた。

・出発


② 売り場

・駅ビルではバレンタインデーフェア真っ盛りで菓子類の販売エリアはバレンタインフェアの旗を掲げていた。

・当日であるから客足は大盛況ではなかったが、人の出入りはあった。主に女性客が多く、中にはカップルで来てる人もいる。

・飯田は恋愛色の強い空気にたじろぐ。鹿苑も気恥ずかしそうに目線を下にしている。

・気まずい沈黙。会話をしても続かない。耐えかねた飯田はトイレを理由にその場を離れた。

・呼吸を整える。デートとかいう始めての経験に加え、なれない恋愛色の強い場所に息が詰まる思いをした。会話自体は上手くいかないし、折角のデートなのに上手くいかずに嫌われた恐れた飯田は恋鐘に助けを求めるが、返事が来ない。

・遅くなりすぎると不味いので、返事を待たずに戻る。

・飯田が戻った際に鹿苑は電話をしているようだった。電話相手になんか言われたらしく珍しく鹿苑は大声を上げた。「恋鐘さーん!」

・飯田は驚く。鹿苑は驚いた声に反応し、恐る恐る飯田の方を振り向いた。

・黙り込む2人の間で恋鐘の声だけが虚しく響く。「おーい、どうしたのー?」


③ ネタばらし

・いったん売り場を離れ、外のベンチに。

・恋鐘が飯田と鹿苑に通じていることをばらし、それについて2人で話す。

・恋鐘曰く、飯田が連絡するのと同じくらいのタイミングで鹿苑が連絡を入れたとのこと。

・飯田が何故言わなかったのかと言うと、恋鐘は聞かれなかったからと答える。

・壁ドンをしろという無茶な物言いも全部裏で繋がっていたからだとわかる。

・恋鐘、折角2人をくっつけるために頑張ったんだから、などとほざく。

・飯田と鹿苑、突然の暴挙に声を上げるが、狼狽える2人を放っておいて恋鐘は電話を切った。

・残された2人は顔を真っ赤にしていたが、2人で同じ人を頼り、全てがばれてしまった結果、何となく笑ってしまった。

・この時点で飯田と鹿苑が両想いであることがばれるが、2人は指摘しなかった。あまりの唐突なことに答えを出す覚悟がなかったのだ。



④ 告白

・買い物を終えて、夕方。日が徐々に落ちかける時間帯。チョコレートを買い終わった鹿苑と飯田は集合場所に戻る。

・終わったことにより2人の間に緊張が走る。鹿苑は今日のこの日を逃して告白する気はなかったし、飯田も今日この日を逃して彼女の真意を聞き逃すつもりがないからだ。

・鹿苑が飯田の名前を呼ぶ。唇を震わせながら、彼女は声を振り絞る。チョコレートが入った紙袋を差し出そうとした際に、飯田が彼女を止めた。


⑤ 人助け

『視点変更』鹿苑の視点

・飯田は颯爽と駆けだした先はとある老婆のもと。重そうな荷物を抱えるその御仁が倒れそうだったところを飯田が支えていた。

・鹿苑は何のためらいもなく人助けを出来る飯田のことが好きだった。

・飯田を手伝うべく鹿苑もまた飯田の下へ向かった。


⑥ 改めて

『視点変更』飯田の視点

・老婆の家が近場だったから、それを送り届けた後の話。

・気まずいと飯田が思ってる沈黙。飯田は言い出しづらそうに先に何を言いかけたのか問う。

・鹿苑、無視。飯田、予定調和だと思う。それから人助けを反射的にしてしまうみたいな言い訳を必死でする。

・鹿苑、噴き出す。ころころ笑う彼女に飯田は面食らう。そしてからかうように笑いながら、「怒ってないよ」と告げた。

・ほっと息をつく飯田。鹿苑の知らない表情に胸が高鳴る。

・鹿苑はやや頬を赤く染めながら、「私が初めて貴方を知った時もそうだったから」と話す。


⑤ 過去

『視点変更』鹿苑の視点

・中学2年生の2月。駅近で起きたこと。

・当時の鹿苑は母親の形見のペンダントを落として、探していた。しかし全然見つからず、あきらめかけ泣きそうになったときに飯田に声を掛けられた。

・事情を聴いた飯田は躊躇いなく彼女のペンダントを探し始めた。

・けれど結局見つからず、鹿苑がもう良いと言っても探した。

・飯田は大切な物ならあきらめちゃだめだと言い、一生懸命に探し、そして見つけた。

・傷がついていたことに飯田はがっかりするが、鹿苑は見つけたことがうれしかった。そしてほんの少し胸の中に熱い物灯ったのを彼女は自覚する。

・それが鹿苑の恋のきっかけ。


⑥ 告白

・「私にとってこのペンダントは母との形見だけでなく、貴方との思い出になったのです」と言って締めくくる。

・飯田、覚えてない。鹿苑はそうだろうと思ってた。鹿苑は飯田が人助けをした人の中の1人でしかないという認識だった。そして鹿苑がそういう人だと知っていたから、好きになった。

・鹿苑が飯田をフルネームで呼ぶ。夕焼けの暗がりが彼女の顔を側面から照らす。鹿苑は控えめにチョコレートを差し出しながら、告白した。

・「良いのか、俺で?」「貴方だから良いんです」「お前をほっぽり出して、人助けにいくかもしれないぞ」「そんな貴方が好きなんです」

・そして恋人に。



承②:遊園地(付き合ってから)

イベント:デート

テーマ:恋人になるまでの気恥ずかしさ

天気:快晴


① 朝礼前

・今日も朝礼ギリギリに登校する飯田。

・登校した際に鹿苑はちょこちょこと飯田の下へやってきて、照れくさそうに「おはよう」と言う。

・可愛さに飯田悶絶。

・クラスメイトは恋鐘が自分から進んで人に、それも男子に声を掛けたことに驚く。

・飯田と恋鐘は少し気まずくなって目を逸らして、いそいそと自分の席に戻る。

・飯田が席に向かうと恋鐘は含み笑いをし、相沢は目をぱちくりとさせている。相沢は鹿苑の変わりように驚いているようだった。

・一体何があったのかと相沢は問うと飯田はこいつになら良いかと考え、彼に鹿苑と付き合うことになったと告げた。

・滅茶苦茶驚く相沢。一体何をしたのかと問うと、流石に両想いだったとかは恥ずかして言えず、恋鐘に頼ったとかは意地の問題で言えなかった。

・言い淀む飯田に相沢は呆れることなく、にこやかに笑って祝福した。

・左隣の恋鐘は得意げに笑った。いちいちムカつくが、恩人の手前言えなかった。



② 昼休み

・昼休み。飯田と相沢はいつも通り購買に行こうと考えていたら、鹿苑がちょこちょこやってきた。この時、飯田は鹿苑と一緒に食べるべきかと逡巡し、調子に乗ってるとかあまりに性急すぎる気がすると奥手っぷりを発揮する。

・鹿苑は弁当を作ってきたと言って、顔を赤くする。飯田は相沢に申し訳なさそうにする。相沢は爽やかに笑って、飯田を送り出した。

・飯田を連れ立って歩く鹿苑をクラスメイトはやはり奇異な目で見る。その中を2人は居心地悪そうに足早にかけていった。

・飯田は何処で食べるか話を持ち掛けると、鹿苑は人目がない場所として校舎裏を採用した。

・校舎裏に行って広げずらい弁当に苦労しながら、昼食を頂く2人。しかし箸が一個しかないため、使いまわすことに。

・間接キスになるためてんぱる2人。そのてんぱりから鹿苑の方から「あーん」を提案する。飯田は素っ頓狂な声を上げて、パニクる。しかし鹿苑、引くことなく飯を差し出す。

・飯田が覚悟を決める。食べようとした瞬間に恋鐘乱入。恋鐘はむしゃくしゃしたので意図して邪魔した。落ちる卵焼きを飯田はつかみ、文句を言った。

・しかしニンマリ笑う恋鐘は家の付き合いでもらったという方便で自身で買った遊園地のペアチケットを差し出す。デートに行ってこいと言うことらしい。

・恋人2人して焦る。恋人になったばかりで、飯田に限って言えば嫌われていると思ってた相手と急転直下の展開で恋人になったためお互いの距離感を量りかねている。

・情けない2人に恋鐘はしょうがないわねと得意げに笑った。感情を押し殺した微笑みだった。


③ デート当日・前編

・飯田、女性陣より早くつく。家族連れやカップルが多く、賑わいを見せる。めちゃくちゃデカイわけじゃないが、そこそこ客入りは良いと言った具合。

・飯田はそんな人々を前に同様するでもなく、ただこれからのデートについて焦っていた。先日のバレンタインの買い物とは違い、恋人になってからのデートは初めてである。腕を組んだり、食べ物の分け合いっこなどするのだろうかなどと胸を高鳴らせる。

・そんな彼に冷水を浴びせるように恋鐘が茶々を入れる。そわそわする飯田は傍からみて挙動不審の不審者だった。端的に言って気持ちが悪い。飯田は恋鐘の身もふたもない発言に文句を言う。

・飯田は恋鐘に鹿苑はいないのかと問う。前日では一緒に来ると聞いていた。すると恋鐘は立てた親指で背中を指さすと、顔を赤くする鹿苑が。

・今日の鹿苑の恰好は赤いコートに白い萌え袖セーターに淡い水色のミニスカートに黒タイツ。前回に比べて露出の多い恰好だ。普段慣れない恰好をしているため、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

・茫然とする飯田。可愛すぎてヤバい。思わず何も言えなくて、口ごもってしまう。何も言わない飯田に対して不安に駆られた鹿苑は上目遣いで「似合っていませんか?」と問う。可愛さに狼狽えた飯田はしどろもどろになりながらも似合ってると伝えた。

・気まずい沈黙が流れる。距離感の分からない2人はどう会話をすればよいか分からない。

・恋鐘はそんな様子を見て、「おえ~」と吐く真似をする。甘すぎて気持ちが悪いと告げる。それは後悔する自分の気持ちを誤魔化すための儀式でもあった。

・飯田と鹿苑は態度の悪い恋鐘にお前がくっつけたと文句を言う。恋鐘、面倒くさそうに2人の背中を押した。


④ デート当日 中

・中々上手くいかないと飯田は述懐する。ジェットコースター、コーヒーカップ、汽車やシューティングなどやったが、なかなか会話がすれ違う。

・すれ違うのは鹿苑が手を繋ごうと躍起になっており、話を聞いていなかったため。後ろから見ている恋鐘はそれに気づいており、手を出しては引っ込めを繰り返す鹿苑を見ていた。飯田は会話に集中していて気づけない。

・埒が明かないと見かねた恋鐘は強制的に2人っきりになれる場所、観覧車に閉じ込めた。真意は2人のそんな姿を見ていられなかったから。

・そのまま観覧車にゴー。


⑤ デート当日 終

・観覧車から降りてくる。進展依然としてなし。

・飯田と鹿苑は互いに何もでいなかったことを謝る。鹿苑は捨てられやしないかと不安で泣きそうになる。そんな彼女を落ち着かせるために、飯田は自販機に行った。

・戻ってくると鹿苑は迷子を保護していた。飯田も迷子の母親探しに協力。途端に息が合い、呼吸がしやすくなる2人。

・迷子と母親を引き合わせた後、その時のことを振りかえってなんだか気が抜けた。困っている人を助ける間にいつの間にか2人の間に横たわる生暖かい隔絶が消滅していた。

・少し息がしやすくなった2人は柔らかく笑いながら、もう一度遊園地に繰り出す。

・恋鐘の行方を捜すついでにCルームの方に恋鐘から連絡が来ていることを知る。



⑥ 恋鐘、体調不良

・迷子の子供をあやす2人を見て、

・「恋は一度逃がすと二度とかなわないんだから」なんて一体誰が言えた義理なのだろうか。という独白を思わずする。

・Cルームに疲れたから先に帰るとだけ入れて、恋鐘は家路についた。

・沈む夕日を背に、夜に沈むように。


Cルーム

・手を繋ぐときにいわれた真に迫ることを言いだして、それを根ほり葉ほり聞く鹿苑。

・恋鐘は過去のことを答える。



承③:おうちデート(テスト勉強)

イベント:テスト勉強

テーマ:恋人としての熟成。恋鐘からの自立。


① 掃除の時間

・相沢がテストの始まりに辟易とした様子で溜息を吐いた。

・ちょうどこのころは恋鐘の欠席が目立つころで、テストの自身のほどを恋鐘に聞いた相沢はそれを不安視していた。

・飯田も成績が良い方ではなく、ちっと心配。そんな彼を見て、恋鐘は成績優秀な鹿苑に勉強を見てもらう。つまりおうちデートを刊行せよと命令を下す。(ここで相沢が2人が恋愛相談をしていたことを知る)

・2人は目を合わせて、驚愕する。恋人関係にも慣れてきたが、互いの家に人を上げることを彼らはまだ覚悟を決めていなかった。

・恋鐘が休みがちであることを伝える。

・相沢が鹿苑に飯田の初恋を告げる。その後、本章の最後に恋鐘=キューであることに気づく。


② おうちデート

・飯田が片づけ終わった後の確認作業から。用意していたものとかの確認も終わるとぴんぽーんとチャイムがなる。(この際に母親が「あの女の子(恋鐘)以来、初めての女っ気」と言って過剰にものを用意したことを書いておく)

・ぎこちなく飯田は恋鐘を出迎える。鹿苑はミニスカやめてロングスカートだったが萌え袖は健在だった。鹿苑もまたたどたどしく入っていく。当然だ。異性の家に入るなんて初めての経験なんだから。

・とりあえず部屋に案内。

・階段を上る過程で鹿苑が家族がいるかと聞くと、飯田は誰もいないと答えた。鹿苑、顔を真っ赤に。飯田は弁解すると、鹿苑はボソッとそういうことも想定していますし、と呟く。

・部屋に入る。鹿苑は様子をきょろきょろ見る。好いてる人の内側を見ているようでワクワクと緊張が止まらなかった。

・飯田の部屋は幾つかのコミックと小説があるくらいで面白味はあまりなかった。若干の男くささに心臓が高鳴る。

・緊張度の強い中、2人はテスト勉強を開始する。


③ テスト勉強

・成績は鹿苑の方が飯田より遥かに上のため、基本的に鹿苑が飯田に教える形に。飯田は一方的な構図に申し訳なく思う。

・鹿苑はこの関係は嫌ではなかった。距離が遠いだけだった2人が距離を詰めて、言葉を交わせるようになったのだから。ただそれだけで十分だというのが彼女の意見。飯田もそれに頷く。

・2人とも恋鐘に感謝してもしきれない。彼女がいなければ一生2人の距離は縮まらず、くずぶった恋心を抱えていたままだったからだろうから。

・飯田は初恋がくすぶっていることを匂わせる。

・そして恋鐘に頼るのは辞めなければならないという決意を飯田は密かにする。


④ 帰り

・日がすっかり落ち切ってしまったため、飯田は鹿苑を贈る。

・寒風が吹きすさぶ中、澄んだ空気に星がきれいだった。

・鹿苑は勉強中に匂わされた初恋について問う。その時、ちょうど思い出の公園が近くにあった。


⑤ 飯田の過去

・鹿苑に促され、飯田は過去を語り始める。

・飯田の初恋は10年前。この公園で始まった。

・飯田は黒い長髪の少女と出会った。その少女は引っ込み思案で、公園で遊んでいる悪ガキどもにいじめられていた。

・其処を飯田が助ける。それが出会いのきっかけだった。

・少女は名前をキューと名乗った。当時の恋鐘には名前くらいしか縋り付くくらいしか術がなかった。飯田の預かり知らぬところだが、キューピッドから取ったものである。

・キューは偶にしか公園に来なかったが、その偶に来た時はいつも寂しげな瞳で飯田を見てくるため、放っておけなかった。

・仲良くなるウチに次第に彼女に惹かれるように。当時の彼は何も求めず誰かを助けることだけを目的とする今の彼と異なり、ヒーロー願望が強く、自身より弱いものを守ることに憧れを抱いていたためである。

・とある日、彼はキューに公園に呼び出された。学校終わりの5時だった。飯田はずっと待っていた。母親が仕事から帰ってきて、夕飯を用意してくれ、彼を探しにくるまでは。

・それから飯田がキューと会うことはなかった。

・飯田は約束を破られたことに対して怒りよりも悲しみを覚えた。以降、彼は恋愛に対して非常に後ろ向きになる。


⑥ 何故鹿苑のことを好きになったのか。

・話終わる。鹿苑は身勝手な少女に怒りを滲ませていた。飯田は普段の鹿苑の様子から考えられない彼女の怒りにちょっとびっくりする。

・鹿苑が怒る理由は嘘をついて飯田を傷つけたこと。好きな人を傷つけられて、怒りを覚えないような人間じゃない。一発叩いてやりたいと思った。

・反面、飯田は過ぎたことだと笑った。何かどうしようもない事情があったのだろう、という思いがあった。

・それにアレは恋ではなく、ただの憐憫と保護欲が熱を以て帯びただけに過ぎない。(しかしそれを恋と呼ぶのだと、のちに述懐する)それを恋と呼ぶのは欺瞞に飯田には思えた。

・鹿苑は「じゃあ、私のは恋なのかと問う」。飯田は鹿苑に恋した理由を話す。鹿苑に恋した理由は鹿苑が誰にでも構わず救いの手を差し伸べられるからだった。一度だけではなく、何度も何度もそういう姿を見るうちに次第に好きになっていった。

・鹿苑、ちょっとドラマ性なくて残念。飯田は何か劇的なきっかけを元に始まるより、日常のちょっとしたことがきっかけになって恋は生れるのだという恋愛観を語る。(恋鐘との恋の話に絡める)

・鹿苑はその恋愛観の根底にキューとの思い出があるのではないかと推察。今は口に出さないが、気づいた素振りを見せる(後の展開に絡める)

・怒りが収まらない鹿苑は静かに、しかし力強く宣言した。「私が貴方の思い出を上書きしてあげます」。言ってから恥ずかしそうに恋鐘さんの真似ですと笑った。

・それに対して飯田は俺達はアイツから自立するんじゃなかったのかと笑い返した。

・寂しさを、おいてけぼりを食らった子供のような表情を思い出す。


転:病院。余命いくばくもなし。1ヶ月ほどか。

テーマ:献身への後悔

 恋における独善性、我儘さを描く。


① 恋鐘に連絡した翌日。恋鐘は来なかった。鹿苑のCルームにも返信がないらしい。単純に無視されているわけではないと飯田は気づく。


② 帰りのホームルームが終わり次第。教師を問い詰める。しかし個人情報の観点から答えてくれない。

「自分自身でお聞きになるべきではないでしょうか」

「聞いても答えてくれないんです」

「だったらそれは彼女が望んでないということ。その意を汲んであげるのが友達ではありませんか」

「「……」」

 悩む2人。


③  無理矢理にでも聞くべきか。2人は人気のない教室で喧嘩する。

・鹿苑の主張

 怒っている。勝手に黙っていなくなって、という思い。

 友達だからきちんと話して一緒に辛さを背負いたかった。


・飯田の主張

 あえて隠したということは触れられたくないということ。なら触れないでいるべきなのでは。それこそが優しさじゃないのか。

 気づけなかった後ろめたさ。そして真実を隠していたということはその真実を知られたくなかったなら触れるべきではないのでは。


鹿苑と飯田の喧嘩

 飯田⇒鹿苑

 ・鹿苑のやってることは不安の淵にある恋鐘を追い詰める行為に他ならない。そっとしておくのが良い。


 鹿苑⇒飯田

 ・放っておくのが最適解なはずがない。

 ・独りぼっちで死ぬのが正しいなんて思えない

 (上2つはエゴイズムと指摘されるが、それで良いと言い切った)

 ・このままだと幼少期の因縁と共に心残りがある。

 ⇒また隠していたのに再び目の前に現れたことには必ず意味があると鹿苑は指摘。⇒見つけてほしかったのでは?(恋鐘の心象:本当は好きな人に好きになってもらいたかった)


 恋鐘の心残りと飯田の心残りを解くために鹿苑と飯田は会うことに決めた。

 ⇒会う糸口は飯田の母



④ 病室

 病院名は大塚病院。その701号室。

 電車で1時間くらい離れた場所の大きな病院だった。

・視点は恋鐘

 恋鐘は若干の寂しさを覚えていた。何も言わずに出てきたため、自業自得ではある。

 2人のことを想像する。怒っていると想像しては謝罪し、心配してくれる様子を想像しては嬉しく思う。だが会うわけにはいかなかった。2人には何も知らせないまま消えて、後ほど転校するつもりだった。そうすれば負い目を与えずに済むと考えていた。

 しかし、それは自分の心を押し殺した感情であり、本当は寂しかった。特に心を打ち明けられずに辛かった。胸がちくりと痛むがそれすらも押し殺す。

 そのとき病室の扉が開き、現れたのは2人だった。

「あまりにもタイミングがよすぎるよ、私の王子様」(王子様ということを事前に示す)


⑤ 病室にはいるとそこにはベッドに寝転がる恋鐘がいた。

 あまり深刻そうではない雰囲気に胸をなでおろす2人。

「来ちゃったんだね」と呟く恋鐘。2人は2人で選んだ見舞いの品(後程、恋鐘の敗北と胸の痛みを占めず材料となる)を持って訪れる。

 飯田の問。「お前がキューなのか」。恋鐘答える「キューだよ」と答える。飯田は「どうして何も言ってくれなかったのか」と問う。恋鐘は言ったところで大して問題がないと言う。実際飯田は忘れていたし、いったところで何の意味があったのか。

 しかし、それは飯田の答えになっていない。飯田は文句を言う。再度問い直すが言葉を濁す。

 飯田は強く出ようとするが、鹿苑はそれを制止し、出るように言った。


「私が話をつけるから」


⑥ 一つの誤算。鹿苑と仲良くなったこと。

 飯田が出ると、「病気のことなんで隠してたの」。触れられたくないからとすれた感じで言う。

 鹿苑は核心を突く。「飯田のことが好きだったのではないのか」。だから再度現れた。

 恋鐘「どうして気づいたの?」鹿苑「病気を隠すなんて見栄張るのは好きな人の前くらいだよ」⇒共感で以て鹿苑は恋鐘を推察した。恋する少女を信じたともいえる。

 また鹿苑が飯田を追い出したのはこの本音を引き出すためだった。飯田の前で告げるのは好きな人の前でいる者としては辛いだろうから。

 鹿苑は言った。「恋愛相談、のりますよ」

 恋鐘「恋敵だって自覚してる?」

 だったらなぜくっつけたのかと問う鹿苑。恋鐘は飯田を幸せにしたかったと告げる。だから気持ちを押し殺して彼の恋を成就させるために鹿苑の恋も手伝ったと。

 すなわち鹿苑は恋鐘の代わりとして必要とされたのだった。

 これに激昂する鹿苑。鹿苑は恋鐘を叩く。

「ふざけないで。誰かに譲って貰うくらいなら私は諦めてた」

 ということで黙るしかない恋鐘。最後に拗ねたように「ごめん」と言った。


「恋愛相談を始めましょう」




⑧ 過去の清算

 鹿苑の手によって飯田と恋鐘は切り離されていた。3日間。その間、鹿苑とも音信不通だった。

 飯田に知らされていたのは3日後に病院でデートをするという連絡だけだった。

 デートについて首を傾げる飯田。状況はそんな状況じゃないとは思っていた。

 病室に行くと恋鐘が車椅子に乗って登場。以降、屋上へ移動。

 移動する最中、過去の会話を行う。


会話内容① 何も言わずに消えた理由

 病状悪化のため、何も言わずの去るしかなかった。


会話内容② 無理して再度現れた理由

 キャラを大きく変えて、奇抜な振る舞いで恋愛相談をした理由の説明。

 恋鐘は飯田に幸せになって欲しかった。だから恋鐘は恋愛を応援するという形でそれを行った。

 飯田は何故恋愛だったのかを指摘する。

 恋鐘、真実を言うのを躊躇い、嘘を吐く。青春の代名詞である恋愛を成就させてあげることで思い出を上げたかったと主張。

 飯田、死の間際にあまりにも利他的な考えに疑問を呈する。

 恋鐘、笑ってごまかそうとする。

 飯田は過去のことを思い出し、死の間際の彼女のことをきちんと思い出に出来るように知りたいと強く言う。

 恋鐘、言葉に窮する。そして思いが爆発。利己的な感情があふれ出す。


⑧ 裏切りもののお姫様。

 恋鐘視点での話をクッション。ハッピーエンドは裏切り者のお姫様は、魔女となったお姫様には訪れない。

 王子たちのハッピーエンドは導けた。けれど自分は打ち捨てられたまま。

 自分自身を切り捨てられるほど恋鐘は達観しておらず、後悔の心情を吐露する。(彼に私を好きになって欲しかった)

 今更になってハッピーエンドを望んでももう遅いにも関わらず。


⑨ 告白

・恋鐘「恋ってなんなんだろうね」と問うた。飯田は恋とは小さな好きを日常で積み重ねていた結果、実った果実のようなものだと答えた。(承①の②の勇気ある物は少女漫画的)

・飯田の恋愛観には他者に対する幻想が介在する。恋愛に他者の本質なんてどうでも良くて、自分が他者に寄せる期待をこそ、人は恋と呼ぶ。

・恋鐘はその自分勝手さに反発を示す。だがそれが恋なのだと飯田は言った。恋鐘には自分勝手さが足りなかった。恋なんて綺麗なものじゃない。エゴに塗れたものなのだ。それを証明したのは恋鐘だ。恋鐘の人の心を無視するような強引なやり方が2人を結び付けた。他者ではなく自分を優先する気持ち。それが恋には必要だった。そもそも恋愛感情は自身の行為を他者に押し付ける一方的な身勝手な行為であり、それを踏まえなければならなかった。(→最初の誘い、③の③)

・恋鐘は恋をしていたのではない。ただ「好き」なだけだった。恋と呼ぶにはあまりに稚拙で、他人に対して優しすぎた。

・実際の恋との対比。飯田は実際の恋、恋鐘はフィクションの恋。

・「そっか」。恋鐘はただそれだけ言った。そして告白する。


 恋鐘、告白する。(ずっと前から好きだった)

 飯田、断る(昔は好きだった)

 恋鐘、涙を流しながら笑う(知ってる)

 恋鐘は2人にどうか自分自身を呪いにしないでと言い残した。



エピローグ

テーマ: 2人がどう彼女を受け止めているか

ストーリーテーマ: 墓参り


・大学2年生となった2人の夏。その盆。うだるような夏の暑さの中、飯田と鹿苑は墓にやってきた。

・飯田は工学系の大学、鹿苑は文学科の大学。

・飯田と鹿苑の受け止め方

 恋鐘の遺言通り2人は恋鐘のことを既に終わったこととして受け止めている。

 2人が付き合ってるのはお互いが好き同士だからであり、喧嘩もしたが仲直りも恋鐘を理由にしていない。

・2人は恋鐘に友達として感謝をしている。彼女がいなければ決して結び付かなかってであろう2人を結びつけてくれたことに。

・生きていたら嫌味と言って怒るだろうが、もう彼女は死んでいる。だから一方的に伝える他ない。

・季節は巡り、時はすぎる。けれども、夏の炎天下にあってもあの年の冬の冷たさは今でもきちんと思い出せるから。




比喩表現:お姫様、王子様、悪い魔女








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