二食目

 ぷつっ、と音を立ててひとつ摘まみ取る。

 つるりとした手触りのそれは明かりを反射して光っている。粒の片隅に出来たぽちっとした小さな穴に爪を立てて、潰さないように優しく皮を指先で挟んだ。

 薄い薄い皮をめくると、白っぽく、透明な実が姿を現す。それは湛えた甘い液体の存在を知らしめるように、つやつやと輝いていた。

 皮は薄すぎて、すぐにちぎれてしまう。その皮をゴミ箱に放って、またすぐにめくっていく。数回かけてむき出しになったそれは、向こう側まで透かせるような透明感を持っていながら、はち切れんばかりの存在感を放っていた。指先に伝わる水気が食欲をそそる。

 早速、口の中に転がした。瞬間に甘さが舌の表面を撫でる。吸い込み、吐き出した空気にも甘い香りがついていて、うっとりとした吐息を漏らしてしまう。

 押し潰すように噛み締めれば、甘味にほのかな酸味を乗せて「つゆ」が口内に広がった。飲み下すのがもったいなく、たっぷりと味わう。しわしわになった果実をまだまだ押し潰す。これ以上ないほど絞りだし、後ろ髪を引かれながらも、こくりと胃に納める。

 はぁ、と吐き出した息に香りが残り、舌もあの味を覚えているが消えかかっている。恋しい。

 もうひとつ。まだまだある。だけど、あっという間に食べてしまうだろう。そんな確信を得ながら、次の粒へと手を伸ばすのを止められなかった。

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