第36話 板見玄と南森医師の会話
「いやー、すまないね、今日に店を開けてもらって、で、肝心の彼はいないようだけど?」
「急だから呼び戻してもあれだしな、あと彼に聞こうとしてもとぼけるから意味がないぞ」
「そうだね、玄さんの言う通りだよ」
二人の会話は止まる。
居酒屋には南森と板見の二人きりになっている。
今日はクリスマス。南森は仕事は今日は休みでここに夜をふける予定みたいだ。
お互いはお酒を片手にけど酔わないようにしている。
「玄さんは気づいていますよね?蒼のハンティングが彼だと言うことに?」
「なんのことだ?」
無表情であたかも知らないよう返事を返す。
思い当たりしかない。蒼のハンティングと会った時にわかってしまった。
「あなただってとぼけましたね?全く」
南森は嘘だと気づき玄さんは諦める。
「ああ、あの仮面は俺しか持っていないはずなのに、彼は、いや蒼のハンティングは持っている、しかしだ、あなたもこうなると薄々気づいてはずだ、そうだろ?」
あれほど深刻な病気が一晩で治ることなんてありえないのだから。
「いやいや、私のことを買いかぶり過ぎです、気づいていませんでしたよ」
南森は首を横に振る。けれどわかっている。
「お互いとぼけるのはもういいな、南森に聞くが、なぜ彼は蒼のハンティングとしてなにかことを起こしているのか?」
本題に入る。
彼、頂利涯は何者なのか。
なぜ治ったのか。
なぜ蒼のハンティングとして犯罪行為をしているのか。
その三つだ。
しかし本人はいないから予想でしかない。
「私からすればね、入院していた時からそんなことを考えれるような人ではなかった、けれども退院当日はだけ顔が違った、まるでなにか楽しいことをしようかという感じだったな、つまり始まりはそこと考えると‥‥‥今思い出したんだがおかしいことがある」
手元にあるお酒を見るのをやめ板見の方を向く。
「彼はふとした時から入院していて、入院する時って、もしもの場合連絡先とかわかるようになっているんだけど、彼の時はなかったんだ、そして自分はいないなと、不思議に思わずに君に頼んだ、ここから彼が何者か予想はできる、玄さんだってわかったいるはずですよね?」
「彼、頂利涯は並行世界から来た人物」
「そうです」
これはありえないと切り捨てれる可能性ではない。
実際にありえないことが起こっているなら切り捨てれない。
南森は本題の全部を答えてしまっている。
なぜ治ったのかは簡単で並行世界で治ってこの世界に来たと考えれるから。
「そういえば、玄さんは本当に帰らなくていいんですか?子供達いましたよね?」
「気にするな、普段から家にいないから不思議に思われない」
「奥さんは知っているのになんで自分の子供には知らせてないんですか?」
「なんとなく、俺のプライドだよ」
「そうですか」
お互いお酒を飲んでいく。
彼についての話は予想でしかないのだから正解ではないからいつかは聞かなければならない。
南森は店内を見渡しているとものを見つけてしまう。
「あれは本物か?」
気になり指を指す。
板見は指された方を見ると本当のことを返す。
「ああ、そうだ」
「うそだろ‥‥‥」
板見と南森は付き合いが長いから本当か嘘か大体わかるが本当と気づいた。
「顔を隠してマネージャーと来ていたらしく、会計の時に俺は誰なのか気づいたわ」
「そうなんだ、こんな店に来ていたんだ」
「こんなとはなんだ?普段よりお高めにしておこう」
「やめてくれー」
二人の成人男性は冗談を絡めつつお酒をチビチビと飲み、夜が明けるのを待っていた。
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