第32話 感覚に異常をきたす 霜端視点
空布『ごめん、今日から休む』
彩貌『私もある程度休みます』
水薦『どうしたんですか?』
空布『私は失敗した』
今朝送られた来たメールを思い出す。
私は急いで電話をする。
『何?』
『と、とりあいず屋上に放課後集合!』
燐、曖灯、紫霧、水薦さん、薫さんと蒼兄ぃに連絡する。
涯はなぜ空布さんが休んでいることを知っているのに嘘を付いたんだ?
空布さんは涯を離すことに失敗したの?
疑問を持ったせいか午後からの授業が全く身に入らない。
そして話す。
涯が狂笑であること、そして空布さんを休ましたことなど。
「親に言った方がいいですか?」
「やめた方がいい、涯がやったという証拠はないから」
蒼兄ぃが珍しく答える。
なんで涯は狂ってしまったんだろう?なんで私は気づかなったのだろう?
なんで私はこんなにも悲しんだろう?悲しい理由はわかるが胸が引きつけられる痛い感覚に陥ったのだ。こんなの初めてだ。
「もしかして蒼のハンティングは頂利では?」
その痛み耐えて、私は否定する。
「それならあの動画は涯に取ってメリットはないはずだし‥‥でも涯は蒼のハンティングの行動にいち早く気づいているから強くは否定できないけど‥‥涯ではない」
?になっている蒼兄ぃは無視され会話が進む。
「涯ですか、だいぶ信用しているんですね、あとなんで痛くてつらそうな顔をしながら言っているんですか?」
曖灯が私にわざとらしく聞いてくるが私が発言した時の顔にも振れてくる。
その通りだがだんだん痛くなってきている。それはもう口が開けないほどに。
私はこんなにも涯のことを思っていたから裏切られたかのように痛みがあるだけで、涯は実際裏切ってはいない。
「曖灯さん、私が代わりになんで信用しているか答えます、あなたも知っていますよね?頂利君と板見君、霜端は去年から交流があったことを。それなら信用してそして涯と呼べるほど仲がいいと分かりますよね」
燐さんが痛みで私の口から言えないことを分かってくれる。
助かります。
「ですがなぜ痛いのかはわかりませんが、板見君」
「な、なんでしょう?」
燐さんは話を変えようとする、一体何で?
グッ!!
突如として電流が走ったかのように痛みに襲われる。
「頂利君に電話してくれませんか?」
「え、はい」
蒼兄ぃは涯に電話をする。
グッ!グッ!
さらに痛みが押し寄せてきて足元がフラフラして倒れかける。
「大丈夫?!」
水薦さんが私が倒れる寸前に支えてくれる。
そしてゆっくり膝を床につける。感覚がない。
時期はもう冬に入っているので床は冷たいはずだ。
なんなんだ?この気持ちはまるで自分が自分ではなにような感覚は!?
「もしもし。頂利君、学校の屋上に急いで来てくれない?」
そう燐さんが言って電話を切る。
「霜端!?霜端!」
水薦さんとかの声を聞きつつ気を失った。
「ん」
私は目をあける。
そこは見知っている天井だった。
「私の部屋?」
「そうだ」
涯の声が聞こえた。
顔を横に向けると涯の顔があって目と目が合う。
「な、なんだ?」
涯は戸惑いそらす。
「フフフ、で他のみんなは?」
「蒼井は下に居るが残りは俺が説得させて帰らした」
「そうなんだ」
でもなんで私は倒れたんだ?倒れる要因がないは‥‥「ストレス」
「え?」
涯が私の考えを呼んだかのように言う。
「人は日に日にストレスが自然と溜まっていく、今までなら気づかずとも癒やしとかでなにも起きないのだが‥‥今回は霜端は長期間癒やしがなくストレスが溜まって爆発したといったところだと思う、俺も一度以上、ストレスによるものかは知らないが感覚に異常をきたす時があるんだ、つまり霜端は癒やしを求めなさい」
なるほど、でも私の癒やしとはなんだろう?
これならいいか。
「頭なでて?」
そう涯にお願いすることにした。
「それは蒼井が‥‥「涯で」
私は断る、蒼兄ぃはいつでも頼めばやってくれるだろうが涯は普段なら絶対に断るのでチャンスだ。
「はい」
素直に聞いてくれる。
ナデナデ
あー癒やされる。特別な感情がある人から撫でられるって全く違うんだ。
あれまた意識が‥‥。
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「寝てしまったか」
手を止めて戻す。その可愛らしい寝顔を見つめる。
そういえば俺の好みの容姿をしているな。この寝顔を下心なく俺は見れない。
だがこのままでは蒼井からそういう関係だと思われてしまうので蒼井に話すために立とうとするが引っ張られる。
どうやら霜端のか弱い手が俺の服の一部を掴んでいるようだ。
簡単に振り解けるがそんな非情なことはせずに待つことにした。
あまりにも起きないので蒼井が来てんだが、それでも起きないので泣く泣く振りほどいて帰ることにした。
そして初めてバイトで遅刻をしたのだった。
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