第31話 ハハハハハッハハハッ

学校に来てみると御珠はいなかったが蒼井と霜端がなにやら話している。

なんだろう?は!

もしかして気づいてしまったのか?!

だとしてもなにもないように装い自席に向かう。


「涯、おはよう」

「ああ、おはよう蒼井」

「おはようございます頂利」

「おはよう板見」


俺は机の上にかばんを置くと、


「頂利はどうして空布が来ていないか知っていますか?」


良かった、そっちね。てっきりバレたと思っていたから安心したわ。

それにしても御珠が来ていない理由か、停学と言ってしまったらなぜ知っているのか疑われてしまう。だから、


「知らないな」

「そうですか」


霜端はなぜそんなにも早く返事をするんだ?俺が言うものなんだが少しは疑った方がいいぞ。


「あのどうしました?私の顔なんて見て?」


考えながらどうやら霜端の顔を見ていた。可愛い顔だな。


「すまない、考え事をしていたからつい」


「え?‥‥」


なにこの空気?なんかいかにもラブコメの需要そうな時に感じるこの空気は?!

こんなのは蒼井の時だけでいいよ。俺なんかの表向き友人キャラには荷が重すぎることだ。


「霜端、チャイム」

「そうでした」


蒼井は霜端に言い、霜端は戻っていった。クラスを出ていく霜端の横顔には少し赤くなっていたような気がする。


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴る。


「あ」


俺は急いでかばんを片付けていく。完全に忘れていたわ。

なんとかして遅刻の判定にはならなかった。ほんとこういう規則はしんどいわ。

そうして午前の授業が始まる。










「ハハハハハッハハハッ!!!」


俺はトイレにて笑う。これぞ狂笑。


「蒼のハンティングはなぜか俺に合わしてくれた御珠を片付けるために!ハハッアア!!」


自画自賛をするしかない、こんなのは。常人ならこんな楽しい気持ちはわからないだろうな。

だって普段抑えている気持ちを発散できるんだから。


「そして峰鈴さんは勝手に落ちた、面白すぎる!ハハハハハハッハハ!!」


峰鈴さんが落ちたのは結構でかいいんだよな。俺の中では峰鈴さんは最後の時の二人だと思っていたからこれで危険性が減った。

ここで笑うのに十日もかかってしまったから普段の時より声が大きく笑えている。


「なにかも素晴らしい!クククハハハッハハハハ!!」


思わず根がでてしまう。

人は常に気持ちを隠してり装ったりして生きている。これがどこまで不自由か。正しいことでもそれがその時の正論でない時だってある。そんな不自由があるのは仕方ないことだ、けれども吐かないといけないことだ、ずっと溜め込むと毒になる。それでは危険だ。

俺は普段から屈辱な心と理性があるから狂わないようにしている。

誰だってそうだ。世論一般から悪とされていることは常識的な社会のマナーとして植え付けられている。

しかし俺は違う、あの時に変わったのだ!悟ったのだ!人生苦もありゃ楽しみがあると、確かにその通りだが俺は苦の期間が長かったから楽しみと比例なんてしていない。最近なんて反比例している。

他にも悟ったから俺はこんなにも楽しくできている。初めてのことは誰だって臆病になる、それは先導者がいるからである。だから自分が先導者となれば責任感はもちろんだがそれ以上に好奇心が出てきて楽しく思えてくる。

だから俺は笑っているのだ。こんな狂っていなそうな友人兼悪役?キャラは実は狂っていると、それは面白いことだと思わんか?


計画を建てたのは今、即興に建てたわけではない。自分がそうしたいから従っているのだ。


「あの一人になるまで終わらない」


俺はそう言い、弁当を手に無表情にしてトイレから出てくる。

さて戻ろう。この時間はまだ蒼井はまだ落ちていない麗七人と食事をしているはずだ。







「な!そんな」


誰かに聞かれており、そしてトイレから出てくるところを見られていた。これにより頂利涯の一つ目の気持ちがバレた。だがしかしこれだけでは頂利涯という狂人を追い込むことはできない。






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