第26話 体育祭⑤

「お、蒼井」

「あ、居た」


綱引きが行われるための集合場所で見つける。

時間よく来ていたから他の麗七人には出会わなかったので嬉しい。正直麗七人で霜端、峰鈴さん以外は苦手だ。その二人は蒼井以外の話をしてくれるからいいのだが残りは蒼井のことしか俺に話さない。だから鬱陶しいだけだ。


「頑張るか、蒼井」

「もちろん」


そうして綱引きが始まった。

男女別で事前にトーナメントを決めておりそれに沿って行われる。

俺らの男子は一回戦で負けることだろうな。だって対戦相手はサッカーの決勝戦で戦った運動クラスだから。


パァン!


ピストルの音がなり引っ張り始める。


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「残念だ」

「仕方ないよな」


結果は負けた。俺が本気で引っ張れば勝てるが悪目立ちしてしまうからできなかった。でも蒼井は怪我をしなくてよかった。これで後は蒼井のことに居て守るだけ。でも麗七人が俺が蒼井の近くにいることについてどう思うかは分からんがな。

蒼井は観客のスペースに立つ。俺のしれっと横にいる。


「負けちゃたな」

「でも次があるから頑張ろう」

「うん」


この会話の間に麗七人は蒼井を監視できる位置に移動していた。

しかし困ったな、このままではアクションがないとただ他のクラスの綱引きを見るだけになってしまう。


「ちょっと飲み物買ってくる、蒼井はいるか?」

「じゃあ茶で」

「了解」


俺はそうして自動販売機に向かうことにした。

これで誰も来なかったらあれをしてわざと蒼井への警戒を促す。これでいい、そしたら計画は果たせる。

そもそも計画は蒼井になにかをするわけではない。彼女らにするのだから。

あ、にやけてきてしまった。

しかしこの自動販売機が置いている場所が校内で人気ない場所NO3にランクインしているところだ。なんでこんなところに置いたのかな?そう疑問に思う。


「ちょっと、いいですか?」


後ろから声を掛けられる。俺はニヤけることをやめる。

まさかこの声は、


「暁か、なんだ?」


振り返って見るとやはり暁だった。これでアクションが起こせる。


「本題に入る前に思ったんですけど財布は?」

「ああ、この上着に手を加えてチャック付きポケットをつけたところにある」

「でも校則違反ではないですし、では本題に入ります、コホン」


わざとらしい咳払いをして言ってくる。校則として制服には改造してはだめだが体操服なら外部から見えなければOKなのだ。頑張って内ポケットを作ったのだ。


「なんで蒼井の横に居るんですか?」


予想通り蒼井のことだ。これへの答えは決まっているし、想定している質問にも備えている。

ということで自動販売機にお金を入れて買いながら言うことにした。


「この前蒼井を守る方法を話しただろう?俺もした方がいいと判断した」

「でも私達が見ていたらいいと言っていたはずですか」

「大体の者はやめるが、あとのことを考えていない者が蒼井に害をなしてきてはお前達では間に合わないからそういうのは俺が対処した方がとね」

「分かりました」


暁は戻っていく。俺はそのころには茶と炭酸ジュースを買っており、もう片手にはスマホがあった。ほんとこういう時スマホは便利だな。

今、狂笑をしたらバレてしまうのでしたくなる衝動を抑えて、スマホをいじり終わると直して、二缶を持ち戻ることにした。






「ほれ」

「ありがとう」


蒼井に渡す。綱引きの方を見るとまだ終わっていないのがちょうどいい時間になりそうだ。



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「で、どうだった?」

「もし後先考えていない連中が来たら対処するためだって」

「なるほど、自分は白だと言っているということだな」

「そうですけど、私達が今警戒するべきは蒼井が人為的に怪我をするのを防ぐことと蒼のハンティングがこの学校に居るかですよね」

「ああ、その通りだから、頂利への警戒をしておくしかない」

「では引き続き」








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