第22話 体育祭①

あれから時間が経ち体育祭当日になった。


「よし、持ったな!」


一人で確認をして家を出ていく。今日は珍しく板見兄妹と行くことになっているので板見家の家に向かう。


ピーンポーン


「はーい、入って」


霜端の声が聞こえる。従うか。


「お邪魔します」


入り廊下を歩いてリビングの方へ向かうと霜端は居た。テーブルの上には荷物があった。もう準備しているんだ。


「おはようございます、上で寝ている人を叩き起こしてくれません?」

「分かった」


あー、なるほど蒼井はまだ寝ているのね。でもなんで霜端が起こしにいかないんだろう?そんな疑問を抱きつつ蒼井の部屋に入る。

必要な物ぐらいしか見つからない。この歳になったら少しはなにか如何わしい物があるはずなんだがな。

そしてベットの上に寝ている人の顔を軽くつねる。


「痛い痛い」

「起きろー、さもないとキルするぞ?」


「はっ」


起きるのか、死にぞこないめ。全くつまらないな。


「早く着替えろ、そして準備終わっているから」


「そうだった!今日体育祭だったわ!」


蒼井は急いで着替えだす。俺は霜端が居るリビングに戻ることにした。


「起こしたぞ、ってスマホいじってる」

「ああ、すみません」

「気にしなくてもいいぞ」

「ならなんでそんなこと言ったんですか?」

「知らん」

「えっ」


「おはよう」

「降りてきたようだな」

「ええ」


そうして蒼井の食事に付き合い、学校に向かうことにした。早めに来ておいて正解だったな。


「そういえば、スマホでなにしてたの?」


三人で登校中に聞くことにしたが一瞬ビクッとなる霜端。


「なんだっていいでしょ」


その通りだ。多分麗七人でなにか連絡してると思うけど。


「涯、女子には隠したいことがあるんだぞ」

「例えば?」

「生理の日とか‥‥痛い痛い!霜端勘弁して」


霜端は蒼井の腕をつねる。これは霜端の味方に着くな、蒼井が悪い。


「勘弁はしませし、全く」

「そうだそうだ、霜端もっとやれ」

「はいって!今名前が!」

「ん?ああ、気にするな」

「霜端!力入りすぎてる、痛い痛い!」

「入っていませんよ、ただうまく痛いようにつねっているだけです」


痛そうにしている蒼井、そして離す気がない霜端。やっぱし仲がいいな。


「ちょっと!霜端」


暁が割り込みつねっているのを外す。残念だ。


「ナイス!紫霧」

「蒼井が悪いからいいのに‥‥」

「いやなにがあったんですか?」

「なにも」


暁の話を無視して、次の話題に入ることにするために蒼井に近づく。


「蒼井はどういう容姿が好みなの?」


暁は反応を示す。あれ?霜端は?まぁいいや。

周りには聞こえていないので流れていっている。

四人は足が止まってしまう。


「いやいや、涯?え?」


言ったことが読み込めていないのか驚く蒼井。

俺は歩く。気づいて残りの三人も付いてくる。


「で?」


蒼井に聞く。話すことがないからこれにしたわけではなく今後のための質問である。


「涯から言ってよ」


そうだろうな。まずは自分からと言うしな。


「そうだな、黒の長髪でスリーサイズはそこまでかな?」

「なんで疑問?」

「んじゃ詳しく言ってやるよ、ます胸はCで‥‥「待ってください」


暁に止められる。なんだなんだ?

暁はなにか気づいて止めていることが雰囲気で分かる。なんだろうな?


「なんだ?」

「頂利先輩のはもう言ったので蒼井先輩のを」

「そうだな」

「え、あ、涯だけに」


蒼井はそう言い、俺の耳元に言ってくれる。


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


すぐ離れる蒼井。

さすがに暁にも聞こえていないみたいだ。


「なんて?」

「言わん」


そうきっぱり言う。あれ?それにしても霜端はどうしたの?

気になり霜端の方を見ると顔を真っ赤にしていた。


「大丈夫か?板見?」

「ええ、多分大丈夫です」

「少し熱があるのか?顔真っ赤だぞ?」

「熱ではないですよ、蒼兄ぃはい」


霜端は蒼井に蒼井の弁当を渡すと慌てて走っていってしまった。なんだんだ?最近の女子の行動がわからない。


「なんだろうな、蒼井」

「それな」

「え?まさか頂利先輩も鈍感ですか」


暁は疲れているような声で言う。全く俺は鈍感ではないのにって言うかむしろ敏感なのに。

そうして俺達も向かうのだった。

理解に苦しむ、なんで霜端走っていったんだ?わからない。






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