第12話「嫁にしてぇー」

「はい、俺の勝ち」


「さっきの試合は僕が勝ったよね」


俺と蒼井は対戦ゲームをしている。今のところは五分五分だな。


「ちょっと待って」


キャラクター選択画面になると蒼井は立ち上がると、スマホをいじる。どうやら誰かにメールでも送っているみたいだ。そうすると階段から忙しくうるさく降りてくる音がした。


「私もやる」


霜端は降りてきてそう言う。そうして三人で対戦することに‥‥‥


「霜端、涯を狙うぞ」

「殺りますよ」


「え?やばいなー」

「それならなぜ棒読み?」

「知らん」

「自分のことでしょw」


「蒼井笑ったな、よし霜端、蒼井を狙うぞ」

「霜端は僕を裏切ることはしないはずだ、そうだな霜端?」

「涯、私と一緒に蒼兄ぃを狙いましょう」

「え!霜端が裏切っただと!?」


そうして蒼井を倒した。もうちょいは耐えると予想していたんだがな。呆気なかったな。


「あとは一対一ですか」


「そうだな、そういえば霜端は体育祭の競技なににした?」


俺は気を逸らそうとする。


「そうですね「油断大敵!」


俺はコンボを決め容赦なく倒す。我ながら外道なり。


「ずるいです」

「引っかかるやつが悪い」

「蒼兄ぃどっちが悪いですか?」

「もちろん涯」

「忖度しやがった」


そうして楽しくゲームをしていく。すると、


「もうこんな時間か」


楽しい時間ほど短く感じてしまう。


「晩御飯作りますね」


霜端は離脱した。ゲームは続ける。


「涯は気づかなかった?」


「なにに?」


「ゲームしている時横とか見た?」


ああ、霜端が嬉しそうにしていたことかな?あれはきっと蒼井と一緒にやっていたからだろうな。


「少しなら」


「で?」


「で?とは」


「そうか」


うわー、蒼井にこいつ鈍感だなみたいな顔してやがる。許さん蒼井の方が鈍感だろ。


「ん、なんだ?涯そのうわーこいつ鈍感だわみたい顔は?」


みたいではなく鈍感だ。気づけよ。普段からスキンシップされて周りの男子が呪言を唱えたり、目から血を流したり奇行しているんだぞ!!そして俺はそれに気づいているから気まずい立場なのに。できるだけ俺にヘイトが向かないようにして苦労しているんだ。全く蒼井を見るとそこまで嫌そうにしているように見えない顔してやがるし、もう過労で倒れたら蒼井のせいにしてもいいはず。


「蒼井に聞いておくが俺がもしなにしていても友達か?」


「ああ、そうだなってなにかするのか、でも涯は友達だ」


良かった、計画は絶対に成功できる。疑ってくれないから。


「そうか、では空きあり」


「あ」


「うっしゃ、勝った」


「うゃ、気を取られすぎた」


話ながら対戦すると話により気を抜いたら倒されるため常に気を付けなければならない。俺はトレーニングとしてやっている。


「できたよー」


霜端の声が聞こえる。


「分かった、片付けたら向かう」


そうして片付けてテーブルに乗っている料理を見てイスに座る。


「「「いただきます」」」


お皿に移して食べる、美味しいな。今日来たのはこれのためと言ってもいい。


モグモグ、ゴクン。どの料理も美味しいな。一回作ってくれて料理を食べて思ったことがある。


「嫁にしてぇー」


あ、やべ。思うはずが言っちゃた。


「え?」


「‥‥‥‥」


蒼井は唐突に俺が言ったことに驚き、霜端は無言驚きのあまりか唖然かどっちかだな。


「涯、どういうことだ?霜端が好きなのか?」


「いや、そうじゃなく霜端の料理が美味しいから良いお嫁さんになりそうだなって」


「そういうことね」


「お、俺もう食べたから帰るわ」


かばんを取り、玄関に向かう。霜端の方を一瞬見ると顔が真っ赤になっていた。


「お邪魔しました」


出ていく。もしかして霜端は俺のことが‥‥そんなことはない。そんな甘く考えてはいけない。俺が美味しいと言った時に蒼井が同意したからだ。そしてたとえ霜端が俺にいかなる感情を抱いても俺はやることは変わらない。











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