第11話 来客
「涯一緒に帰ろうか」
「ああ、そうだな」
面白くもなくつまらなくもない授業を今日の分がすべて終わり、あとは帰るだけなのだが今日は約束どおり蒼井と遊ぶために一緒に帰ることにした。
「蒼井なんで今日は頂利と帰るの?私とは?」
御珠がそう言ってくる。
「いや、今日はやっと涯と遊ぶから、家に帰っている時に二人きりで話したいことがあるから、ごめんなさい」
蒼井はそう言い、クラスを出た。俺は付いていく。
御珠は蒼井から断られたことに驚きボーッと立っていた。
全く申し訳ないと思わない。だってもし俺が出ていく際に御珠になにか言うのならば笑ったことだろう。
さすが俺狂っているな、でも狂っているところを見せるわけにはいかないので普段は猫をかぶりごまかしている。
「蒼井」
「なに?」
下駄箱で追いつくと歩きながら話すことにした。
「晩御飯を食べてから帰るから」
「了解って結構長くいるのか、人が恋しいのか?」
蒼井と霜端は俺が一人暮らしだと知っているし、バイトをしていることも知っている。さすがに蒼井と霜端の父親のところで働いていますとは言えない約束なので守っている。今日はバイトがないので霜端の晩御飯が食べれるのだ。楽しみだな。
一人暮らしだから寂しいと思われているみたいだ。
「そんなことはないぞ、だって結構バイト入れているから」
「そう言うことのか?」
「ああ、話しが変わるが、俺はテレビとか見ていないから林奈々のすごさが分からないんだ」
「あー、そうだな、林奈々のすごいところは数ある内の一つは多忙なのに体調のコントロールができているところ、案外簡単にそうに見えて難しい」
「そうなんだ」
迷惑を掛けたくないから体調をコントロールしているのだろうな、そこは七間さんらしいな。会った時は雰囲気が明るくなにを考えているか分からない感じだったな。息抜きで
「でも急に聞いてきてどうしたんだ」
「いや、よく教室に居たら林奈々の話をしている人が居て気になったんだ」
「なるほど」
「で、ここで会っていたか?」
「そうだ、我が家へようこそ涯」
家に着いた、俺が貸してもらっている家よりも少し大きい。
「お邪魔します」
ドアが開けられて入る。
「あ、来たんだ」
霜端が玄関で兄の帰りを待っていたところに見える。
そして俺の方見て蒼井の方に視線を向けると、
「涯が来るなんて、蒼兄ぃ言ってよ、もう」
「今日言われたから」
「さっさと上がって」
そう促されて靴を並ばせ上がる。なんか申し訳ない気持ちになるな。そして無視されてる?
そうして霜端、蒼井、俺の順でリビングに向かう。
リビングには変わらずテレビの近くにゲーム機があった。
「荷物置いてくる」
そう言い、蒼井は2階の自室に向かった。俺はリビングの隅の方にかばんを置いた。
「あのあとなにもなかったか?」
俺は返事がされない覚悟で霜端に聞く。
間が少し経ち、霜端うなずいて2階のこれまた自室に向かった。
うなずいただけマシと取るか俺が気にかけたのが悪いのか分からない。これだけは今の俺でもどうすることもできない。
俺は蒼井が来る数秒間が何時間にも感じ突っ立ていた。
もし返事をしていて、誰によるか聞いてくれたら言ったのに、内のクラスの四条だよと言えたのに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私はベットの上にダイブしてバタバタする。
涯が今日来るなんて聞いてないよ!!
蒼兄ぃが帰ってきてまた来客かと思ったら涯だなんて!一度見て恥ずかしいから気をそらすために蒼兄ぃの方見て言っちゃた。
なんで私そらしたんだろう?涯のことをいつも思ってしまう。
今日も授業中に当てられたけど気づかなかったし、あー!!
涯があの時のことを心配してくれていた!幸せすぎて一瞬心臓止まったのかなと思ったがうなずいて恥ずかしさもあり逃げるように自室へ向かってしまった。
ピロン
ポケットに入れていたスマホから着信が来る。取り出して確認すると、蒼兄ぃからで、
『涯は今日は晩御飯を食べたら帰るみたい』
なるほど。今日は私が作るから、涯もそれを食べると言うことだから、気合いを入れて作ろう!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます