第8話 体育祭競技決め
「これから個人競技を決めていく」
主担任はそう言う、あ、そういえば体育祭があったな。
俺は後ろの人に聞くことにした。
「なににでる?」
「えっと、涯と一緒に男女混合リレーをやりたい」
「そうか」
蒼井がそう言った瞬間から女子で男女混合リレーに誰がでるか睨み合っている。気にしない方がいいと思い無視した。
俺は立ち上がり、このクラスの委員長こと四条仟に話しかける。
「俺と蒼井は男女混合リレーで」
「分かった」
四条は渡された紙に名前を書いていく。俺は戻り、蒼井に話すことにした。
「サッカーと大綱引きはどうだ?」
男子はサッカー、女子はバスケ。そして大綱引きは男女別々でやる。
「サッカーも自信はないかな、だって一年の時ひどかったから」
「あー、そうだったな」
試合には勝ったが蒼井は集中して狙われて途中で怪我をして退場したからな。その時の麗七人は焦り焦りまくっていたな。今でも笑いそうだわ。悪いかもしれないがあの時は無様だった、退場した時男子は敵味方関係無しに喜んでいたがその中にはもう少し殺るべきだったとか言い出すやつ居たな。しかも決勝戦でしたから傑作よ。
そんなことは本人の前では言えないので同情したような対応した。
「綱引きは自分が非力だと分かった時だった」
「そうだったんだ」
綱引きは優勝はできなかった。また蒼井への仕返しがあったが麗七人が監視していたから堂々と仕返しができない。が決勝戦に味方は蒼井以外は力を込めるのをやめて、敵は一致団結で全力でしたので蒼井は勢いよく引っ張られコケたのを見て、味方は無表情でなんとかいたが敵の中では小さくガッツポーズしたやつもいた。これなら不思議ではない敵が全力でしてきて瞬殺したと思わせることができた。
もちろん俺も力を込めなかった。仕方ない。
あの時、味方の四条から「決勝戦で蒼井以外は力を込めないで引っ張っているフリをして蒼井がコケる瞬間を見る、涯には交渉が必要かなと思ったからこれをあげよう」
と何万かもらえた、そこにどれだけ気合いが入っているか分かった。だから俺は従った、別に買収ではない、交渉をしてきただけだ。
結果蒼井以外は力を込めず、蒼井は勘違いをした。あの時の俺に素晴らしいと称賛したいわ。
本人に言えないので意外だなみたいな返しをしておく。
「今年は頑張ろう」
「涯の言う通りだな」
今年も仕返しはするのかな?でも俺として警戒されるのは嫌なためない方がいいな。
それにしても蒼井は恋愛以外にも鈍感で助かった。
「次の時間練習だからメンバー気になるね、涯」
「ああ」
そうして俺は蒼井との話しをやめて前を向くことにした。
どうやら男子の方は終わっているが女子で男女混合リレーのことでまだまだ時間が掛かりそう。
あー、できれば七間さんとがいいな。林奈々か聞きたいから。それにしても七間さんは運動はできるのだろうか?多分できると思うがな。
それにしてもなにもすることないから少し寝るか。
机にうつ伏せ寝れる体勢を取る、右手首の上に頭を置く。
俺は少し回想してしまった。
『もう涯なんて捨てましょう』
そのときの俺はたまたま起きてしまい両親の夜での会話を見ていた。
『なんでだ?』
『病気がちなんて医療費でお金がなくなるかもしれない』
『ないぞそんなこと、ある程度保険のおかげで一部免除されているからお金はあるはずだ、もしかして使ってしまったかのか?!』
『そうよ、なにが悪いの!?』
『なにをしているんだ!!』
そうして俺は次の日、父に連れられて家を出た、今だから分かるが離婚したんだろうな。
父は必死に俺のために働いて育児もしてくれて通院をした。その時に父の知り合いである南森医師に会った。
小6になると俺は告白をして振られたショックでよくなっていた持病であった心臓病がひどくなり入院となり、不幸にも父が過労で帰らぬ人となった。
悪いのは俺だ、病気を持って生まれてきたからだ。俺が悪いが罪悪感はない。実際は金使いが荒い元母のせいなのだから。たとえ俺が病気を持っていなくても離婚していただろうな。
「涯」
「おーい、涯起きろ!」
「はっ」
俺は蒼井の声で起きた。
「移動だよ」
「ああ」
「あと鍵閉めよろしく」
蒼井は先に行ってしまった。目は起きてすぐ覚めていた。あんなクソつまらない回想なんだから。
俺は立って移動するために体操服を取る。このまま蒼井が起こしてくれなければ遅刻していたな。感謝感謝。
俺以外いない教室には寂しさなんて感じない、だってここなら普段抑えている自分が居てくれるから。
そうして急いで移動してギリギリセーフになった。
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