〈07〉大丈夫、みんながいる

翼幅二十メートルほどの怪鳥となった鷹は、そのまま魚型デバイスに接近。魚を足でつかみ、くちばしでワイヤーを引きちぎってしまった!


「大丈夫! オギワラ君たちがいる」とシャル。


怪鳥は魚を持って飛び去っていく。


それを追いかけて飛ぶ、小さな影が現れた。


それは小型のロケット推進のようなもので飛んでいる。――オギワラ君だ!


オギワラ君が何か、光る弾丸を発射! ――怪鳥に命中したが、特に変化がない。


オギワラ君は少し上昇して、速度を落とした。――あきらめた? あるいは、仕事を終えた・・・・・・ということか――


突然、怪鳥の前方に、黒い転送ゲートが現れた。――怪鳥はその中へ――逃げられる!


「ふふ……どうなるか見てて」


シャルがそう言うと、私の前に、モニターが現れた。


そこには、見覚えのある山が映っている。――今日のスタート地点の山頂だ。


山の上に、黒い転送ゲートが開く。


――その中から現れたのは、ムストウの助手だ。怪鳥の姿のままで、その足には、まだあの魚が握られている。


怪鳥が飛んでいく先の空中に、何か巨大なものが、いくつも浮かんでいる。


近づくと、それは巨大な飛行船団だと分かった。


オーソンの開発した巨大空中戦艦の大部隊が、怪鳥の行く手を阻んでいる。


怪鳥は危険を感じてUターン。


しかし、その先にも飛行船団が見えた。――オーソンの船団は、鳥を完全に取り囲んでいる。


オーソンの顔が、別のモニターに映った。――嬉しそうな声を出す。


「ようやく俺の出番が来たってわけだ! ――次はセオが出るぞ!」


セオの顔が、別のモニターに映る。


「ジョブさん、シャル、お疲れ様です。――あとはお任せください、私が奴を捕獲します」


セオは車イスに乗っている。――場所はオーソンの空中戦艦の上。背景には空が見えるので、デッキの上だ。


そのイスが変形し、体にフィットしていく。


車イスはパワードスーツとなり、セオの体を覆った。――そのスーツは、いつも彼が使っているものよりゴツゴツしていて、重厚な感じがする。


セオがしゃがんで身構えた次の瞬間、ジェット推進で上昇!


セオは怪鳥に向かって真っすぐ飛んでいく。


セオは背中のランチャーからワイヤーを発射! ――ワイヤーは弧を描き、怪鳥に巻き付いていく。


ワイヤーが首と翼に巻き付いて、怪鳥の姿勢を崩した!


セオは再びワイヤーを発射して、今度は魚に突き刺す――そしてワイヤーを強く引っぱり、魚を引きはがした!


落下していく魚。


魚はそのまま、地面の中へ入っていった。――メイナードの地下ネットだ!


「よし! 回収成功!」とメイナードからの通信。


怪鳥は小さくなっていく――そして人間の姿に戻る――セオがそれをキャッチした。


「よーし!」


シャルは伸びをしながら言った。


「あとは、ウィルの仕事が終わるのを待つだけだ」

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