〈03〉VS ウィル教授

『ウィルの近くにドローンを飛ばしてあるから、それで見られるよ。このボタンから、リンクできる』


ボタンをタップすると、急に目の前の景色が、全て切り替わった。ドローンカメラと私の脳がリンクしたのだ。


見る角度や位置を自由に変えられて、本当にそこにいる・・・・・ような感じだ。


そこは、球体デバイスの上。


教授が、束ねた髪をなびかせ、腕組みポーズで仁王立ちしている。


突然、教授の背後に、ムストウが現れた。


教授はそれを察知し、ムストウの方を振り向く。


数十メートルの距離を空けて、向き合う二人。


「こうして会うのは、何年ぶりかな? ウィル」


「……」


教授はしばらくムストウを見つめたのち、ゆっくりと、ムストウの方へ歩き始めた。


ムストウが左手を差し出すと、その手から水が流れ出した。――その水は、無重力空間にあるかのように、空中に浮かんだ。それはどんどん大きくなり、巨大な水の怪物のようなものが現れた。


怪物から、小さな水の塊が分離。


その小さな塊は沸騰し、さらに過熱され、光の球となる。


その光が、教授に向かって発射!


教授に命中!


――――しかし重強化スーツのおかげか、教授は平気だ。歩く速さを変えず、ゆっくりと、ムストウに近づいていく。


ムストウがUDを操作すると、今度は水の怪物が大きく移動し、教授に覆いかぶさった。


大量の水流が、教授を襲う。


水の怪物がムストウの方に戻ると、教授の体からはスーツが完全に外されていた。


スーツはコンパクトに折りたたまれ、ムストウの手の中にあった。


「いいスーツですね」


教授は動じることなく歩き続ける。


ムストウが手をかざすと、大きな水の塊が教授に命中。


――それは強い衝撃力となり、教授を数メートル吹き飛ばした!


教授は姿勢を適切に調整して、着地。


しかしその衝撃で、教授の体から何か小さな道具が落ちた。


その道具は水の塊にキャッチされ、ムストウのもとへと吸い寄せられていく。


ムストウが、それを手に取る――ムストウを倒すためのハンドガンだ!


ムストウはその銃を、バカにしたような表情で眺める。


「パッチバレットですか……昔っから、キャンの得意技でしたね。なんともワンパターン……」


教授は再び、ムストウに近づいていく。


ムストウがハンドガンを教授に向ける。


「あなた方のような古い技術者には、昔っからうんざりしてたんですよ」


ムストウがハンドガンを発砲!


その弾が、教授の胸に命中!


――しかしその弾には殺傷能力がなく、教授はダメージを受けていない様子だ。


教授は歩き続ける。


ムストウは続けて、残りの弾丸をすべて発射!


すべての弾丸が、教授の体内に入ってしまった。


「殺傷能力がないとは……やさしい設計ですね……そういうところですよ」


ムストウはハンドガンを投げ捨て、左手のUDを操作した。


「――さよなら。心優しいヒーローさん」

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