第1シーズン 最終話 この世界が変わるとき

〈01〉消滅の始まり

ムストウが簡単なジェスチャーをすると、モニターの映像が切り替わり、何かの処理の進捗状況を示す『プログレスバー』が表示された。――その表示はまだ『0%』だ。


「では、スタート」と、ムストウが手を差し伸べた瞬間、プログレスバーが動き始めた。


「といっても、地球の全てを一度に消すことはできません。今回の範囲は北アメリカ大陸だけです。このバーが百パーセントになったとき――大陸が一つ、この世から消え、新しく生まれ変わります」


モニターが切り替わった。


あの巨大な黒い球体デバイスが表示されている。


そこから小さな球体が分離。――下に向かって飛んでいく――カメラはその小さな球体を追いかける。


小さな球体は、どんどん下降し、海面すれすれに到達。


ムストウがジェスチャー操作をすると、何かの処理が開始された。


モニターを見ても、最初、何が起きているのか分からなかったが、カメラの視点がどんどん引いて、上空からその小さな球体のある場所を見下ろす構図になったとき、状況が分かった。


――海の水が、どんどん消滅している。


小さな球体を中心にして半球状に、水のない空間が広がっていく。


その空間はどんどん拡大し、ついに海底にまで到達。――半球状に海水だけが消え、海底が姿を現した。


「――なかなか見られない光景でしょ?」とムストウ。


「今回は海からスタートしたので、しばらくは人間のいる場所には影響しません。プログレスバーで約10%まで進むと、陸の消去が始まるので、人間も何人か消え始めるでしょう」


ムストウは本当にウキウキした様子だ。


「あなた方の消去は、大陸の消去が終わってからにしてあげます」


シャルは下を向いている。


教授は動かず、ただじっと前を見ているだけだ。



 

本当に、これで終わりなのか……?


教授との仕事もこれで終わり……? それどころか、人生さえも……? 


――何か、何か考えはないんですか? 教授!


教授! なんとかしてください!

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