〈05〉80%

私の視界に、もう一つのモニターが表示され、そこに映像が映し出された。メイナードが送信してきた映像だ。


そこには、ジェット戦闘機が表示されている。


映像が拡大され、その操縦席に、ウィル教授が座っているのが見えた。


映像の角度が変わり、その戦闘機がチャリオットの近く、岩の集団の下の方を飛んでいることが分かった。


「ウィルと通信をつないでやる」とメイナード。


教授と通信がつながった。


「教授! もう来たんですか!」


「私をコクピットに転送しろ」


教授は、脳通信ではなく、鼓膜への音声通信で、そう伝えてきた。


私はガドリニウムにそのことを伝達。――ガドリニウムは直ちに転送の操作を実行。


目の前に座っていたガドリニウムが消え――代わりに、教授が現れた!


「教授!」


私は意味もなく、そう言ってしまった。――やっと教授と合流できた!


――すごい! 教授がコクピットに入ってすぐ、チャリオットの能力が急上昇し、その性能の約八十パーセントを稼働させ始めた。


しかし、チャリオットは大量の岩に取り囲まれている。逃げ道はない。


チャリオットを中心に動き回る大量の岩は、徐々にチャリオットに近づいてくる。


突然、教授は、チャリオットを前進させた!


景色が目まぐるしく変化し、軽い衝撃があった。


気が付くと、私たちは岩の集団の外にいた。――チャリオットは、岩と岩の隙間をすり抜け、脱出したのだ!


「すごい!」


私は思わずそう叫んだ。――次の瞬間、チャリオットが急加速!


岩の密集体は――追いかけてこない。


まっすぐ飛行していたチャリオットが、急に蛇行を始めた――と思った次の瞬間、後方から弾丸のようなものが、大量に飛んできた。


ムストウの岩だ! 細かくなってスピードを増し、弾丸なみの勢いで飛んでくる! 


「ウィル! 地面に突っ込め! こっちで受け止める!」とメイナード。


瞬間、チャリオットが急激に方向転換し、真下へ向かって猛スピードで急降下。


石の弾丸はどんどん降り注いでくるが、教授はその動きを読んでいるかのように、すり抜けていく。


チャリオットが落下する先の地面には、緑の草原がある。


「う! うわぁぁぁ!」


チャリオットは速度を緩めることなく、垂直に草原の中へ!


地面に衝突したと思った瞬間、外の世界が真っ暗になった。――地面の中に入ったのだ。


「よし! キャッチ成功だ! 今から迎えに行く!」


メイナードは勝利の叫び声を上げて、そう言った。

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