星にゃーんの掌編集

少年のための密談

　今となっては昔のことだが、当時の僕はまだ射精の仕方も知らないがきんちょだった。しかし、あの頃の僕の頭の中には、自我と倫理観についての詳細な知識と針の穴を通すような議論のやり方が詰まっていた。今となっては昔のことだが。

　詳細は省こう。当時の僕の日課は、優しく教育的だが僕とは異なる意見を持つ大人と、地雷原の上でタップダンスをするような議論を繰り返すことだった。僕は自分の考えに間違いがあることを認めていた。彼らも表面上は認めていたが、彼らの考えの誤謬を指摘していれば僕はここにいなかった。

　彼らの目的は、僕に知識と知恵を授けることだった。僕の目的は、彼らの脳裏に僕との思い出を刻み込むことだった。思い出なのが重要だ。忘れがたい過去の存在になるために心血を注いだ。

　結果として、僕と彼らの間には友情が生まれた。不戦協定も結ぶことになった。そして、少なくとも僕は、多くのことを学んだ。スリル。自我の消滅のスリル。危険な思考。字面とは違う意味を含んだ言葉。

　命を削るような、あの議論の場を失ったことを思うといつも寂しく感じる。楽しかった。ファイトクラブのような、口にできない楽しみが十四歳の男の子に与えられていた。素晴らしいことだ。今となっては昔のことだが。