少数報告

 僕はマイノリティだ。僕が属する集団は、日本の全人口のおよそ2.6%しかない。日常の中で僕らの意見が無視されていると感じることも多いし、社会的地位もそれほど高くない。つまり、僕は日本に住む20〜24歳の男性だ。

 僕がさっきやったように作為的に集団を選べば、誰でも全体の2%前後の集団に属していると主張できるだろう。このことは単なる詭弁以上の意味を持ってると、僕は考えている。

 最初に言っておくべき注意がある。よって、この文章に対するあらゆる感情や抗議はすべて的外れで価値のない情報だ。

 本題に入ろう。あなたが今触れているのは、人類史上最も偉大な発明、インターネットだ。インターネットは荘厳たる無限の書庫であり、温かなお茶と煎餅の置かれた茶の間であり、清掃されていない便所だ。ここにはすべてが同時に存在する。あなたの心を芯から温めることと、あなたを即死させる試みの結果が同時に存在する。

 生き延びるための術を教えよう。「実際のところ、我々がいるこの現実には、この現実に存在しうるすべてのものが存在する」ことを常に思い起こすんだ。

 僕らが道端に落ちている鳥の死体を見て驚くのは、単に偶然道端にそれほど鳥の死体が落ちていない環境にいるからだ。驚くことをやめてはいけないが(驚きはなんらかのアラートだ)、驚くこと自体に驚く必要はない。

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