接続
「バイタル良好、素体各部正常稼働確認」
いよいよこの日が来た。35日間の訓練を終え、ついに実際の素体と接続する。今日の接続試験がうまくいけば、すぐにでも作戦決行だ。心を落ち着けて、努めて冷静に。大丈夫、どちらも私の身体だ。必ずうまくいく。
「コリエル、聴こえる?今からリンクを開始します。すこし変な感覚がするはずだけど、リンクが確立すればすぐに回復するから。心配しないで。」
「はい。大丈夫です。」
「頼もしい返事ありがとう。じゃあお願い。」
「リンク開始します。」
装置の駆動音が大きくなった。すぐに眠りに落ちるような感覚がするはずだ。そのまま意識を一度手放し、次に気が付いたときにはもう一人の私に意識が移っている。
たしかに眠くなってきた。夢を見るように脳裏へ記憶が蘇る。この1ヶ月の訓練、適合する素体が見つかった時の興奮、ミネルヴァの管理システムに荒っぽいやり方で接続した日、金属を溶かす雨、停電の中で読んだ物理書籍の匂い、死んだはずの私が目を覚ました日、いつか蘇ると約束して死んだ日。これは私たちの記憶だと気づいた時には、機械の身体の私がいた。
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