第6話 タバコを吸う『不老不死』の隊長
誠は司法局実働部隊のライトブルーの制服からTシャツとジーンズに着替えると、終業後に遊びに出かける男子隊員達でごった返す実働部隊男子更衣室を後にした。
そのまま司法局実働部隊本部の二階の廊下を歩いていると、喫煙所の前を通りかかった。
「帰りかい?」
誠に声をかけてきたのは、司法局実働部隊の隊長である嵯峨惟基特務大佐だった。その姿は相変わらず隊長らしくは無かった。
まず、見た目が若すぎた。
誠は大卒二年目の24歳だが、どう見ても嵯峨は誠と同い年くらいに見える。
自称46歳、バツイチ、子持ちだが、そんな風にはとても見えない。しかし、それには理由があった。
誠や嵯峨、機動部隊長であるちっちゃなクバルカ・ラン中佐は、地球外知的生命体として地球人が遭遇した宇宙人の一つである『遼州人』と呼ばれる種族だった。
見た目はどう見ても地球人の東アジア系にしか見えない『遼州人』にはある秘密が隠されていた。
それは『法術』と呼ばれる力を持つ者もおり、その『法術師』には地球人の科学では理解不能な『力』を持っていることだった。
司法局実働部隊では誠の知っている限り、誠、嵯峨、そしてランがその『法術師』と呼ばれる存在だった。そして、誠達『法術師』には超能力のようなものが備わっていた。
様々な能力があるとされている『法術師』だが、嵯峨とランのそれはある意味、科学の存在を疑わしめるとてつもない能力を秘めていた。
それは『不老不死』だった。
嵯峨は誠が生まれる二十数年前から誠の実家に出入りしていたが、その姿が全く変わらなかった。ランに至ってはどう見ても8歳女児にしか見えない。
そんな訳でどう見ても誠とさほど年齢の変わらない『中年男』、嵯峨惟基が出来上がった。
嵯峨惟基はいつも通り自分を不思議そうに見つめてくる誠を見ながらゆったりと構えてタバコをくゆらせていた。
これがいつもの誠の見かける嵯峨の終業後の姿だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます